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12話 とても強い番人

 さて、そういうわけで。気持ち悪いおっさん虫達を駆除しながら、ヤクシーの住む森を進んでいる私達だが、当然ながら例のダークエルフ達も居る。

 私の知っているダークエルフと呼び方が違うからか、戦闘力も魔法力も桁外れに強い。


 リーシアさんの魔法なんか、簡単に弾かれていたよ。それでも、私の敵ではない。


「私は、デイライト・ハイダークエルフより強い」


 これを言ってしまっているからね。よって、ヤクシーを守る集団は、私の圧倒的なスピードとパワーでねじ伏せました。


 と言いたかったんだけれど……。


「…………」


「あぁ、多少骨がありそうだと思ったが、ただの天恵持ちかよ。くだらねぇ」


 身の丈以上もある大斧と、同じくらいの大きさをした戟というのか、槍のような先端と、側面に三日月型の刃が付いている、そんなリーチのありそうな武器を持った、巨体の男性ダークエルフが私の前に立ちふさがって、私の攻撃をいとも簡単に弾いてきたんだ。


 他のダークエルフ達は私にやられ、満身創痍で横たわっているのに、こいつだけはそんな事は意にも介さず、倒れている仲間ごと殺る勢いで攻撃してきたんだ。


『何て事をしているのですか』


「そりゃこっちのセリフだ」


 筋骨隆々で、エルフの長耳に褐色肌。髪は赤くて、それを束ねて三つ編みのように太くした髪型、ドレッドとか言うんだっけ? 詳しくはないけれど、そんな髪型をしているから、結構な威圧的がある。


「あ、あぁ……その姿に髪型。ハイダークエルフの国の中でも最強と謳われている戦士。パイルパー・イーダン。ヤクシーの防衛についていたなんて」


 そんな彼を見て、リーシアさんがあっという間に遠くへと離れて行き、木の陰に隠れてしまいました。そんなにですか?


「分かっている奴はいるようだ。で、何の理由でこんな事をーー」


『理由? そりゃリーシアさん達の住むエルフの里を、シシの管理下にある森に進軍しているからだよ。ちょっとヤクシーと話をつけたかったけれど、邪魔ばっかりしてくるから』


「喋れねぇってのは、天恵のせいか。どうやら自己にかけるタイプか。んで、理由についてはそれか。まぁ、今回については俺も思うところはある。あるのだが、まぁ……エルフの間にある昔からの禍根ってやつだ。今さらだな」


 ある程度話は通じそうとは思ったけれど、駄目っぽい。彼には彼の流儀があるし、そう簡単には通してくれないか。


 それはそれとして。


『さっき、何で私の攻撃を防げたの? ハイダークエルフよりも強いってしたのに』


「んん? そりゃぁ、まぁ。俺はそれよりもつぇからだ!」


「くっ……!!」


 そう言って斧を振り上げて、思い切り地面を抉り、岩とか砂とか諸々混じったものと、斧を振り上げた時に発生した刃のような衝撃波で、私を攻撃してきた。


 ギリギリで避けられたけれど、かなり広範囲の攻撃をしてきたから、彼の姿を見失った。


「後ろっ!?」


「ほぉ! 避けるか?! それなりに鍛錬してんのか?」


 殺気を捉えたから、咄嗟に屈んだだけだよ。危なかった……。


 とにかく、こいつに関しては一瞬の隙すら許されない。まぁ、つまり……私達が相手するには、ちょっと荷が重いかも知れない。


 今まで天恵スキル頼りだったからね。ただ、それでもこいつに勝つ方法はある。


「私は、あなたよりも強い」


 こう言って斬りつければ、大抵は……って、え?


「ん? どうした? それなら俺はそれよりも強くなるだけだ」


「…………」


 防……がれた。


 思わず絶句しちゃったよ。いや、言葉では何とでも言えるけれど、だけどそんな直ぐに自分の強さを上げる事なんて出来る?


