異世界の拠点
「昨日は寝ちゃってごめん」
「何時に寝たの~?」
「……十時まで頑張って力尽きた」
「こ、子供か!?」
「中学生は子供だ!」
「…………」
恭子と姫香が「こいつ就寝時間九時なのか…引くわ―」みたいな眼で見つめてくるので開き直ると、「はいはい」と頭をポンポンされてしまった。解せぬ。
「今日も夜中に行くとしようか……時間は十時ね」
これ、絶対私のせいで時間変更になったよね。
………すまん。
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十時になった。
猛烈に眠い。
『もう異世界行かない?』
『あ、もうそんな時間?』
『十時十分前だね。私の準備はもう終わっているよ』
私もちゃんと着替えた。流石にパジャマで行くのもあれなので……。
普段通りの服に小さいポシェット。異世界での身長は普段より小さいようだったので、今の私ではちょっとサイズが小さいかな?と思われるような服もリュックに入れて背負う。
『私の方もいいよ。じゃあ、カウントダウンを始めよう。3…2…1…0!』
よし、いざ異世界へ!
眼をつぶって強く念じ、一拍置いてからそっと目を開けた。
この前来た場所に、家と、その周りを囲むように柵があった。昨日、みんなが建てたんだろう。柵は畑でも作るのかな?
「あ、日和?かわいいね、私は恭子だよ~」
きょ、恭子が茶髪になってる!しかも見た目年齢が20くらいと私たちより大きい!
日和→10?
美優→17?
姫香→14?
恭子→20?
あれ?考えてみると、これって姉妹に見えない?私はアルビノだから、髪の毛の色は遺伝じゃないし、親が黒髪と茶髪であればありそうな組み合わせ。
考え込んでいると、恭子がのぞきこんできた。
「どーしたの?難しい顔して~」
恭子の眼の色は金色か。いやいや、そうじゃなくて。
「この柵は何?」
「それはね、そこに畑を作るんだよ~」
じゃ、ちょっと付与の練習しますか。『豊かな土地』、『作物成長速度十倍』。ちょっと無茶だったかな?ダメ元でやってみたんだけれど。
まぁいいか。家に入ろう。
「あ……まだ、あんまり家具が無いんだよね~。ベッドとか、テーブルとかだけ~。」
えーそうなの?使用回数制限があるから難しいよね。
そういえば、恭子の能力って何だろう?
「恭子の能力って何?」
「変化能力だよ~。例えば、ほら」
恭子は短い髪を長くしたり、黒くしたりしてくれた。
美人さんはどんな髪型でも様になるね。生まれつきの美人はお得じゃん。
「すごーい!」
「えへへ~」
話をしつつ、家のドアをガチャリと開ける。
家にあるようなものがかなり無かった。
「そうだ、地下に行こう~」
え?地下?二階があるのは分かるけど、地下?
「地下は現地の人に見つからないように、転移でいくんだよ~。テレビも入れる予定だよ~」
なるほど。創れたんだね、地下。テレビか、ソファーに寝転がって見ると怠惰でいいんだよね。
是非ともテレビの前にソファーを置いてもらわなくちゃ。
怠惰な生活を送るために考えていると、恭子が転移の扉を開いた。
「ここが地下だよ。あ、あと会議の議長には私がなったよ~。で異世界のことを真実として人に話してはいけないって事も一つ追加ね~。」
真実として人に話してはいけない。成る程、これもなくてはいけないものだったね。
「うーんと……あとは、何しよう?特にないんだよね~」
扉をくぐって、周りを見る。一つだけある扉には倉庫2と書かれていた。裏側には、リビングと。ここはリビングのようで、廊下はないみたいだ。二つしか部屋が無いみたいだし。
「あ!そうだ、付与ってかごの中身をにょーんってひろげられる~?」
にょーん?かごって、倉庫の中にあるあれだよね。ちょっと待って……………………『かごの中身を10㎥に拡大!』
「やった?どれどれ。お~、手が底につかない~!」
恭子がかごに上半身を入れだした。それでもつかないとは、成功のようだ。でも、なんか不気味。違和感ありまくり。
落ちそうで怖いから、恭子を引っ張る。
私の心の平穏のためにやめて。落ちたらどうやって出るつもり?え?逆さまにする?……もういいよ、勝手にして。




