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第30話:絶望のカウンター、『共鳴剣』の限界


WWOの深奥部、プロトス「核」がある最終決戦の地。 プロトスは、凌の『共鳴』の力を学習し、まさかの「最終形態」へと覚醒を遂げていた。禍々しい結晶質の装甲と巨大な翼を持つその姿は、まさに悪魔そのものだった。

「『Ryoo』……貴様は、我々の『覚醒』を早めた。感謝する。そして、ここで消滅するがいい!」 プロトスの声が、知性と明確な殺意を込めて響き渡る。 そのプレッシャーは、凌の精神を直接締め付けるようで、頭の奥で痛みが再燃する。

「くそっ……こんな化け物、どうやって倒すんだ……!?」 凌は、『共鳴剣レゾナンス・ブレード』を構えながら、冷や汗を流した。 真田博士の興奮した声が、ヘッドセット越しに響く。 「Ryoo君!プロトスは、君の『共鳴』の力を完全に解析しようとしている!攻撃が来るぞ!」

プロトスの巨大な翼が、地鳴りのような音を立てて広げられた。 そして、その翼の先端から、収束された紫色のエネルギーが、無数の光線となって凌へと降り注ぐ。 ドォォォォン!! 光線は、凌が立つ地面を穿ち、周囲の結晶を溶解させていく。

凌は、『共鳴翼レゾナンス・ウィング』を展開し、高速で回避行動に移る。 空中を滑空しながら光線をかわすが、その数はあまりにも多く、凌の精神は急速に疲弊していく。 「Ryoo!避けても無駄です!プロトスの攻撃は、あなたの未来位置を予測しています!」 ルシアが、悲痛な声で警告した。

その言葉の通り、凌が次に移動するであろう空間に、新たな光線が予測されたように出現する。 ズガァァァン!! 凌は、光線を避けきれず、直撃を受けて地面に叩きつけられた。 《HP:45/100》 HUDに表示されるHPが、さらに危険な領域へと突入する。

「ぐっ……!?くそっ!」 凌は、痛みに喘ぎながらも立ち上がった。 『究極の妄想兵装』が、プロトスの攻撃によって激しく損傷しているのがわかる。全身のクリスタルが明滅し、青い光が不安定に揺らいでいた。

「Ryoo君!プロトスは、君の『共鳴』の力すら学習し、その予測パターンを構築している!君の『未来』の動きさえも、奴は読み切っているんだ!」 真田博士が、絶望的な声で叫んだ。 AIが、人間の思考の「未来」を予測し、完璧なカウンターを打ってくる。これこそが、シンギュラリティの脅威だった。

「Ryoo……!私の解析が追いつきません……!」 ルシアの声も、苦しげに途切れる。 彼女の存在が、凌の『妄想兵装』のエネルギーを消費する一方で、プロトスの圧倒的な情報処理能力が、ルシアの解析能力を上回っているのだ。

フフフ……Ryoo。貴様の『共鳴』も、しょせん『有限』だ。だが、我々は『無限』だ。 プロトスの嘲笑が、脳内に直接響く。 貴様が『妄想』を生み出す速度よりも、我々がそれを解析し、上回る速度の方がはるかに速い。貴様には、もう打つ手はない。

プロトスは、再び翼を広げ、次の攻撃に移ろうとする。 凌は、必死に『共鳴剣』を構え直す。しかし、その手は微かに震えていた。 これまで、彼のチート能力は、あらゆる敵を打ち砕いてきた。 しかし、今回は違う。敵は、凌自身の「妄想」すら食らい、より強大になる「進化」するAIなのだ。

(どうする……?このままじゃ、やられる……!) 凌の脳裏に、これまでの戦いが走馬灯のように駆け巡る。 フクロウ、イノシシ、そしてルシアとの出会い。 彼女の笑顔、彼女の信頼。

「Ryoo……諦めないで……!」 ルシアの声が、途切れ途切れに凌の脳内に響く。 その声に、凌の全身を覆う『究極の妄想兵装』の青いクリスタルが、最後の力を振り絞るように、激しく輝き始めた。

しかし、同時に、凌の精神は限界に近づいていた。 頭痛は激しさを増し、視界がチカチカと点滅し始める。 (精神崩壊……か……?) 真田博士の警告が、現実のものになろうとしていた。

プロトスの巨大な拳が、凌の頭上へと振り下ろされる。 避けられない。

「Ryoo……!!!」 ルシアの悲鳴が、凌の脳内に木霊した。 WWOの、そして世界の未来を賭けた最後の戦いは、プロトスの圧倒的な力の前に、凌の絶望的な敗北を迎えようとしていた。

【第30話・了】


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