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だめ貴族だもの。~だめダメ貴族の尻敷かれハーレム~  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第八章 アルドライドと世界を守れば公爵なんて当たり前なのです編
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第288話 ドワーフのS級冒険者ジグスは見た(前編)

「おう、お主らか! アンデッドダンジョン攻略に挑む命知らずの代表は」


 我の声に一斉に顔を向けたのは

 メランの冒険者ギルドに集まった猛者たち、

 早朝にも関わらず集まってきてくれている。


「ふぉふぉふぉ、久しぶりじゃなぁ、ジグスよ」


 真っ先に我に話し掛けてきた老剣士、

 この大陸東南部では知らぬ者は居ない達人だ。


「ジャロー殿、久しぶりであるな、マロロンのドラゴンダンジョン以来か」

「あそこは大変じゃったのう、稼ぎも良かったが、もう全て呑んでしまったわい」


 知っている顔もあれば知らない顔もある、

 我はまず自分から名乗りを上げる事としよう。


「知らぬ者も居るゆえ自己紹介させてくれ、我が名はジグス、

 S級パーティー『ディープディープトレジャー』のドワーフ戦士だ、

 今日は我含め十五人のメンバー中、四人を連れてきた!」


 各自を名乗らせる、我がパーティーはメンバー全員がS級冒険者であり、

 このあたりでは知らぬ者は居ないはずだが、挨拶という物は大事だ。


(我と相性の良い戦士グゼリア、チームで最も俊足なアサシンのケスナ、

 光魔法属性に近い火魔法をエリアで放てるダグラマ、回復のエキスパート、僧侶のリックだ)


「今朝連れてきたのはこの四人で我を含め五人が中心だ、

 順番によるがいざとなれば賢者のヒュイを連れて来ても良い」


 賢者と聞き数名から歓声が起こる、

 我がパーティー自慢の貴重なクラスだ、

 ただまだ二十代そこそこと若く、攻撃と回復の判断がなっていない。


(人間の賢者は三十代からが一人前とされておるからな)


「ふぉふぉふぉ、あいかわらずたのもしいの」

「ジャロー殿も是非、皆に自己紹介を」


 大陸最東部チュカパイで最も有名な冒険者グループ、

 そのリーダーであるジャロー殿が酒瓶をぐいっと呑む。


「わしゃあダークネスバスターのリーダー、ジャローじゃ、

 もうすぐ八十になるがまだまだあと十年は戦えるぞい」


 そして仲間の弓使い、槍系戦士、魔法使い、僧侶と紹介されるが本当にバランスが良い、

 どのような狩場でも、どのような敵であっても完璧に対処できる伝説級S級パーティーだ。


(何より個々の能力が素晴らしい)


 我の特殊スキル『人物鑑定』を使って見てもよくわかる、

 年齢はジャロー殿の七十九が飛び抜けていて他は四十代から五十代だが、

 それでも能力値は年齢による衰えをまったく見せていない。


(狩場や相手によってメンバーの組み合わせを決める我がパーティーとは大違いだ)


 パーティー固定による連携と経験の恩恵が今のこのパーティーなのであろう。


「……以上じゃ、では若いお主らの紹介をしてもらおうかのう、ふぉふぉふぉ」

「ああ、噂は我も聞いている、ここメランで新しいA級パーティーが産まれたと聞いたぞ」


 そう言って我とジャロー殿が目を向けた四人、

 メランの城で隠居している我が叔父が少し前に自慢していたパーティーだ。


「皆様方のような有名S級パーティーとご一緒できる事を光栄に思います、

 私共はA級パーティー『クリスタルフォース』リーダーを務めていますキーリア、剣士です」

「キーリアは勇者候補なのよ! 凄いでしょう」「こらエルミナ!」


 ダークエルフの弓使い女性が自慢している、彼氏のように。


(そういう仲か、我がパーティーはトラブル防止のため女は入れていないが……)


 残りのでかい男性は神官戦士、前衛と回復魔法を使うギガースと、

 魔力があふれ出ているような女性魔法使いレルアと言うらしい、こちらもデキているようだ。


(あの魔力で二十歳か、将来が楽しみだな)


「私共クリスタルフォース、御先輩方の力になれるように頑張ります!」

「ふぉふぉふぉ、では真っ先にダンジョンへ突っ込んでくれるのか、ありがたいのう」

「い、いやそれは……」


 こうして三組のパーティー紹介が終わったのだが、

 ギルドの隅で気になるエルフが三人居る、その魔力はレルア程ではないが力強い。

 我はジャロー殿に顔を合わせて小声で確認する。


「……あそこに溜まっているエルフは」

「奴隷のようじゃのう、あれは相当強いぞな、ふぉふぉふぉ」

「ですな、ギルドが用意してくれたのであろうか」

「じゃったら奪い合いじゃの、わしゃおなごは入れん主義じゃったが、あれなら大歓迎じゃ」

「それはこっちらもです」


 それぞれ各パーティーが一人ずつ貰ったとしても、

 戦力の大幅アップになる事は『人物鑑定』のスキルを使わなくとも

 見て、そして魔力を感じてわかる、むしろなぜ奴隷なのかというレベルだ。


「ちょっとキーリア、何見とれちゃってるのよ!」

「いやいやエルミナ、わかるだろう、彼女たちはそういうのじゃない!」


 確かに女として見ても素晴らしい、

 ドワーフの我であっても狂いたくなるレベルだ、

 しかし圧倒的な強さを感じ、そこに理解が至る前に恐縮してしまう。


(三人まとめて我らがディープディープトレジャーで買い取りたい)


 誰があのエルフに話し掛けるか、

 そういったタイミングでやってきた大男、

 ここメラン冒険者ギルドのマスター、タスクオンだ。


(若い坊ちゃんを連れている、年齢はまだ十五、ポーター……?!)


