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「……という話を聞いたのですけど」


「私も友人から聞いたよ。私達が出て行ってからは荒れているみたいだな」


 私はお父様に会い母国の噂を話した。


 採取者になってからはお父様とは必要最低限以外の連絡はしない様にしている。


「やはり娘を蔑ろにされた公爵の怒りは収まっていなかったらしい。淡々と準備をしていたらしい」


「でも、婚約破棄をした王太子は既に全てを失って行方知らず、騒動に関わった貴族は殆どがお取り潰しになったんですよね?」


「正確に言えば『高い慰謝料を支払わされ借金を抱え家を捨てなければならない状態に陥り貴族籍を返上した』という事になっている、我が家なんて軽いものだよ、こうして働いているのだから」


「その元貴族が公爵側についたんですよね? おかしくありませんか? 元貴族は公爵に恨みがあるはずでは?」


「多分公爵が言葉巧みに矛先を王族に向けたんだろう。昔から説得力には定評があるからな」


「お父様の所には話は無かったんですか?」


「私は文官だから戦力にはならないだろう、まぁ話が来てもやんわりと断っていたがね」


 そう言って苦笑いするお父様。


「それでお母様から連絡は来ないんですか?」


 そう尋ねるとお父様は首を横に振った。


「一切の連絡を取っていないからね、無事でいるといいんだが……」 


 別れたとはいえやはりお母様の事を心配しているんだろう。


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