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結局、お父様もお兄様もその日は帰ってこなかった。
翌朝、朝食の時間に食堂に行ったがお母様は来なくて私一人で朝食を食べていた。
「あの、お嬢様、パーティーに付いて行った者に聞いたんですけど……」
メイドが言いづらそうな表情をしている、つまり昨夜のパーティーで何かあった、という事だ。
「何があったの?」
「実は……、昨夜のパーティーで王太子様が婚約破棄を宣言したそうです」
「えぇっ!? どういう事!?」
「どうやら他に好きな人ができたそうで……、なんでも平民上がりの男爵令嬢にベタ惚れになったみたいで」
私は唖然とした。
よく恋愛小説の中ではあるけど実際にやる人がいるなんて思わなかった。
「あれ? 確か王太子様の婚約者って公爵令嬢よね? しかも、王命で婚約したんでしょ? いくら王太子でも勝手に婚約破棄するのはマズいんじゃないかしら?」
「えぇ、冷静に考えたらそうですよね……」
まだ学園に通っていない私でもわかることだ、それが王太子にわからない筈がない。
「その処理でお父様が遅いのね、でもお兄様は?」
「その……、王太子と一緒に公爵令嬢を断罪されたみたいで」
ガンッ!
私はテーブルに頭をぶつけた。
「なんでお兄様が一緒に断罪してるのよっ!? 相手は公爵令嬢よっ!? 格上よっ!?」
「えぇ、ですから現在事情聴取の為牢屋にいるそうです……」
「何やってるのよ……」
あぁ、お母様があんなにショックを受けていた理由がよくわかった。
ていうか我が家はどうなるんだろうか?