六話 魔法
リヴェルは天草家の空き部屋で目を覚ました。
「んぁ?ここどこなのだ?」
いつもの無駄に豪華で高い天井ではなく、普通の天井に混乱しながらも起き上がる。
「あ!そうだ、勇者の家に泊めてもらってたのだ!」
あの後リヴェルは疲れて眠ってしまい、11時間近く眠っていた。
「む?でも、なんであんなに眠かったのだ?」
そんなことを考えながら体を動かす。
大きく伸びをすると急に風が吹いた。
「わ、わわっ、なんなのだ!?」
慌てながら窓を確認したが、しっかりしまっている。
しばらく慌てて、ドタバタしていたが違和感に気づいた。
「む?この風、ワレの魔法か?」
体内の魔力を制御すると風は消えた。
「なぜ?魔法がほとんど使えなくなっていたではないか。疲れていたのと関係があるのか?」
リヴェルは自分の状況を探るために魔法を発動する。
火の魔法だ。火をイメージし、手を開くとそこにろうそくほどの小さな火ができる。
リヴェルは窓を開け、そこに魔力を少しずつながす。その火は少しずつ膨れ上がり、最後には中級の魔法使いが使うほどの炎になった。これ以上は危険だと判断し、火を消したが、まだいけるだろう。元の世界程の火力は出せないし、扱いづらいことこの上ないが、リヴェルが50年間鍛え続けてきた技術は失われていなかった。
「なぜだ?昨日はほとんど使えなかったのに……」
そう考えながら様々な魔法を発動する。
水の魔法、氷の魔法、風の魔法、物を操る魔法。
など、その場で試せるものはすべて試した。さすがに雷などは室内で使えない。
扱いづらくなっているせいか、必殺技級の技や、物理的な影響の強すぎる魔法は使えなかった。
派手な技はほぼすべて使えないだろう。しかし、技術を使ったものは問題なさそうだ。
水の魔法と炎、氷などを同時に使うことで温度調節などはできるだろう。
先程リヴェルの意思ではなく、風の魔法が発動した。
「もしかして、あの転移の魔法陣も、ワレが?」
魔王城の廊下に発生した魔方陣。魔王城には巨大な結界が張ってある。それをすり抜けて魔法が入ってこれるとは思えない。
しかし、内側で発動したというなら説明ができる。
「じゃあ、魔法が使えなくなって疲れていたのは魔力不足か?いや待て、なぜワレは転移の魔法を使えたのだ?ワレはそんなもの使えないぞ?」
「おい、何ガタガタやってんだ朝から、うるさいぞ。」
勇者はリヴェルの部屋に入る。ちょうど隣の部屋だったガルシアから「うるさい」と苦情が入ったから彼が様子を見に来たらしい。
「ん?おお勇者か。うるさかったか?ふむ、次からは防音の結界を張るとしよう。」
「は?」
ラージュは目を丸くする。
「おまえ、魔法使えんのか?」
「ん?ああ。」
「この世界で?」
「そうだと言っているであろう?」
「・・・はぁ~!?」
「お前もうるさいのだ!」




