第二十四章 – マニュアル車
根が抜かれて無事に排除されてから一日後、村はとても穏やかだった。リサはいつも自治会長の家の外か揚げ物屋台の近くでじっとしていた。人間と獣人間がどれほど仲良く話しているかをずっと観察していた。
「獣人間って色とりどりの髪の色をしてるんだね、耳の形も違うし、特に鳥人間は」
リサは周りを見渡した。異なる種族の獣人間たちが、違う髪色、違う耳の形で話したり笑ったりしていた。街では見かけるような道端の口喧嘩は一切ない。みんな穏やかで清々しかった。
「あああああいつまでここにいるんだよ!!!」
デニスが自治会長のお風呂場から叫んだ。リサは大きくため息をついた。通りかかった人たちが声の出所を探しているのを見て顔が少し赤くなった。
「な、なんでもないですよ、ただの都会っ子です、もし訳ありません」
人々は頷いてそれぞれの作業に戻っていった。
デニスが叫んだのに、恥ずかしいのは私の方だ。
リサは広場の方を見た。コイが村の子供たちと遊んでいた。昨日の午後はコイを外に連れ出して同い年の子たちと遊ばせるのがとても大変だった。
でもこの村の子供たちはとても親切で、コイもはじき出されることなく一緒に遊べていた。
「お嬢ちゃn、女の子がそんなに長くぼーっとしちゃいけないよ」
牛のお婆さんが肩を叩いた。お婆さんはゆっくり曲がった体で隣に座った。
「ぼーっとしてないです、私のボスの息子が遊んでるのを見てただけです」
リサはコイを指さした。コイは満面の笑みで頭を汗だくにしていた。
「オレンジ色の髪の子かい?」
「そうです、家では遊び相手がいなくて」
「だったらここに置いていきなよ。友達がたくさんできるじゃないか」
リサは首を横に振った。
「私が決めることじゃないですし、それにここと街の距離もそれなりにあるので」
お婆さんは微笑んで自治会長の家から降りていった。
「だったら今ここにいる間を楽しんでおきな、街じゃなかなかこんなに穏やかじゃないだろ?」
お婆さんはリサの肩を叩いて去っていった。
リサはお婆さんの背中を柔らかく微笑んで見送った。すると後ろから重い足音がして、デニスが隣に強く座ってどっと息を吐いた。
「井戸汲みって本当に疲れるな、ただトイレしたかっただけなのに」
「私だって同じだよ」
「リサも汲んだの?」
リサは目を回してゆっくりため息をついた。
「当たり前じゃん、水が勝手に上がってくるとでも思ってるの?」
「ここの人たちよく何でも井戸汲みで耐えられるよな。バケツ小さいし、満タンにすると重いし、少ないと時間かかるし」
「そんなぼやくなら、井戸汲み機械でも作ったら?」
デニスは首を横に振った。
「作り方わからないし、やろうと思えばできるけど道具も持ってきてないし」
デニスは両手で支えながら体を後ろに傾けた。
「村の人から借りればいいじゃん」
「昨日ドリル借りたら刃が欠けてて、結局叩いてから穴開けなきゃいけなかった……」
デニスは長く息を吸った。
「二度手間だったよ」
デニスは横を見て何かに気づいた。
「あれ、ここ車あるじゃん、どこから来たの?」
リサは最初から気づいていたがずっと聞かずにいた。村の人たちは親切でも、リサには自分から話しかけるのがなかなか難しかった。
「聞いてきなよ、たく」
デニスは立ち上がって車の持ち主の家に向かってノックした。口ひげのある年配の男性が出てきて少し話した。男性の手が広場の横を指さした。そこから少し回り道になるが直接幹線道路につながっていた。
デニスはリサのところに戻って隣に座った。
「少し回り道だったのか、わざわざ畑を通って転んだのに」
「ベータじの車もそろそろ移動させた方がよくない?もう一日以上あそこに置いてあるし」
デニスはリサを少し見てから自治会長の家の中に視線を向けた。
「ベータじが寝てるし」
「あなたが持ってきたら?」
「俺マニュアル車運転できないんだよ、オートマならいけるけど」
「村の人に頼もうか——」
「私できるよニス」
「え、だから我々は……今なんて言った?」
デニスの目がリサに向いて大きく開いた。
「マニュアル車運転できるって言ったの」
デニスは顔を覆った。
「嘘つくならせめてもう少し——」
リサは財布から普通免許証を取り出した。
