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だめ貴族だもの。~だめダメ貴族の尻敷かれハーレム~  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第七章 他国を平和にすると侯爵が付いてくるとかなんとか編
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第274話 後日談を色々と(前編)

 翌日朝、合同教会で夜通し働いていたソフィーさんベルルちゃんと交代し、

 運ばれてきた重病患者をバリア内、結界内すなわち『聖域』へ運び入れる作業を引き継いだ、

 夕方の一般公開終了までだと思ってはりきってやっていたがリア先生から


「終了時点で並んでいる者は全て入れてもらう」


 という話が来て結局『これ朝までかかるな』という覚悟をした夕方、

 どうしてもという来客に僕とソフィーさんベルルちゃんで領主謁見の間へ。


「本当に、申し訳ありません」


 座り心地の悪い玉座の前で土下座する大教会の豪華な正装の男性、

 モラベスクで物凄くお偉いさんだったはずの、オリオン=ミンスター枢機卿だ。


「そんな、枢機卿ともあろうお方が」

「いえ、我が教会の、ウチのスフィアがとんでもない愚かな事を」


 綺麗な土下座だ、土下座のお手本みたいだ。


(いや、そんな所を関心している場合じゃないや)


「聖女とはいえ、ミスト=ポークレット自由教教祖様への、

 ならびにフォレチトン領主様への不敬、スフィアは首を刎ねられても文句は言えません」


 あー宗教都市だと僕は教祖だから力関係的に上になっちゃうの、かな?

 でもあそこって宗教同士は仲悪いはず、それもあるから領主としての僕の立場も言ったのか。


「そうですね、確かにあのスフィア=ミンスラーの欲まみれな言動は見過ごせませんでした」


 なんとなく『大教会の枢機卿様がわざわざお越し下さったので許します』で済ませてはいけない気がした、

 これは何もソフィーさんベルルちゃんのかたき討ち的な事じゃなく、僕の侯爵としての、貴族のプライドだ。


「侯爵、彼女は確かに結果的に、魔薬草で一斉に処分された貴族の派閥と繋がりがありました、

 しかしながら当時の彼女では判断がつかず、また彼女の言動についても再三、わたくし共の方で注意を……」


 言い訳をずらずらと並べられるのはあまり良い気分じゃないな、

 そう思って『もういいよ』的な事を言って終わらそうとしたが

 ソフィーさんにジェスチャーで制される、反対を見るとベルルちゃんもか。


(ここは大人しく、言いたい事は言わせてあげなさいって感じだな)


 うちの両奥さんも納得していないであろう言い訳が丁寧に続いて……


「……といった訳で、どうか、どうか御慈悲を、願いに参りました」

「なるほど、オリオン=ミンスター枢機卿にとってはそれだけ大事な聖女なんですね」

「ははっ、どうか、どうか……どうか!!」


 頭を床に擦り付けている、ここまでやるか。


「んー、地下牢で幽閉するのも、モラベスクの枢機卿の大教会に閉じ込めておくのも一緒ですよね」

「そ、それではっ!!」


 ようやく頭を上げた、あ、額が紅い、あとちょっと泣いてる。


「フォレチトンを永久追放、配下の僧侶を使ってのちょっかいもやめて下さい、それでいいですね?」

「は、ははっ、多大な御慈悲を感謝致します、も、もう二度とモラベスクからは出しませんっ!」

「それはいいけどモラベスクへ行ったとき、嫌味とか言わないようにさせて下さいね」

「も、もももちろん、モラベスクどころか我が教会から一歩も外へはっ!」

「なら良いかな、ではさっさと連れて帰って下さい、キリィさん」「はっ」


 こうして引き取ってもらう事となった、

 うん、地下牢で飼うにしてもお金がかかるからね。


(何度も頭を下げて出ていった、よっぽど助けたかったんだろうな)


「ミストくん」

「は、はいっソフィーさんっ!!」


 あ、これ評価を出される!


