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知らないふりをさせて下さい  作者: 樫本 紗樹
後日談とおまけ

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おまけ6 とある日の夜会

「本日は御招待頂きありがとうございます」


 夜会ではいつもたくさんの人に囲まれる。殿下はいつもの笑顔で対応しているので、私も王太子妃らしく振る舞う。へりくだらないように言葉遣いを優雅にして対応する事にも慣れてきた。


「ナタリー様、本日のドレスも素敵ですね」

  

 宝飾品は父から送られてきた物だから褒められても困る。だけどドレスは殿下が選んでくれたものだから素直に嬉しい。

  

「ありがとう。ミシェルさんの首飾りはとても細かな細工がしてあって綺麗ね」

「ありがとうございます。先日一目惚れをした物なので嬉しいです」


 私が侯爵夫人と話している隣で、殿下がホワイト侯爵と話をしている。真面目な話かと思いきや、最近殿下はアリスの話ばかりだ。


「言葉を覚え始めると更に可愛くなりますよ」

「そうなのか。それは今から楽しみだな」


 殿下はアリスの存在を広めたいのか、誰彼構わず話している。アリスがいない時はもっと政治的な話をしていたのに。


「早いと一歳前から話し始めますよ。アリス姫はいかがですか?」

「私は聞いた事がない。ナタリー、アリスはもう話していたりするのか?」


 殿下が私に話を振ってきた。私は王太子妃らしく微笑む。


「まだですわ。そのような事があれば真っ先にお伝え致します」


 実際まだなのだけれど、報告した方がいいのかな?


「そうだな。もし話したら教えて欲しい」

「勿論わかっております。その際にはお伝え致します」


 もし話した時には手紙をしたためよう。流石に仕事中に言いに行くわけにもいかない。一言話したからと連れていった所で、すぐに次々と話す事もないだろうし。

  

 殿下は気付いているだろうか。いつも作り笑顔なのに、アリスの事を話す時は自然の笑みが零れている事に。

 その笑顔を見るだけでアリスが愛されてると思い、私も幸せな気分になる。殿下が楽しそうなので、最近夜会が苦手ではなくなった。アリスの話をされる皆様はどう思っているのかわからないけれど、こんな風に穏やかな日々がずっと過ごせるといいな。


 シルヴィとデネブが勝手な行動をしていたり、食事が微妙だったり、殿下が相変わらず不特定多数の女性に声を掛けていたり、知らないふりをする所は多いけれども、それでも今まで生きてきた中で今が一番穏やかな気がする。


 殿下に離縁を言い渡されるまでは、この幸せを噛みしめていたい。

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