戦争前の話し合い その終
そこからは、とんとん拍子で規定が決まっていった。
一つ 戦争の形式は一騎討を三回戦行う。
一つ 降伏を申し出されたら、いかなる状況でも戦闘行為を止めなければならない。
一つ 一騎討の最中には誰であろうと手出し無用。
一つ ”即死”以外で勝敗が決まった場合は可能な限り治療を行うこと。
一つ この戦争は国民が見る権利がある。
一つ この戦争で勝利した場合、敗者は勝者の要求を可能な限り吞むこと。
一つ この規定は、両陣営が話し合い受け入れたことを認めること。
この条文を私と三善さんが同時に読み上げ、それを幻理さんが最後に一枚に書き込んでいく。
「よし。森崎、この下に名前を書いて血判を押しな。その後に私も書く。」
森崎さんが、少し青ざめ顔で署名し、血判を捺しその後に続けて、幻理さんが同じことを繰り返す。
「以上をもって!この戦争は両陣営の合意の元!正式な戦争を行うことを宣誓する!」
幻理さんが、明らかにテレビを意識して声を張り上げ、目の前で三枚目の和紙を縦に引き裂く。
「これは割符としてそっちが保管しときな。文句を言うやつが居ればこっちと照合すれば、大抵は黙らせられるよ。」
引き裂いた片方を慣れた手つきでくるくると纏め、懐にしまう。
「……ありがとうございます。開戦は何時にしましょうか?」
三善さんが森崎さんへクリアファイルを渡し、渡された割符をしまいながら、森崎さんが決意の籠った目で幻理さんへ開戦時間を質問する。
「ふむ、そちらの戦う代表を決める時間を考えたら、一刻……いや2時間後ってところか?あぁ、そうだね、そちらに晴れじゃないと駄目とか雨が良いってやつはいるのかい?いるなら融通を利かせられるけどね。」
森崎さんがきょとんとした顔をして少し納得する。
「それは……、雨がいいと言えば雨が降るまで待ってくれるということですか?」
少しの沈黙。幻理さんは何でもないように言い放つ。
「いや?私らの中には雨を持ってこれる魔法使いも居るのさ。まぁ、創り出せるわけじゃないから、少し時間はかかるだろうがね。」
天気を司る、双子の魔法使いであり”神”。雨乃大蛇。
戦場で固有魔法の詳細を聞くと、知っていても、畏れを抱く。
「「はぁ?」」
森崎さんと三善さんの間抜けな声が私たちの間に響いた。