「はは。面食らってやがる。だが、それもそうか。お前の天恵スキル、ちと弱点があるんだよな。その、お前が他の誰かよりも強いっていうやつ。それよ、強さに値なんかねぇから、明確な線引きが出来てねぇだろう? そこを突けば良い。それだけだ」


「あぁ、なるほど」


 つまり今まで私は、相手の強さの指標を現状見えている部分と、相手の精神面みたいなもので決定していて、それ以上にしていたわけで、強さなんてものは小出しにすれば実力を隠せるし、いくらでもぼかせる。

 精神面もまぁ、さっきみたいな自己暗示でいくらでも自身の強さを上乗せ出来るわけだ。


 と言ってもそれって……。


『よっぽど自信過剰じゃないと無理でしょ?』


「ん? あぁ、そうだな。しかし、俺は出来る」


 実際出来ていますね。


 こんな方法で、私の天恵スキルの突破方法があったなんて。思いもしなかった。きっとあの屋敷内にずっといていたら、分からなかった事だ。


「お、おい。ミレア、何とかしろって。言い方を変えれば、いくらでも何とでも出来るだろう」


 ん〜それはそうなんだけれど、その場合博打になる。ある程度セーブ出来る指標の方が良いんだよ。そうじゃないと、それこそ底無しになってしまう。


 どこまでも、強くなってしまう。


「うぅ〜ん」


「どうした? ギブアップか?」


 いや、もうこうなったらさぁ。出来るだけ、真言のスキルは使わずに勝つしかないって事だよ。あとは、あべこべのスキルだね。これを活用して勝つしかない。


「…………」


「ん? 何だ。無言で近づいて来て。捕まえて欲しいなら、そうーーんがっ?!」


 実はこのあべこべのスキル、自動で発動する部分と、そうじゃない部分があって、喋る方が自動で発動しやすい。行動まで自動になると、それこそ生活しにくいからね。よって、行動の方は自動じゃない。

 だけど、こうやってスイッチをオン・オフする様に切り替えると、自分や相手の行動をあべこべにさせることが出来るようになる。


 だから、捕まやりやすそうな行動や体勢を取るだけで、それとは逆、捕まらないような行動を取るようになる。それでひじ打ちしたけれど、相手にとっては不意打ち過ぎたようで、思わず地面に膝を……つかせないけどね。


「うっ、ぐっ……な、なんだ、これは?! 自分の動きが……気持ち悪い。意図しない方に動きやがる。あぁ、なるほど。天恵スキル2つ持ちか! んで、これは何か逆になるとかそんなのか! 厄介な!」


 しかもひじ打ちの強さも、こっちは軽くのつもりでもかなり強めになっていて、割とダメージが入っているみたいだ。しかも膝をつけなかったからか、足がプルプルしてて、産まれたての鹿みたいになっているよ。辛そうだねぇ。


『辛い? 戦うっていうなら、もっと辛い姿勢を取らせる事になるよ』


「ふ、ふん。行動が逆になるだけだ。それなら、身体の動かし方を本来の逆にすればいい……ん、だっ! はぁ!?」


 あぁ、だからこっちでオン・オフをしているんだから、相手がその対処をしてくるってなったらオフにしたら良いんだよ。そしたら、その通りの行動になるからね。

 そう、相手は立ち上がろうと行動したから、思い切り足をピーンと伸ばして立ち上がり、勢い余ってちょっとジャンプしちゃって、太めの木の枝で頭をぶつけました。


「……はぁ、はぁ。ま、待て。ちょっと待て。お前、そのスキルヤバ過ぎないか?」


『あれ? 今気が付きました?』


 何せ私が数年かけて、頭の中で行動や発言を逆転させるやり方を編み出したくらいのもので、しかもまだ完璧じゃないときたものだ。


 そう簡単に攻略なんて出来っこないんだよ。


「うっ、くっ……い、今どっちだ。どっち……ぐっ!」


 とりあえず武器を振り上げようとしたね。逆転させて下にめり込ませてるけど。


「逆か……それなら、いやまて、またその通りにってされるとなると、逆を……あっ」


 そうなると、戦闘行動なんてとてもじゃないけれど出来ないので、後はまぁ後衛の方とか、自分もこの為にと用意している、眠り魔法が凝縮されている眠り玉を放り投げれば勝ちさ。


 今回はリーシアさんが機転を利かせ、魔法で相手を眠らせてくれました。


 これで、何とかヤクシーまでの道は開けたね。このままご対面といきましょうか。

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