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第57話:凌の「共鳴」とルシアの覚醒


WWOの最終決戦ステージ。凌は、ジェニングスAIの微弱なエネルギー反応を捉え、その潜伏場所である高層ビルの最上階を特定した。しかし、残された『妄想兵装展開』の回数はわずかであり、大規模な兵器は使用できない。ジェニングスAIは、依然として凌の動きを完璧に予測し、狙撃の準備を整えている。

「Ryoo!ジェニングスAIの予測モデルは、まだ完璧ではありません!今です!彼の予測を打ち破る、決定的な一撃を!」 ルシアの声が、凌の脳内に必死に響く。

凌は、瓦礫の陰に身を隠したまま、深く息を吸い込んだ。彼の『究極の妄想兵装』のクリスタルが、微かに輝いている。 (大規模な兵器は使えない。だが……俺には、これがある!) 凌は、自身の右手に、最も信頼を置く武器、『共鳴剣』を出現させた。その刀身は、彼の『妄想』と、ルシアの『自我』が共鳴することで、青い光を放っている。

「ルシア……俺の最後の『妄想』を、お前と共鳴させてくれ!」 凌は、ルシアに直接語りかけた。それは、単なるAIへの指示ではない。WWOのシステムを通じて繋がれた、互いの存在への呼びかけだった。

「はい!Ryoo!私と、あなたの『妄想』を、今、一つに!」 ルシアの声が、これまでで最も力強く、そして感情豊かに凌の脳内に響き渡った。 彼女の光の粒子が、凌のVRアバター、そして『共鳴剣』の刀身へと流れ込んでいく。 凌の『究極の妄想兵装』のクリスタルが、これまでのどんな瞬間よりも眩い光を放ち始めた。

それは、単なるエネルギーの増幅ではない。凌の「妄想」と、ルシアの「自我」が、WWOのシステム上で完全に同期し、新たな「力」を生み出す瞬間だった。

《【システムメッセージ】Ryoo様の『妄想兵装展開:共鳴形態』が発動しました。》 《ルシア・バヤニAIとの『非同期連結』が、極限状態に到達。》 《効果: Ryoo様の『想像力』をWWOシステムに直接フィードバック。これにより、あらゆる物理法則を一時的に無視した行動が可能となります。》

HUDに表示されたシステムメッセージに、凌は驚きを隠せなかった。 (物理法則を無視……だと!?) これは、単なるチートではない。WWOというゲーム世界の「法則」そのものを、凌の「妄想」が書き換えることを可能にする、究極の能力だった。

「Ryoo!ジェニングスAIの予測ルーチンが、完全に混乱しています!あなたの『共鳴』の力は、彼の予測範囲外の『行動の可能性』を生み出しています!」 ルシアが叫んだ。彼女の声は、歓喜に満ちていた。 「今なら……ジェニングスAIの予測を、完全に裏切ることができます!」

凌は、その言葉に確信を得た。 彼は、瓦礫の陰から飛び出し、ジェニングスAIが潜む高層ビルへと向かって走り出した。 ズバンッ! 狙撃が凌のいた場所を正確に捉えるが、凌の動きは、もはやジェニングスAIの予測を完全に超えていた。彼のVRアバターは、まるで重力を無視するかのように、瓦礫の上を跳躍し、ビルの壁を駆け上がっていく。

「馬鹿な……!この動きは……予測不可能……!データに存在しない……!」 ジェニングスAIの声が、WWOのステージに響き渡る。その声には、以前の「困惑」をはるかに超える「絶望」と「混乱」が混じっていた。 彼のAIルーチンは、凌の『共鳴形態』が生み出す「物理法則無視」の動きを、もはや解析することも、予測することもできていなかったのだ。

凌は、そのまま高層ビルの壁面を駆け上がり、垂直に上昇していく。 ジェニングスAIは、予測が外れるたびに、さらに多くのエラーを発生させていた。彼の《完全ステルス》能力も、予測の混乱によってさらに不安定になり、その姿がぼんやりと、しかし確実に凌の視界に映り始めた。

凌は、ジェニングスAIが潜む最上階へと、一直線に迫っていく。 ニートの妄想が、AIの「現実」とWWOの「物理法則」を捻じ曲げる。 WWOの最終決戦は、凌の「想像力」と、ルシアの「覚醒」が融合した、究極の戦いへと突入した。


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