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 婚約破棄なんてするもんじゃない。


 どうせやるなら当人同士で話し合い他人を巻き込まずに穏便にやってほしい。


 公の場で婚約破棄を一方的に宣言して思い込みで断罪して、いかにも正しい事をやっている、という態度をとる奴。


 でも大体隙がありすぎて返り討ちを喰らうのが定番だ。


 ただ考えてみてほしい、そのせいで関係の無い者も迷惑を被る事に気づかないだろうか?


 何を隠そう私エマ・ルーキンが婚約破棄の巻き添えを喰らったのだ。


 私の家はかつては侯爵家でお父様は城に勤めていた。


 両親と私と兄、4人で暮らしていた。


 それが今では一家離散、ルーキン侯爵家は没落の道を歩む事になった。


 私は現在は母国を追われ隣国で冒険者として生計を立てている。


 本当だったら今頃は社交デビューして優雅に婚約者とダンスを踊っている筈だ。


 しかし現実は森の中に入り薬草採取に勤しんでいる。


「はぁ~、腰が痛い……」


 私はトントンと腰を叩きながら背伸びをした。


「これぐらいの薬草でいいかな?」


 私は森を出て冒険者ギルドへと向かった。


「依頼終わりました。確認お願いします」


 受付に行き依頼を終えた事を言い確認してもらう。


「確認出来ました、依頼は成功ですのでこちらの報奨金をどうぞ」


 報奨金と言っても薬草取りで貰える金額は決まっている。


 私は渡された報奨金を持ってギルドを出てそのまま家に向かった。


 冒険者で家を借りるなんて珍しいと思うけど、基本的に今住んでいる町から離れる事は無いので問題はない。


「今日も疲れたぁ……」


 バタンと布団に倒れ込んだ。


 私は壁に飾ってあるドレスを見た。


 私が貴族だった頃の唯一の思い出。


 一度も袖を通さずただ飾ってあるだけのドレス。


 もう作られてから年数が経ちサイズが合うかはわからない。


 本当だったらさっさと売ってしまえば良いのだが未練がましく捨てる事が出来ない。


「……なんでこうなっちゃったのかな」


 まぁ答えはわかっている、でも嘆かずにはいられない。


 その原因が母国で起きた婚約破棄であり私の兄が関わっていた。

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