0-6 妖精国の女王
【ヒア】
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私は目が覚めたら崇め奉られていた。
「こ、ここは? カイル様はどこ?」
辺りを見回すと、周りはエルフの国で見た偉そうな場所に似ている。ぱっとみて、地面が見えない事に驚き私は高い椅子に座らせられている事に気づいた。
下を見てみると、多くの妖精たちが私に跪いていた。
(これは、夢ね!)
結論は早かった。だってさっきまでカイル様とアメリアが戦っていたし、横には私に『様』をつけるアメリアのお姉さんという、よくわからない人や……(後は覚えてないや)
誰か他にも居たはずだ。
「あ、あ、あー、よし!」
夢なら、確かにわかる。私は常日頃から偉くなりたかった。漠然と、偉い人は羨ましいと思っていたからだ!
「皆の者! ご飯をください!」
私が言葉を発するとどうだろう……妖精たちが一斉に「はっ!」と言い出し飛び出した。
(まさか、本当にご飯が来るの?)
その答えは直ぐに現実となる。
初めに台座が運ばれて来ると次々といろんな果物が運ばれて来る。
その果物は今までに見た事もない物ばかりだ。
ワクワクが止まらない……ここは夢という天国だ。
「女王、お食べください」
(女王!?)
ま、まさかこの私が女王! 確か、アメリアの話で聞いた事がある。とにかく、女性で一番偉いらしい。それが、今の私だと……
考えたかったが目の前の誘惑には一瞬も抗えず、とにかくムシャムシャしながら考えた。
美味しい……これお菓子だ! 果物の形した、甘いお菓子! 果物でも良かったけど、私はお菓子も好きだ。エルに貰ったクッキーも美味しかったけど、この赤い丸いお菓子も凄く美味しい!
どんどん食べちゃう——ん?
あぁ……違う、違う、お菓子じゃなく『女王』のことを考えようと……
「むぐっ——」
いっぺんに貪ったので喉にお菓子が!
このまま私、死んじゃうの? もがき苦しむ私に気づいた妖精たちがコップに入った飲み物を差し出して来る。
「あ、あり……がと」
ゴクゴクゴクゴク、出されたクリーム色の飲み物を飲み干す。
「ぷはーーっ」
何これ! めっちゃ美味しい! 甘さが程よく、舌触りもまろやかでムシャムシャ。お菓子とも抜群に相性が最高だ!
「もう一杯ちょうだい!」
すぐにお代わりがやってくる。
至福だ……この世界最高だ、もはや夢でもいい、夢の中で一生過ごそう。
私の決意はもう、カイル様でも止める事は出来ない!
——ここから私の食っちゃ寝の日々が始まった。
朝は起こしに来る妖精たちをあしらい寝たいだけ惰眠を取り、お腹が空いたら妖精たちに頼むとわんさかと果物が運ばれて来る。
それを食べたらまた寝る……外が程よく暗くなるとまたお腹が空き食べたいだけ食べた。
そして、何日目かの夜になり……
「おやすみなさい」
はぁ、幸せだなぁ、明日は何を食べよう。
(さて、ヒア。もう十分でしょ?)
あれ? この声……カイル様の声だ。
そんなものは、私は望んでいません。私は明日またお菓子を食べるんだ!
「カイル様なんか知らない、おやすみ」
(そっか、なら明日が楽しみだ)
そのまま、カイル様の声が聞こえなくなり私は明日のお菓子を胸にその日は寝た。
チャラチャラチャチャ、チャーン
目を開けて私は驚いた……まだ寝てないのに朝になっていたからだ。
(あれ? なんで……まぁいいか)
気にする事もなく、朝ごはんを食べるために妖精たちを呼んだが、全く返答が来ない。
なんでよ……
「ねー! お腹空いたんですけどーー!」
下をみると、いつも元気に飛び回っていた妖精たちが同じ動きを続けていた。
近寄って触っても話しかけてもなんの応答もない……昨日まではこんなんじゃなかったのに。
なにがあったのだろう……
私は記憶を探った……ここで食べたお菓子が次々と溢れて来てお腹が空きだす。
なんで、なんで、なんで……
お菓子食べたい。
お腹空いた。
お菓子食べたい。
お菓子食べたい。
「お菓子食べたーーーい!」
(どう? 諦める?)
カイル様の声だ……まさか、カイル様のせい? 酷い、私がなにをしたのよ!
「カイル様! 私の夢に入ってこないで!」
今まで歯向かうことなんて考えもしなかったが、自然と言葉が出てしまう。
呆れた声でカイル様が答える。
(あのさ、僕はむしろ、ヒアの願望を叶えてあげたんだよ)
なんですって? ……全くわからないです。意味が理解できないです。願望……お菓子?
「お菓子ですか?」
(ですね。偉くなって欲しい物手に入って、楽しかったでしょ?)
「はい! 楽しかった!」
そりゃもう、この世界素晴らしかったです!
(良かったね! 実験のついでだけど、頼み事もあるし、ヒアには特別だったんだよ)
特別!? そんな、カイル様に特別と言ってもらえてヒアは幸せです。
「もしかして、もう終わりなんですか?」
聞きたくなかったけど、もう夢は終わりらしい……私のこれからの役目を事細かく聞いた。
「カイル様……覚えられません……」
呆れられた。なのでカイル様は私の役目だけを伝えて、集めないといけないものは妖精たちに任せると言う話に落ち着いた。
すぐに動かないと間に合わないらしい。
結局ギリギリまで、遊ばせてくれたみたいだ。
やっぱりカイル様と冒険に出れて良かった。
——突然暗転して、ふと気がついたら知らない場所にいた。
この卵はなんだろう……
(あ! これがカイル様が言っていた卵か!)
それじゃ、後はアメリアたちを待つだけね。
妖精たちは何か探しに行っちゃったし、それまで暇だけど、カイル様にいい事聞いちゃった。
外に出て白いふわふわを食べる。
「甘い! これ食べられるんだ!」
よし! 食べながら待ちますか。
ムシャムシャ、これも美味しい! なにこの世界……(天国じゃん!)
ヒアの元の役割でした。
5章読んでないと、分からないところは多々あります。




