人間69
一方、アグは大きな災厄に見舞われていた。彼は神々の命に背き、他の部族から火種を力ずくで奪ったうえ、いくつもの聖火を消してしまった。その行いはついに神々の怒りを招いたのである。
神々はアグたちの居場所を他部族に告げた。アグたちは火種を奪うことには成功したものの、たちまち他部族の追撃を受けた。「くそっ、どうしてあいつらはこんなにも執念深いんだ?!」彼らは逃げては身を潜め、身を潜めてはまた逃げることを繰り返し、ようやく窮地を脱した。そして、これ以上時間を無駄にはできないと判断し、火種を持ってすぐに部族へ戻ることを決めた。(まさか……ナオたちはもう帰ってしまったのか? 時間を食いすぎた……)アグは何としてでもガムラを手に入れたかった。そのためには、ナオよりも先に部族へ戻らなければならなかった。
参考文献
Boex, J. H. H. (1911) La Guerre du feu(=『火の戦い』).
Frazer, J. G. (1922) The Golden Bough: A Study in Magic and Religion(=『金枝篇―呪術と宗教の研究』).
Burkert, W. (1985) Greek Religion(=『古代ギリシアの宗教』).
Vernant, J. (1980) Myth and Society in Ancient Greece(=『古代ギリシアの神話と社会』).
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