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第7話:恋堕の天使


「――――」

「――――」

「――――」

「――――」

「――――」


 それから次の日。俺はまた却下ン視(サイドシーイング)によってアキラが朝早くから待機しているだろうことを察してそれより早く家を出た。そうして駅で読書に勤しみ、それから電車に乗って学校へ。そのまま校門を通り過ぎると、周囲の生徒がざわついていた。俺を見てヒソヒソと話している。あまりいいことじゃないのだろう。けれど差し止めることも出来ずに。


「にゃー。おはよう。ネバダ」


 で、まぁ何時もは何時もの何時も通り。砂漠谷エリは刺激的な格好をしていた。今日は裸コートらしい。春が少し過ぎ去った季節。そんなことをして肌寒くないのかと思ってしまう。ツッコもうかと悩んだが、それも難しく。


「露出癖でもあるのか?」


「ないけどドキドキはしたいじゃん?」


 それで裸コートというのも剛毅な気がする。


「あ、ブラとパンティは付けてるよ?」


 そういう問題じゃねー。


「ところで昨日はすごかったみたいだね?」


「何の話だ?」


「バスケ部のエースをワンオンワンでボコボコにしたって」


「え?」


「もう学校の生徒のSNSで拡散されてるよ?」


「さいかー」


 別に全力は出していないのだが。ちょっとダンクとスティールをしただけだ。


「あのー。ちょっといいですかぁ?」


 で、午前中の授業を終えて、昼休み。俺が「さて、どうしてくれよう」と思っていると、何か愛らしい声が聞こえた。ロリ声というか。未成熟に発達していない声。そっちを見ると、愛らしい美少女がいた。ロリ顔で、童顔で、顔が小さいのに目が大きい。染めているのか地毛なのか……茶色い髪の女子生徒。ロリっ子を体現したような様相だが、この高校にいる以上、十五歳以上であることは確実だろう。飛び級制度も無いしな。


「伏見先輩を呼んでくれませんか」


 ピシッと空気が軋んだ。こんな可愛い女の子が俺を指名すれば、それは有って四十八癖。


「恋堕の天使が……?」


「伏見くんに……?」


「月影の女神だけじゃなく?」


 ソレでどよめいたクラスメイトが俺を見る。その俺は、このままエリと会話していたいのだが、そういうわけにもいかず。


「あ♡ 伏見先輩♡」


 で、どこからどう見ても俺以外には恋する乙女に見える笑顔で、彼女は微笑み、それからヒョコヒョコと手を振った。いいからこっちに来い。そう言っているようだ。


「誰?」


「学校の三大美女の一人。一年生代表、須藤カーマさん。二つ名は恋堕の天使」


 恋の堕天使ねぇ。


「何か用か?」


 仕方ないので席を離れ、それから教室の扉で待っている恋堕の天使……須藤さんに声をかける。彼女はモジモジとして、しきりに恥じらうような雰囲気を出し、それから困ったように告げる。


「私と昼食一緒しませんか?」


「……あー」


 困ったことになった。どうにも須藤さんは俺に興味があるらしい。


「ダメって言ったらどうなる?」


「生徒指導の先生にあることないこと吹き込みます」


 別に虚偽情報なら幾ら喋ってもらってもいいのだが、ここで頷かないのもなんだかな。


「じゃあ学食行くか。チキンレッグカレーを食いたい」


 マジで米糠高校の学食はメニューが多くて恐れおののく。


「それで」


 チキンレッグカレーを頼んだ俺。その対面にはざるソバを頼んだ須藤さん。


「俺に何か用か?」


「その……こういうことは恥ずかしいんですけど……」


 そのモジモジを止めろ。ウザったい。


「昨日、バスケ部のエースの真盛先輩をボコボコにしましたよね?」


「まぁボコボコというか。いい勝負はしたな」


「私、昨日は体育館にいて。先輩のプレイ見ました。すごいカッコよかったです」


「ふーん」


 乙女が恥じらいながら告白している風な須藤さんの言葉に、俺はどうでもよくスルー。チキンレッグカレーを食べる。


「それでぇ。先輩のことが気になってぇ。私とデートとかしませんか?」


「しません。じゃ」


 カレーを喉に流し込んで、そのまま立ち去ろうとすると、ギュッと彼女が足を踏んできた。ニコニコ笑顔で頬を朱に染めているが、俺には別のことが見える。


「足踏まれているんだが」


「まさか自分だけ食べ終わったから去ろうとかしませんよね?」


「そのつもりだが」


「私とデートしてくれますよね」


「俺のことが好きなのか?」


「カッコいいとは思っています」


「バスケ上手くてもロイヤリティは入ってこないぞ」


「じゃ、先輩は何でバスケが上手くなったんですか?」


「趣味」


 他にない。


「先輩がバスケ部に入ったら、私はマネージャーしましょうかなー?」


 心にもないことを言ってくる。


「じゃ、そういうわけで。放課後は空けておいてくださいね」


「あんまり俺と仲良くしない方がいいぞ」


「先輩に恋する乙女に嫉妬される?」


「ああ、俺、喪男だから」


「カッコいいですよ?」


「そうやって適当なことを言うんだよなぁ」


 ま、別にいいんだが。


「庵宿まで遠出しましょうよ。気になってるクレープ屋さんあるんですよ?」


「甘いモノね」


「お嫌いですか?」


「大好きだが……お前とね」


「先輩ってもしかして私のこと知りません?」


 茶髪のロリ顔。だが胸だけ大きくてトランジスタグラマーというかロリ巨乳というか。制服も身長相応のサイズなのに、胸の部分だけ苦しそう。


「おっぱい見てますよね」


「見るだけならタダだからな」


「せめて言い訳とかしてくださいよ」


「断る」


 お冷を飲みながら、須藤さんに足を踏まれて、そのまま席についたまま。


「で、俺とデートして何したいの?」


「先輩と仲良くなりたいんですよ。言わせないでください。恥ずかしい」


「そういうことを他の男にも言ってるんだろ」


「今のトレンドは先輩ですよ?」


 あーはいはい。


「クレープねぇ」


「自撮りしてアウトスタグラムに載せましょうね」


「俺は映すなよ」


 検閲官仮説が働くからどうせ映らないとは思うが。


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