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人の心が見える俺にはハーレム生活イージーモード、でも一人に絞るのは無理ゲーだったin二度目の人生。  作者: iron-bow
第08話【そのクリスマス、永遠につき】

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Scene010:【梨子】

それはクリスマスイブの朝だった。


「母さん、今日は遅くなるよ。

オールになるかもしれない」


沙織母さんはきっと全て分かっている。

だけど、筋だけは通しておかないと。


「分かったわ。

晴道も”十六歳”ですもの。

わざわざ許可を取る必要もないわよ。

誰と過ごすのかなんて野暮なことは聞かないわ。

それにね、母さんは晴道のことを信用しているの」

(言うわよ、言うわよ、晴道のやられったって顔が楽しみ)


ああ、これは定番の、


「避妊してくれるって!」

(ふふーん、どう)


やっぱりな。


⸻

そう、俺はあのクリスマスイブのループを抜け出した。

十六歳の今世に戻ってきたのだ。


今日は花音さん主催のクリスマスパーティーなのだ。


参加者は、

小泉香織

如月千紗

阪本梨子

里塚由美子

早乙女莉子

一ノ瀬花音

中里京子

橋本花月

島村千鶴

(敬称略)

これは俺と出会った順だ。

他意はない。


ちなみにあのループの間には居なかった、梨子お姉ちゃんがいる。


これは”あれ”が操る世界であっても、梨子お姉ちゃんなら、自分の思い通りの世界に書き換えてしまうかも知れない。

あの自称”愛の女神”ですら、そう思ったのではないか。

俺はそう考えている。


⸻


千紗、由美子、花音さん、花月さんは、心の中の声を抑えてくれるからいいけれども。

後の五人で十分騒がしかった。


(今日こそ決めるわよ!イブよイブ!下着だって、もうばっちり決めてきたんですから。きゃーきゃーきゃー)

(晴道様、今夜は私を捧げます、なんてね、きゃーきゃーきゃー)


香織姉さん、千鶴さんが揃うと姦しいったらありゃしない。


(晴道、今夜は寝かせないわよ)

もう決定しているかのような心の中の声は梨子お姉ちゃん。


(私にはだって、チャンスは欲しい)

切実に願っているのは莉子。


(私は見守るだけで、良いの)

控えめなのは京子。


まずは立食パーティーから始まった。


一応人数分の席は用意されているが、

各自の定位置はあえて決められていない。

席を固定してしまうと、

俺と同じテーブルを巡って壮絶な争いが始まってしまうという、

花音さんなりの配慮だった。


出される食事はどれも凄まじかった。


ライブキッチンで供される神戸牛のステーキ。


板前さんが目の前で握る高級寿司。

さらには、生きたウニをその場で割って出してくれた。


ふんわりとしたオムレツが超絶技巧で作り上げられていく。


見れば分かる。

どのシェフも超一流の料理人だ。

本来なら、こんな出張ライブキッチンに立つような人たちじゃない。


「ちょっとお金に物を言わせすぎちゃったわ。

大人げなかったかしら」


主催の花音さんが苦笑交じりにそこまで言うなんて、

一体どれだけの費用がかかっているのやら。


⸻


パーティーは大いに盛り上がった。


まあ、女同士の腹の探り合いってのも大きかったけれども。


やがて、プレゼント交換の時間となった。


花音さんの提案で、それぞれがプレゼントを一つ準備し、それを賭けてビンゴゲームをするのだという。

プレゼントの中身は事前に明かされるが、誰の出品かは伏せられる。

先にビンゴになった人から好きなものを選べるシステムだ。

そして、その景品の目玉は──『晴道と今晩ホテルに泊まる権利』。


俺の出品だけは、強制的にそうなっていた。


⸻


ビンゴゲームは狂気的な盛り上がりを見せた。

というか、一部のメンバーは……否、言うまい。

百年の恋も冷めそうなほどの、凄まじい痴態だったから。

特に心の中の声がね…


結局、激戦を制して一番にビンゴを叩き出したのは、梨子お姉ちゃんだった。


うん、やっぱりね。

”あれ”がループの間、梨子お姉ちゃんを出さなかったのは正解だよ。

出していたら、きっと八回共に一番ビンゴを叩き出していただろう。


⸻


そして、翌朝。


「梨子お姉ちゃん……」

「梨子、でしょ」

「梨子……本当に良かったのか?」

「何のこと?」

「だって、もしものことがあったら……」


俺は沙織母さんの信頼を裏切ってしまった。


「何をいってるのよ、こっちでちゃんと準備していたに決まっているでしょ」

「えっ?」

「私が”できちゃった結婚”なんてかっこ悪い勝ち方を選ぶわけがないでしょ。

正々堂々と勝負して、晴道をゲットしてみせるわよ。

昨晩のビンゴゲームみたいにね」

「そっ、そうだね」


そうだ、梨子お姉ちゃんは昨晩のビンゴゲームも、他の誰もリーチに辿り着く前に、ビンゴになっていた。


やっぱり梨子お姉ちゃんは世界最強だった。


「まあ、それでも、選ぶのは晴道よ。

せいぜい悩みなさい」


梨子お姉ちゃんは、最高の笑顔でそう言った。

ああ、ここはこれで締めよう。


人の心が見える俺にはハーレム生活イージーモード、でも一人に絞るのは無理ゲーだった。


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