モブキャラに転生
熱い……
ああ、わたくし風邪を引いて熱を出したのでしたわ。
それにしても、随分長い夢を見ていた気が……
私が「この世界」とはまったく違う場所で、「この世界」をゲームとしてプレイしている夢なんて。
ても、随分リアルでしたわね。
ゲームのタイトルは確か……
『七人の王子様に溺愛?!セブンプリンス』
そうだわ。
私は乙女ゲーム『セブプリ』にどっぷりハマっていて、全王子のルートを完全攻略して、浮かれて夜コンビニに行く途中でトラックに跳ねられて死………
えーっと、ちょっと待って。
もしかしてこれってラノベでよくあるあの展開?
じゃあ私、もしかして『セブプリ』の世界に転生したんじゃ?
ふふ。
ふふふ。
やったー!憧れの王子様たちを直で見られる!
ゲームには確かヒロインの名前が公式設定されていて、「リリアン」だったはず。
公爵家の令嬢なのよね。
私がこのゲームを好きだったのは、悪役令嬢がいないところ。
ただただ、王子たちに溺愛されて、親密度でハッピーエンドとノーマルエンド、バッドエンドに別れるのよね。
わたくしの名前は……ジュリア。
ゲームには名前も出てこない。
つまり、ただのモブキャラ。
でもいいんですの。
王子様方を愛でることができればそれで。
「お嬢様、気が付かれましたか?」
声が聞こえる。
この声は侍女のティレーズだ。
わたくしはモブキャラとはいえ、侯爵家のひとり娘。
段々、前世と現世の記憶が落ち着いてきましたわ。
「ティレーズ。今、何時かしら」
「朝の7時ですわ。お嬢様はまる一日高熱を出して寝込んでいらっしゃったんですよ。今日も学園はお休みされた方がよろしいですね」
学園に行って早くリアル王子様を拝見したいですけれど、まだ熱も下がっていないようですし、仕方ないですわね。
私はティレーズの用意してくれたパン粥を食べて薬を飲むと、また横になった。
7人の王子様、早くお会いしたいですわ。
確か、この国の第一王子バロン様。
それから第二王子のナード様。
隣国から留学に来ているヨハン様と双子のルカ様。
国王の隠し子である騎士のイザーク様。
修道院に自ら入られた第三王子のロード様。
それから隠しキャラの、ノア様。
ノア様は同盟国からお忍びで講師としていらしてる王子様なのよね。
私の推しキャラはもちろんノア様。
若い王子様は目の保養にしかなりませんけど、ノア様は大人の魅力満載で、知識も経験も豊富。
早く。
早くお会いしたいですわ。
「まあ、お嬢様ったらはしたないお顔をされて」
ティレーズに呆れたように言われましたけど、私は気にせず、そのまま眠りに落ちました。