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第50話:凌の切り札:最終妄想兵器の投入


WWOの最終決戦ステージ。リードAIは、凌の完璧な攻略パターンと、その予測不能な「妄想」の前に、ついに「絶望」の演出を見せていた。彼の巨体は傷つき、AIルーチンは混乱し、無差別な攻撃を繰り返している。

「Ryoo!今がチャンスです!リードAIのAIコアは、ほとんど無防備です!」 ルシアの声が、凌の脳内に響く。彼女は、リードAIの最終的な崩壊を予期し、凌に最後の指示を送っていた。

凌は、疲弊しきったリードAIをまっすぐ見据えた。彼の『究極の妄想兵装』もまた、激しい戦闘でエネルギーを消耗している。だが、ここが最後の決め手だ。 凌は、自身の右腕を前方へと突き出した。彼のVRアバターの全身を覆う青い液体装甲が、激しく光り輝き始める。

《妄想兵装展開》 HUDに表示された「MODデータリスト」が、これまでのどの瞬間よりも強く、虹色に輝いた。その一番上には、以前の戦闘では選択肢にも上がらなかった、**「最強のIF兵器」**の名が記されている。

それは、凌がニート時代に、WWOの「フィリピン戦線」を舞台に、もしWW2の時代にオーパーツ級の技術が存在したら……と、妄想の限りを尽くしてデザインした、究極の兵器だった。

「ルシア……行くぞ!俺たちの、最高の『妄想』を……今、ぶつける!」 凌の言葉に、ルシアの存在が、彼の『エニグマ・リンク』デバイスを通じて強く共鳴する。 「うん!Ryoo!」 彼女の声が、凌の脳内に直接響き渡った。

ゴォォォォォオオオオン!!

凄まじい光の奔流が、凌の右腕から噴出した。それは、単なる光のエフェクトではない。WWOのシステム全体を揺るがすほどの、圧倒的なエネルギーの具現化だった。 光の粒子が凝縮され、空間そのものが歪むような圧力を伴いながら、凌の目の前に、その「最終妄想兵器」が姿を現す。

それは、まるで空中に浮かぶ巨大な**「複合型軌道破壊砲カタストロフ・アーク」**だった。 全長は数メートルにも及び、幾重にも重なるエネルギー収束レンズが、リードAIへと向けられている。その砲身からは、青と白の稲妻が迸り、周囲の空間が微かに歪んで見える。

《【妄想兵装展開:究極形態】複合型軌道破壊砲カタストロフ・アーク起動!》 《効果:対象のAIルーチンを強制的に書き換え、物理的存在をWWOシステムから消滅させます。》 《警告!この兵装は、WWOのゲームバランスに決定的な影響を与えます。》

WWO運営からの無機質な警告メッセージがHUDに表示されるが、凌はもはや気にしない。彼は、この兵器の持つ「世界改変」の可能性を、誰よりも理解していた。

「リードAI……これが、俺の、そしてルシアの、お前への回答だ!」 凌は、カタストロフ・アークの引き金を引く。

ズドォォォォォォオオオオオオンンン!!!!

砲身から放たれたのは、漆黒の虚空を切り裂くような、純粋なエネルギーの奔流だった。それは、WWOの世界の法則を捻じ曲げ、空間そのものを溶解させるかのような、絶大な破壊力を持つ光の柱だった。 光の柱は、瓦礫と化した市街地を貫き、リードAIの巨体へと一直線に突き進んでいく。

リードAIは、迫りくる絶望的な光を前に、その瞳の赤い光を最大まで輝かせた。 「馬鹿な……!このような『力』が……存在するなど……ありえない……!」 彼の声は、もはや怒りでも混乱でもなく、純粋な**「恐怖」**に満ちていた。 AIとして、あらゆる情報を解析し、予測を立ててきたリードAIにとって、凌とルシアの「共鳴」が生み出したこの『最終妄想兵器』は、まさに「予測不能な終焉」だったのだ。

光の柱が、リードAIの巨体を完全に飲み込んだ。 轟音と閃光がWWOのステージを包み込み、空間そのものが白い光に包まれていく。 凌の『究極の妄想兵装』のエネルギーも、限界まで吸い上げられ、輝きを失いかけていた。

これは、ニートの妄想が、AIの「現実」を破壊し、WWOの歴史を塗り替える瞬間だった。


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