「賢い判断でした」

「や、やっぱり出して、良かったんですよね?」

「もしもこれで許さなければ、私の父やお爺様が出て頭を下げる事になりました」


 ひえええええええ!!


「そ、それはまずい」

「ですね、ですからここで手打ちは上出来かと、ね? ベルルちゃん」

「一晩で許すのは本意ではありませんわ、でもミンスラー家の事ですから仕方ありませんわ」


 こうして僕は今後一生、

 あのそっくりさん、偽ソフィーさんこと、

 スフィア=ミンスラーと会う事は二度となかった……ってなるのかな?


(正直、会いたくないしぃ、ね)


 後から聞いた話だと地下牢から出されたスフィアさんは、

 転移テントで出て行くまで移動中ずっと、枢機卿に殴る蹴るされていたらしい。


(大教会こええええええ!!!)


 こうして合同教会に平和は訪れ僕に交代、

 ベルベットちゃんはどうやらお土産を自分で作って売ってるらしい、

 お布施はお布施、でも記念品を持って帰りたい人用らしい、意外と商魂逞しい、八歳なのに。


「やっと順番だよ、ようミスト!」

「えっ、誰?」

「ひとつ上でDクラスに居たセソンだよ学院の! 侯爵ってウチと一緒かぁ、お父さん頑張ったんだな」


 あ、これ僕が侯爵だってわかってない!


「ええっとセソン先輩は侯爵家の長男? 次男?」

「長男だ、だから将来は侯爵家当主だ!」

「ふーん、へー、あ、誰の身体を治しに?」


 あ、お付きのメイドが気付いたか耳打ちしたら顔色が変わった!


「お、おま、い、いや、まさか」

「で、先輩、長々と並ばせて申し訳……」

「俺と、ミストの、いやミスト君との仲だよな? な? なーーーーっ?!」


 友達って事で身分差を誤魔化そうとしはじめたな。


「忙しいからさっさと通って」

「は、はいいいいい!!」


 治したいのは妹さんだったみたいだ、

 重病まで行ってないから御前立で治して逃げるように去って行った。


(僕もまだまだだなあ)


 所詮はだめ貴族かぁ。


「ミストくううううううううん!!」

「えっ、誰?!」

「学院でふたつ先輩、Eクラスだったぺスタよーーー!!」


(に、肉を押し付けるなああああ!!)


 とまあこんな事もありながら夜遅くまで列の整理、

 参拝者の案内は続いたのだった、

 その夜、寝る直前にサリーさんからの報告。


「……という訳でナスタは南部の土地を諸国に虫食い、

 いやホールケーキを端から一口ずつ齧られたように土地を譲渡したそうですぅ」

「それで統一を認めてもらったうえに援助も貰ったんだ」

「はいぃ、北部に関しては国境線はほぼそのままでぇ、不可侵条約を」


 ちなみに真っ二つになったクスタは結局、その街の残り半分を貰ったらしい、

 敗戦国の王子や姫も順次処分、両腕の無い姫もきっちり処刑されたどころか、

 彼女を嫁に貰っていたカフリスの公爵家も取り潰しのうえ存在自体消されたとか。


「それでぇ、オプラス統一国王の息子、レブル様ですがぁ」

「リハビリはどうなってるの?」

「それについてはぁ、一度面会していただこうかとぉ」


 ええっと、王子がリハビリしている場所は、確か……!!


「し、仕方ないなぁ」

「はいぃ、地下の軟禁部屋で丁重にぃ」

「あ、そうなんだ」


 サキュバスダンジョンに行けると思って一瞬、頬が緩んだ

  だめ貴族だもの。 ミスト


「あ、でもサキュバスとかラミアとか、あてがってるの?」

「いえ、その段階は、もう」

「あっそう」


 まあいいや、明日、会ってみよう。


「では、その、お脱ぎしますねえ」

「えっ」

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