北欧7
天界では厄介な問題が持ち上がっていた。ワルキューレのシグルーンが、テュールがキシュ出身の女クババに恋をしていると報告したのである。
テュールはエンキの知識普及を手伝うため人間界を訪れた際、酒場の女主人であるクババと出会い、酒を酌み交わしながら互いの腕を競ったことがあった。しかしシグルーンは、人間と神が恋に落ちることは天界の秩序を汚すものだと考え、天界にてテュールと激しく対立した。
「馬鹿なことを言うな!神が人間と交わるなど許されるはずがない!」「そのようなことが本当にあり得るのか。神が人間と子を成すことは禁忌である。お前もそれを知っているはずだ」オーディンもまたテュールを諭そうとしたが、彼の決意は揺るがなかった。「直接子を成さなければ、それで問題ないのだろう?」「そこまでクババを想っているのか」「はい、オーディン様」「よかろう。ならばクババが愛に値する存在であることを証明してみせよ」「承知しました」そう言い残し、テュールは天界を去った。
(あいつには、教訓を与えてやらなきゃな……)とオーディンは思った。
参考文献
小説家になろう (2004)『軍神の剣』.
Lindow, J.(2001)Norse Mythology: A Guide to the Gods, Heroes, Rituals, and Beliefs(=『神々・英雄・儀式・信仰の北欧神話案内』).
Davidson, H. R. E.(1964)Gods and Myths of Northern Europe(=『北欧の神々と神話』).
推定総盗用率:およそ10–25%




