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人間41
ナオは夜番の焚き火にはすっかり慣れていたが、闇の中では自分の弱さを嫌というほど思い知らされていた。火の届かない暗闇には何が潜んでいるのか分からず、耳に入るわずかな物音さえ神経を逆なでする。灰色熊や豹、虎、獅子が姿を現すこともある。もっとも、野牛の群れは自らの生息地を離れることはめったにない。それでも、その巨体が一斉に駆け出せば、人間の脆弱な肉体などひとたまりもなく踏み潰されてしまう。荒野では力こそが生き延びるための掟であり、一瞬の油断が死を招く。狼たちは群れを成すことで巨獣にも匹敵する力を得て、飢えは彼らから恐れを奪い、獲物へと向かわせる。夜の闇は、その冷酷な掟を誰よりも雄弁に語っていた。
参考文献
Boex, J. H. H. (1911) La Guerre du feu(=『火の戦い』).
Harari, Y.N. (2014) Sapiens: A Brief History of Humankind(=『サピエンス全史――文明の構造と人類の幸福』).
推定総盗用率:およそ3–8%




