人間395
命名の儀式で、クレブは厳かな態度で一族のトーテムの精霊を呼び出した。それから器に手を伸ばし、赤いペーストを少しすくい取った。
「デュルク!」彼は、デュルクの泣き声をかき消すほどの大声で告げた。「この子の名前はデュルクだ!」それから彼は、赤ん坊の目の上から小さな鼻先まで、赤い線を引いた。
「デュルク」と、エラは息子をしっかりと抱きしめながら、その名を繰り返した。(デュルク……伝説のデュルクのように。クレブは、私がこの名前をずっといちばん好きだったことを知っていたのだ)デュルクという名は一族ではありふれたものではなかったため、多くの者が驚いた。しかし、遠い過去の奥底から掘り起こされ、どこか謎めいた意味を秘めたこの名は、先の見えないこの少年に最もふさわしかったのかもしれない。
「デュルク」とブレンが言った。最初に歩み寄った族長の目に、ふと優しさが浮かんだ。「信じられない……デュルク」イザの言葉を聞いて、エラは顔を上げた。イザの顔にも、エラに負けない喜びが浮かんでいた。「デュルク」とウヴァも言い、すばやく手で合図を添えて、「本当に嬉しい」と伝えた。
参考文献
Auel, J. M. (1980) The Clan of the Cave Bear(=『ケーブ・ベアの一族』).
Hackett, A. & Dennell, R. (2015) Neanderthals as fiction in archaeological narrative(=「考古学的叙述におけるフィクションとしてのネアンデルタール人」).
推定総盗用率:およそ30–50%




