第286話 出発式はド派手に行こう
「さあボリネーサーカス団、夜の部もいよいよ終わりに近づいて参りました!
朝の部は合同教会総司教ベルベット様の乱入、昼の部は国王陛下のご観覧と、
サプライズが続きましたが、もちろんこの夜の部もあります! それは……」
星空の下のコロシアム、
いつぞやの装飾がやたら豪華な張りぼて馬車に乗っている僕ら。
「領主ミスト=ポークレット様率いる冒険者パーティー、
ポークレットファミリーの皆さんが、ダンジョン攻略へ向かう出発式を行います!」
おおー満員だ、そして盛り上がっている!
そして馬車が中央まで来た所で降りる僕ら、
真ん中に僕で両サイドはソフィーさんベルルちゃん、
その両サイドの戦闘メイド服はキリィさんモリィさんで、
一番前はリア先生、そして僕の後ろにメイドエルフ三人が警備っぽく立つ。
(九人かぁ、大所帯になったなあ)
まずはリア先生から喋るみたいだ。
「……我々は一時的にフォレチトンを離れるが、
ヴァルキュリア騎士団を中心に皆の護りは万全だ、
遠方になるがダンジョンを必ず攻略して戻ってくる、待っていてくれ」
自然に湧き上がる拍手、
そして次は僕の番だ、ええっと……
(抜いて天を突くだけでいいんだっけ)
レインボーソードを鞘から抜き、
夜空へ真っ直ぐに掲げるとその先から七色の光が!
(うわ、眩しい、なんだこれ)
こんなのそれまでなかったのに、
どうして今だけ? と思ったがこれは多分アレだ。
(ソフィーさんベルルちゃんの、無詠唱魔法だな)
ド派手な光は合同教会の女神像を思い出す人もいるのだろう、
客席には祈りを捧げている人も結構いる、僕らの無事を願ってなら嬉しい。
(……よし、もうそろそろいいかな)
鞘に納めると光りも消える、
これ戦闘で目くらましに使えないかなって一瞬思ったが、
自分の目もくらむから駄目だな、なによりこの光は聖女の仕業だろうし。
「以上、ミスト=ポークレット様に新たな剣を披露していただきました!!」
これだけでさらなる大盛り上がり、
さすがサーカス会場だっていう、見世物かコレ。
「最後に大教会聖女アンジ=ミンスラー様、
聖教会聖女ビアンカ==ヴェルカーク様、
自由教会聖女にして合同教会総司教、ベルベット=ポークレット様より、
ご無事とご武運を祈っての魔法花火でございます!!」
司会の声のあと、
三人がやってきて上空に派手で綺麗な花火を打ち上げる!
ドーン!
ドーーン!
ドドドーーーン!!
観客も大満足な、綺麗な魔法花火が大量に打ち上がり続けた、
おそらく八割はベルベットちゃんだ、変な模様もあったけど気にしないでおこう。
(立体ボリネー先輩の顔とか混ぜるなよ……)
そして馬車に乗り込む僕ら、
真っ直ぐ出るのではなく観客のためにぐるりと一周してからだ、
僕なんかが手を振っただけでも喜んでくれている、勘違いしそう。
「きゃーリアさまー!」
「ソフィー様、がんばってー!」
「ベルル様、ご無事でー!」
うん、勘違いだったみたいだ。
(にしても、のろのろ馬車の周りを歩いて警護しているメイドエルフはどう思われているのだろう)
特に新メンバーとか告知はしていないからね、
とまあじっくり時間をかけて花火が打ちあがり続ける中、
僕らはコロシアムを後にして騎士団の本部へと馬車をつけた。
「さあミストくん、転移テントよ」
「メランのお城へご挨拶に伺いますわ」
「という事でミスト、見送りたいという者が来ている」
屋上へ行くとそこで待っていたのは……
「エスリンちゃん! とサリーさん!」
ちなみにアメリア先生は勇者爵邸でちゃんと出発の挨拶済みです。
「ミストさん、無理しないで無事に帰ってきて下さいね」
「うん当然、エスリンちゃんのために帰ってくるよ!」
そもそもそんなに僕自身は仕事ないだろうし!
「りょ、領主様、わ、わたくしめは、サリーめは」
「はいはい、リア先生にお別れ言っていいよ」
「い、いえ、サリーめはミストさまの、あ、ああ、あいじ、じゅ、準愛人ですからぁ」
といいつつリア先生をちらちら見てるな、
まあ、そのあたりは今更か、こっちはちゃんとしよう。
「サリーさんも領主代理をお願いしますね」
「はいぃぃぃ」
「うん、サリーさんに任せたら安心なのは、わかってるから!」
こうしてしばしのお別れを告げた後、
僕らは転移テントを渡り継いでいくと……
(砂漠の古代遺跡、星空の下だと綺麗だなぁ)
地味にまわりを街が取り囲んでいて、
観光客相手だとか岩塩採掘とかで結構、儲かっているらしい、
砂漠の国の利益であると同時にフォレチトンの大きな収入でもある。
「あっ、アプス神殿でちょっと教祖代理に挨拶を」
「なんだミスト、メルに未練があるのか?」
「ミストくん、メルさんの見送りが欲しかったのなら事前に言って下さい」
「ちなみにあいかわらず、ミスト様への恋愛感情はゼロのようですわ」
「い、いやそうじゃなくって、単なる挨拶だから!」
手に入らないものほど手に入れたくなる、って訳ではないから!
でも勘違いされても致し方なし、だめ貴族だもの。 ミスト
(でも準愛人最後の枠に、どうしても、どーーーしてもってメルさんに言われたら……)
「ほらミスト、行くぞ」
「あっはい」
そんなこんなでとっととメラン国のお城へ行くのだった。
(さあ、アンデッドダンジョン攻略だ!)




