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混沌都市のデカイ姫騎士と”推し活”異世界人達  作者: ライラック豪砲
第二章 混沌都市誕生の秘密

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第十五話 姫騎士と長生きしすぎたエルフー2

 そうして出立の時を迎え、アナベルの家を出た二人は、森の入口まで歩いた。


「いやしかし……。てっきり昔の貴族服でも着てくるのかと思いましたが、そんな服も持ってたんですね」


 使者はそう言い、アナベルの服装をからかった。

 アナベルはムッとした。

 何の変哲もないシャツに厚手の布でできたズボンがそんなにおかしいのだろうか?

 と、言うか。

 会って以来、使者の言葉の端々に「古いエルフへの優越感」が濃く感じられ、アナベルは不快だった。

 まるで時代遅れの服を馬鹿にできず残念だと言わんばかりだった。

 しかし、ふと思いなおす。

 この使者のように、文化的な上位者を気取った経験が自分にもあることに思い至ったからだ。


(極東の龍帝国に行った時の自分を思えば、偉そうなことは言えんな)


 そう思えば、この若輩者への怒りも薄らいでいった。

 なので、アナベルは大雑把にだけ答えておいた。


「まあな。長く生きてると、こういう無難な服を持っておくものさ」


 そんなやり取りをしつつ一時間程歩くと、ようやく森が終わり街道へと出た。

 そこには、使者と同じ服をより簡素にした服装に鉄兜をかぶった二人のエルフが待っていた。

 手にはマスケット……を、より複雑な構造にしたような銃を抱えていた。


 待ちくたびれたという表情を隠すこともしないそのエルフたちの背後には、何やら金属でできた箱に四つの車輪がついたものが鎮座していた。


 それを見た瞬間使者は楽しみがようやく訪れた顔をして、アナベルは驚きを露わにした。


「どうですか、これが何か分かりますか、アナベルさ――」「自動車か」


 使者の自慢に満ちた言葉に対し、語尾が被るほど即座にアナベルが反応した。

 使者はポカンとした表情を浮かべ、困惑を隠すことも出来ない。


「え、あ……自動車……ご存じで……?」


 使者は目を丸くし、得意げな笑みがみるみる萎んだ。

 アナベルは心の中で喝采を上げた。


(悪いな、都会育ちのお嬢様。)


「馬のない車輪のついた物体なら、そうだろう。古代魔法帝国――お前たちにはおとぎ話だろうが、その頃にはあった。もっと洗練された形状だったが、これは角ばっていて古臭いな」


 アナベルの言葉を聞いて、使者は何か言いたそうにしていたが押し黙った。

 そして、軽く咳払いすると、何事もなかったようにアナベルに向き直った。


「ご存じならば話は早い。この最新のガソリンエンジン搭載の自動車でこれよりエルフェリンへと向かいます。この二人は護衛の親衛隊員です……どうぞ、お乗りください」


 使者の態度を見て、アナベルは先ほどまで抱いていた溜飲を下げた。


(昔の物語に出てきたタイムスリップした古代人みたいに騒ぐ私を見たかったんだろうが、悪いな。所詮、今の文明など古代魔法帝国から見れば赤子のようなものさ……)


 護衛だという兵士が開けたドアから、よどみない動きで自動車に乗るアナベルを見て、三人のエルフたちは困ったような表情を浮かべていた。

 アナベルは、そんな三人を見て心の中で喝采を上げた。


三人のエルフたちは、想像と異なるハイエルフについてしばし語り合うと、諦めたように自動車に乗り込んだ。

 運転席と助手席には二人の護衛が。

 アナベルの隣には、使者が乗り込む。


「……少々、思っていたより、あなたに対する認識が異なっていたようですね」


 使者が戸惑いをにじませる。

 それに対して、アナベルは楽しそうに笑うと、使者の肩をポンポンとたたいた。


「そうガッカリするな。内燃機関とはいえ、自動車を作れるまで発展したのは素直に嬉しい。あとはエルフェリンがどの程度発展しているかだな。魔法帝国の首都に匹敵する摩天楼が広がっていればいいんだが?」


 アナベルは意地の悪さを込めた視線を使者に送った。

 その視線に気が付いた使者は、あいまいに笑みを浮かべるばかりだった。

しばらく投稿できず、申し訳ありませんでした。

今回も短めですが、どうにか更新していきたいと思います。


次回更新は8月19日の予定です。

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