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節分の日

お久しぶりです。

長く空いてすみません。一話から八話、内容はそのままに書き直しました。


追記:この回の前半部分の文章はまたのちほど書き直すかと思いますが、内容に変更ありません。未熟で申し訳ないです。よろしくお願いします。

 節分とはかつて季節の始まりである立春、立夏、立秋、立冬の前日を示していた。しかし近年では豆を投げて鬼を退治する「節分」イベントは、立春の前日である2月3日を指している。

 昔は病気や天災など目には見えない力を鬼と呼び、豆を投げつけるのはその鬼を追い払い安泰に過ごそうというものだったのである。

 因みに節分に使われる炒った豆を投げつけるのには理由があり、豆というのは「魔」すなわち「鬼」の目、さらにいうと魔滅(まめ)とかけており、「炒る」というのは「射る」とかけている。つまり炒った豆を投げつけるのは「鬼の目を弓を射るように正確に狙って鬼を滅そう」という意味が込められているのだ。



ーー以上、高口賢吾のパソコン画面から抜粋ーー




 高口賢吾は深夜に一人自宅で、ゆったりとしたソファに座りながら、パソコンを開き、節分について調べていた。あの意味深な発言が気になって、かといって本人に後にメールで問いつめたらはぐらかされたので、そもそもの節分について調べていた。


「駄洒落かよ……」


 一通り調べて出てきた素直な感想だ。

今日のことが脳裏に浮かぶ。マメになれと言って豆になってしまった生徒のことを思い返す。なんだか今日、俺は駄洒落が心底嫌いになった。単語を聞くだけでげっそりする。トラウマレベルに嫌いになった。


 パソコンの前で頭を抱える。なんて大変なことになってしまっているんだ。本人はまったく自覚がないようだが、由々しき事態だ。このまま、あんな能力が残ったまま生きていたとしたら、危険が一杯だ。正直なところ、関与したくないのが本音だが、大事な生徒が豆になってしまったのを見過ごすわけにはいかないだろう。それも俺の発言が原因の一端であるのならば尚更。


 胃がキリキリしてくる。


 まずは、豆になった原因であるその魔法使いがどこにいるかがわかればな。解決策はそこにしかない。


「相沢に連絡……」


 もしかしたら相沢が話していないことがあるかもしれないと俺は机に置いてあった携帯を手にとり電話をかけようと思ったが、躊躇した。


 連絡したあとを想像してみる。きっと喜ぶであろう相沢のことを。


「…………」


 そして俺は手にとった携帯を机に戻した。



 思い返せば俺はなぜか変な女にばかり好かれていた気がする。

 高校の頃は塾の帰り道に見知らぬ女からアプローチされ、憂鬱だった。当時、周りの先生に相談しても、俺が男だったこともあってあんまり乗ってくれなかったのが嫌な思い出だ。大学の頃はサークル一の厄介な女に好かれて、断ったら散々にあることないこと、周りに吹き込まれたっけな。まぁなんだかんだで落ち着いたんだけど。



 そして、今。



 憂鬱でしかない。

 この先の教師生活不安でしかない。

 なんだかんだで落ち着く予感がしない。





 って待てよ。

 いやいやいや、なにを考えているんだ。

 女とか男とか相沢は生徒じゃないか。

 俺は深呼吸をする。自律神経を整えるには、深呼吸してリラックスするのが一番だ。


 だらぁっとソファに寄りかかり、天井をみる。



(相沢のいう節分の日ってなんだ……?)


 しばらく天井を見上げ、ハッとした。

 そういえば今年は節分イベントをやろうという企画があった。すっかり忘れていた。


 ちらっと壁に貼り付けてあるカレンダーをみる。


 今日は2月1日。


 あと数日。


 絶望感に満ちつつも、俺は深呼吸した。









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