 背中にそれらしきポーターバッグを背負っている。


「皆さんよくお集まりいただきました、パーティー四組、揃ったようですね」

「ふぉふぉふぉ、ふぉ? 四組じゃと?」

「我とジャロー殿のと若き将来の勇者パーティーと、あとはあのエルフか」


 ここでやっとあの奴隷エルフがやってきたと思いきや、

 ポーターの坊ちゃんの所へ、だがエルフは何だか怯えているようだ。


「彼はアルドライド大陸の勇者様です!」

「皆さん初めまして、ミスト=ポークレットと申します、侯爵です、よろしくお願いします」


(勇者で、貴族で、ポーター、だと?!)


 どこをどう見ても、とても冒険者とは思えない。


「ふぉふぉふぉ、侯爵のう、お前さんがそのエルフ三人をダンジョンへ行かせるのじゃな?」

「はい、是非とも先頭で」


 なるほど、ジャロー殿の言葉で全てわかった、

 あの公爵が魔力の強いエルフ三人をまず墳墓に突っ込ませて、

 敵を倒せるだけ倒し、道を作れるだけ作って戻ってくる、いわば露払いか。


(それにしては贅沢な戦力だ、奴隷なら今すぐ買いたい)


 貴族の坊ちゃんはエルフを紹介し始めた。


「まず背の低いのから、こちらがレジーで魔法特化です」

「お、おねがいしますぅ」


 怯えている、可哀相に。


「真ん中がエルフ隊のリーダー、ルビエン」

「……ひっ」


 坊ちゃんに酷く怯えている、助けてやりたい。


「最後にこのでかいの、前衛で斧やタンクもできるセクレド、お前喰い過ぎなんだよ!」

「申し訳ありませんご主人様」「言い方がなってない!」「うっっ!!」


 うおっ、蹴りを入れやがった!

 なんて酷い……価値にして白金貨何十枚分の奴隷エルフだろうか。


「今日はこの三人しか連れて来ていませんが、他にも大教会の聖女とか、

 聖教会の聖女とか、アルドライド伝説の女勇者の弟子とか、色々居ます、

 僕のパーティー『ポークレットファミリー』にまずはお任せ下さい!」


 ……何を訳のわからない事を言っているのか、

 エルフはともかく、後は嘘としか聞こえない。


(いくら貴族で金があってもうさんくさい、何よりこの坊ちゃん、能力がほとんど無い)


 無属性の魔力を少し感じるが、

 ポーターにしてもこの荷物運び本人が大きなお荷物に見える。


「あの、少々質問をよろしいでしょうか」

「あっはい」


 クリスタルフォースの若きリーダー、

 こちらの方がよっぽど勇者なキーリアが質問する。


「勇者様なのですか」

「はい、アルドライド冒険者ギルド認定勇者ですよ」

「その装備はポーターに見えるのですが」

「ポーターで勇者です、それが何か」

「アッハハハ、バッカじゃないの~?」「こらこらエルミナ!」


 皆が心で思った事を代弁してくれた。


「私も良いか」


 キーリアと同じパーティーの神官戦士も聞くようだ。


「なんでしょう」

「私は精霊教会の神官だが、大教会と聖教会の仲の悪さは知っている、

 その両教会の、しかも聖女が一緒にとは、聖女とは何か知っているのか」

「そうですね、女性の賢者で特に魔力と実績があって、教会上層部に認められてなるのが聖女です」


 そう、冒険者で居ない訳ではないが、

 わざわざ理由あって教会から派遣されるか、よっぽどの訳ありだ。


「同じパーティーに居るのはありえないのだが」

「でも、うまく仲良くやっていますよ」

「その聖女の年齢は」「えっと十六歳と十四歳ですね」


 若い、若すぎる、そもそもその年齢で聖女は……

 よっぽどの魔力があって神格化されていれば生まれ持っての聖女はなくはない、

 だがそのような聖女はまず教会からは出てこない、それはドワーフの私でもわかる。


「わかった、よーくわかった、ポークレット侯爵がよーくわかった」


 我もわかった。


「俺からも良いか」


 ジャロー殿のパーティーからも声が、

 戦士のグゼリア殿からだ。


「アンデッドは大群で来る、魔法で一掃しようとしても取りこぼしは出る、

 そちらのパーティー『ポークレットファミリー』の前衛はどうなっている」

「はい、伝説の女勇者様、その弟子である女性がひとりでなんとか、

 あとはまあ僕の護衛のメイドふたりがなんとかするでしょうし、最後のとっておきにはこれが」


 そう言って腰に着けていた剣を抜くと……!!


「なんだ、その七色の剣は?!」

「凄いでしょう、とっておきの勇者剣、レインボーソードです!」

「ふぉふぉふぉふぉふぉ、これは凄いわい」


(うむ、これは凄まじい程の、胡散臭さだ!)


 それはまるで、飴細工のようであった。


 中編へ続く。

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