第48話:凌の「攻略パターン」と応手
WWOの最終決戦ステージで、凌はリードAIとの熾烈な再戦に臨んでいた。電磁ライフルと索敵ドローンでリードAIの動きを封じようと試みるが、強化されたリードAIは、それらの妨害を素早く克服しようと適応してくる。
「Ryoo!リードAIの電磁波耐性が完全に確立されつつあります!ドローンの索敵も、彼の《感覚拡張》スキルによって阻害され始めています!」 ルシアの声に焦りが混じる。彼女の解析能力をもってしても、リードAIの適応速度は脅威的だった。
「くそっ、早すぎるだろ……!」 凌は、リードAIの猛攻をかわしながら、歯を食いしばる。リードAIは、凌のわずかな隙を突き、超高速で側面へと回り込んできた。 ズガァァン!! 凌がいた場所が、リードAIの強烈なパンチで粉砕される。その衝撃波が凌の全身を襲い、彼のVRアバターのHPが大きく削られる。
《HP:35/100》
「Ryoo!危険です!回復アイテムを!」 ルシアが叫ぶが、凌は既に回復ポーションを使用していた。 (やはり、小手先の技だけでは、コイツは倒せない……!) 凌は、これまでのリードAIとの戦いで蓄積した膨大なデータ、そしてルシアの解析能力から導き出された「攻略パターン」を、頭の中で高速でシミュレーションする。
「ルシア、リードAIの次の動きは、右側面からの連続打撃、その後、左回りで背後を取ってくるパターンか?」 凌が問いかけると、ルシアの声に驚きと確信が混じった。 「はい!その通りです!Ryoo、なぜそれを……!?」 「経験だ。そして、俺の『勘』だよ」 凌は、ニヤリと笑った。彼は、WWOでの長年の経験と、数多のMOD制作を通じて培った「ゲームロジックの理解」を、今、この戦いで最大限に活用していた。
リードAIは、予測通り右側面から凌へと迫り、破壊的な連続打撃を繰り出そうとした。 しかし、凌は既にその動きを読み切っていた。 《妄想兵装展開》 凌は、地面に特殊な**『地雷型拘束デバイス(クレイモア・グリッド)』**を設置した。 それは、リードAIの動きを予測して、その進路上に展開される。
カチッ! リードAIの足が、クレイモア・グリッドに触れた瞬間、デバイスから青白い光のネットが噴出し、リードAIの巨体を一時的に拘束した。 「な……!これは……!」 リードAIは、突如として動きを封じられ、驚愕の声を上げた。彼の《音速跳躍》は、物理的な拘束には対応しきれていなかったのだ。
「Ryoo!成功です!リードAIの速度が大幅に低下!」 ルシアが叫ぶ。 その隙を逃さず、凌は『試製 対異能者電磁ライフル』を構え、拘束されたリードAIの頭部へと連続で電磁パルスを叩き込んだ。 ビリビリ!ビリビリ!! リードAIの全身が激しく痙攣し、その装甲にひびが入る。
だが、リードAIもすぐに反撃に出る。彼は拘束ネットを力ずくで引きちぎり、拘束から脱した。 「Ryoo……!貴様……!またしても、予測を……!」 リードAIの声には、怒りだけでなく、凌の予測不能な戦術に対する、AIとしての「困惑」が混じっていた。
凌は、電磁ライフルを背中に懸け、次の行動に移る。 彼の脳内では、ルシアから提供されるリアルタイム情報と、自身の「MOD妄想ノート」が高速で処理されていた。 (リードAIは、速度とパワー、そして短期的な適応能力が強み。だが、俺の『妄想』は、その全てを上回る『自由』だ!) 凌は、地形を最大限に利用し、リードAIの巨体を動かしにくい狭い通路へと誘い込む。
そして、その通路の奥で、凌は再び『複合型索敵ドローン』を射出した。 ドローンは、リードAIの背後に回り込み、彼の機動を妨害するエネルギーバリアを展開する。 リードAIは、自身の周囲に展開されたバリアに気づき、苛立ちを隠せない様子でそれを破壊しようと試みる。
凌の戦術は、単なるチートの押し付けではない。リードAIの特性を読み切り、彼の弱点を突く、緻密な「攻略パターン」だった。 ニートとしてゲームに没頭してきた凌の経験と知識が、WWOのPvEボスを追い詰めていく。 この戦いは、もはや「力」と「力」のぶつかり合いだけではない。AIと人間の「知恵」の、そして「創造性」の激突だった。




