人間44
ナオは暗闇の中、肉食獣たちの牙や爪、そして闇に燃えるような眼差しから一瞬たりとも目を離さなかった。多くの獣は人の姿を見ると、そのまま立ち去っていく。ハイエナの群れともすれ違った。獅子をも凌ぐほど強靭な顎を持ちながら、彼らは争いを好まず、腐肉をあさって生きる獣だった。狼の群れはなかなかその場を離れなかった。群れの力を知り尽くし、自分たちならオルハムにも引けを取らないとでも思っているかのようだった。だが腹を空かせてはいなかったため、やがてレイヨウの足跡を追って去っていった。さらに、狼によく似た犬の群れとも行き会った。彼らは土盛りの周囲で長く遠吠えを続け、ときには威嚇するように唸り、ときには一匹ずつ忍び寄ってくる。それでも、むやみに人を襲うことはなかった。
かつて彼らは人間の群れの近くに居着き、捨てられた食べ残しをあさりながら、狩りの一団に紛れ込んでいた。ゴーンは二匹の犬と盟を結び、内臓や骨を分け与えていた。しかし、ファウムが指揮を執るようになり、猪を徹底して狩るよう命じた結果、その二匹は猪との戦いで命を落としてしまった。
ナオは、人と犬がともに行動する姿に強く心を引かれた。そこには新たな力があり、より大きな心強さと、何ものをも従わせるほどの力が感じられた。しかし、自分と二人の戦士だけで草原を行く危険も、誰よりよく分かっていた。相手が数頭の獣であれば狩りを試みることもあっただろう。だが、野獣の群れを前にしては、決して挑もうとはしなかった。
参考文献
Boex, J. H. H. (1911) La Guerre du feu(=『火の戦い』).
Pierotti, R. & Fogg, B. R. (2017) The First Domestication: How Wolves and Humans Coevolved(=『最初の家畜化――オオカミと人類の共進化』).
推定総盗用率:およそ100%