「え!?マジかよ?」
デニスはリサの免許証を奪って詳細を確認した。免許証のサイトでリサのIDを検索すると本当に存在していた。
「本当にある……どうやって?三十年も隔離されてたんじゃないの?」
デニスが信じられない様子で聞いた。
「私まだ二十一歳だよニス……」
リサはため息をついて空を見上げ、自治会長の家の柱に寄りかかった。
「ラボにいた時に父が言ってたの、マニュアル車の運転が実験と一致するって。だから十七歳になった時にマニュアル車の運転を教えてくれた」
デニスはゆっくり頷いて口を少し開けたまま、リサの免許証をもう一度見た。
「免許証はどうやって取ったの?不正?」
「不正って何?」
「お金を払ってテストを免除してもらうこと」
「ちゃんとテスト受けたよ。警察がラボに呼ばれて、父とレザおじさんが運転テストのレプリカを作ってくれて、合格した。よく練習してたし」
「面接テストがなかったから普通に大丈夫だった」
デニスはまだリサの免許証をぽかんと口を開けたまま見ていた。
「鍵どこ?ここに持ってくる。道わからないからついてきてニス」
リサは自治会長の家に入っていった。デニスがすぐ後を追った。
「ちょっと待ってリサ、俺まだ自分の命が惜しい」
***
デニスとリサはようやく車に着いた。昼間に出てきたので畑は乾いていた。車までの道のりはスムーズだった。
「ほ、本当にリサが運転するの?」
デニスが後ろから緊張しながら言った。
リサは右側から運転席に乗り込んだ。デニスは後ろに座ることを選んだ。
「隣に座ればいいじゃん、空いてるのに」
「い、いい……万が一ぶつかっても後ろなら怪我が少ないから」
「信用なさすぎ……」
リサはクラッチを全部踏み込んでアクセルを半分踏んだ。鍵を回してクラッチを上げながらゆっくりアクセルを踏むと車が動き出した。リサはアクセルを何度か踏んでエンジンを温めた。一速に入れてリサは駐車していた場所から車を出し始めた。
バックミラーにデニスがシートベルトをぎゅっと抱きしめているのが見えた。リサは大通りの方にハンドルを回し、ウィンカーを出して左右を確認してから道に入った。
「ほ、本当に走ってる……」
リサは二速に入れてスピードを上げた。
「早く道を教えて」
リサがきっぱり言った。
デニスは少し前に乗り出してリサのシートを強く手で支えながら方向を示した。
回り道を経て村に入った。リサはそのまま自治会長の家まで運んだ。ちょうど空きのガレージもあった。
コイは友達と一緒に自治会長の家の前にいた。汗だくで胸がドキドキしていた。コイは運転席の横に来て、運転しているのがリサだとわかって驚いた。
「え、リサ姉って運転できるの?」
コイが感心して聞いた。目が輝いて顔が汗でいっぱいだった。
リサは大きく微笑んで言った。
「当然、リサ先輩にできないことって何かあるの?」
デニスはようやく車から降りた。顔が青白くぐったりしていた。
「デニス兄貴どうしたの?」
「なんでもない、ただドキドキしてただけ。本当に安全だったな」
リサは車をバックさせてUターンし、サイドミラーを確認しながらガレージに前向きで駐車した。降りてデニスとコイの方へ歩きながら指でキーを回した。
「じ、自分で駐車もできるのか……」
驚きですよね?
リサがマニュアル車の運転ができるなんて、誰が想像したでしょう。
デニスさえリサが自分の車を無事に村まで運転し、さらには自分で駐車までできたことに驚いていました。
拙い部分もあると思いますが、「面白かった」「ここが気になった」「このキャラ好き/嫌い」など、なんでもいいのでコメントもらえると泣いて喜びます。感想が励みになるので、ぜひ気軽に残していってください!
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また次話でお会いしましょう~!
次回 :すよね?
リサがマニュアル車の運転ができるなんて、誰が想像したでしょう。
デニスさえリサが自分の車を無事に村まで運転し、さらには自分で駐車までできたことに驚いていました。
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次回 :大事なもの




