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どうも、悪役にされた令嬢ですけれど  作者: 奏多


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SS ハッピーエンドのその後で

短いですが、書籍発売記念でSSアップしました。

アリアンローズ様より、2/12発売しました!

「待っていたよリヴィア」


 侯爵家のエントランスに入ると、セリアンが待ち構えていた。


「遅くなってごめんなさい。途中で馬車と牛の行列に出会ったものだから」


 市場へ売る品を満載した馬車が、ぞろぞろと道を横切って行ったのだ。十台の馬車がゆっくりとよぎった後は、なぜか牛の行列が待ち構えていた。おそらく牛も市場にて競りが行われるのだろう。


「まずはお茶にするかい?」


「そうね、少し喉が渇いたかも」


「じゃあ、こっちに来て」


 セリアン自身が案内して、庭に面したバルコニーへ案内してくれた。

 今日はとても良い天気で、風もそよそよと吹いて心地よく、牛も売られるとはいえ市場へ歩くのも気持ちが良かっただろうと思われる日だ。


 バルコニーで庭を眺めながら……というセリアンの案は、とても素敵だったのだけど。

 私は庭を目にしたとたん、足を止めてしまった。


「え、あの、セリアン……あそこには低木の植え込みがあったような」


 とても広い侯爵家の庭は薔薇園のようになっており、赤や白、黄色やピンクの花々が咲き誇っていた。その合間には、薔薇の脇役として緑を多く配置していたはずなのだけど。


 その緑の一部がぽっかりと無くなっていた。


 それどころか、その部分が掘り起こされて畝が作られている。

 セリアンは輝くような笑みで答えた。


「そうだよ。よく覚えていたねリヴィア」


「畝が作られているように見えるんだけど……」


「君と僕のための畑だよ。結婚前から、一緒にこの庭の一画で作物を作ろうって言っていただろう?」


「え、ちょっと待ってセリアン。ここじゃ……」


 訪問客の誰もが、思い切り畑を目にすることになるのでは?

 しかも薔薇園のど真ん中に作物……。激しく見た目に問題がある。

 怯える私に対し、セリアンは笑顔を崩さない。


「そろそろ、交流のある人達については、意識改革をしてもいいかと思って」


「意識改革」


「むしろ農作業を広めたら、作物についての知識を深めた貴族が増え、飢饉や天災時への備えを積極的にするんじゃないかと思ったんだ」


「なんと……」


 セリアンはそんな深い考えで、庭にどかんと畑を作ろうと考えたのか。

 感銘を受けたリヴィアに、庭の方から現れた人物がさらに告げた。


「ぜひこちらに通って、立派な畑を作ってくださると嬉しいわ」


 微笑んだのは、セリアンの母、ディオアール侯爵夫人だ。

 セリアンによく似た美貌の侯爵夫人は、なぜか持っていたスコップを、バルコニーの外の柱に立てかけた。


「立派に育ったところで、お披露目のパーティーを開きましょうね。一番よく見えるのはお昼でしょうから、お茶会がいいかしら」


 うきうきとお茶会の予定について語る侯爵夫人の様子に、リヴィアは二の句が継げない。

 思わずセリアンを見るが、彼は微笑むばかりだ。


「そういうわけだから、お茶を飲みながら、何を植えるか考えようリヴィア」


 農作物について相談できるのは嬉しいが、違うそうじゃない……とリヴィアは目を白黒する。

 侯爵家と交流がある上流階級の方々に見せられる農作物って、何!?


 頭の中が混乱する。

 しかし今現在、植え込みがごっそり無くなった庭を放置するわけにもいかない。

 とにかく植える作物について、薔薇園の景観を壊さない物を、セリアンと真剣な表情で相談することになったのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公の祝福の伏線がしっかり断罪場面に結びついていて、まとまっていて安心して読めました。 シャーロットが憎んでいたのはリヴィアではなくセリアンだったというのは珍しい展開かと思いますが、男に…
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