10.大賢者、敗北
――――大賢者マリスア -side-
『ドラゴニック・フレア』
『上級火炎魔法・フレイム』
黒服の私と火炎魔法が、竜の業火に滅却される瞬間、こう思った。
負けそう。
炎に焼かれ、地を這いつくばる私。
負けた。
初めての敗北。
この私、大賢者様様は、魔王竜様様様に敗北したのだ。
アンビリーバボー。
この世界に私より、最っ強のドラゴンがいたんだ!
でもね、限界を知った私は、もっともっと強くなれる気がするわ。
次回、最強候補の大賢者マリスアちゃんが魔王竜を超えてみせる。次は絶対勝つ。負ける気がしない。
うは、ローブが焦げ臭い。シミになっちゃうじゃなーい。
この私、無口で、衣装はクールで、エレガントだが、ハートは魔法少女16歳なのだよ。
なお、息子は20歳である。
現実を見よう。私は40代後半だし、断じて少女ではない。
残りHP4で虫の息だ。
アゴの外れた老人にステッキで4回小突かれたら、私は絶命するのである。
しにそう。
ああもうだめだ。再戦前にやられちゃう。
天国で魔法少女になったらいいなぁ。
人生諦めが肝心だよね!
「『奴隷魔法-百発百中』 慈悲はない~」
マリスアの耳に、神の声が聞こえた。その声の持ち主は魔王竜だった。
私は奴隷になった。
人生諦めたらダメだよね!!
私は奴隷として生きるのだ。生きるって最高。
そのうち魔王竜を叩き伏せてやるわ。
再び、天女の声が聞こえた。
「『奴隷魔法-言霊』 その1 私と私の娘に反抗しないで」
魔王竜様のことは愛しちゃいます。
この身を盾に、悪い奴らからお守り致します。
それが奴隷における、私の使命なのです。
魔王竜と争うつもりはないわ。
私と私の娘に反抗しないで、っていう命令ってことは、ドラゴンの娘さんがいるのね。魔王竜さん鱗が綺麗だし、娘さんも美人なんだろうなぁ。撫でたいなぁ。かわいがってあげたいなぁ。
魔王竜の声、
「『奴隷魔法-言霊』 その2 勇者を倒せ」
しにたい。
息子は勇者だ。20年間大切に育てた。
私は息子と殺し合いをしなければならない。
いくら心が拒絶しても、勝手に体が動いてしまうのだ。
隙あらば魔王竜を殺してやる。呪ってやる。叶わなければ、自害してやる。
悪魔の一声、
「『奴隷魔法-言霊』 その3 自害禁止」
しなせて。
うわあああああああああああああああああああ




