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8話 魔王城の建築 ②

『はい、それじゃあ。ルリアちゃん、魔族や魔獣達の服従早めにお願いしますね。熱血勇者君が来る前にしておかないと、アレはヤバイよ』


「そ、そんなにかよ……というか、毎度の事ながら瞬殺するお前もお前だよ」


 あぁ、はい。前回あんなに慌てて引いておきながら、私の自慢である尻尾ビンタでアレはのしました。私は亜次元竜よりも強いって言えば、スキルで改変されてこのとおりです。

 というわけで、細長い気持ち悪い竜は私の足元でピクピクしながらおねんねしています。今は変な液体みたいなものが付いていたら嫌なので、念入りに尻尾の手入れをしているところでした。


「私があんまり慌て無かったのも、ミレアさんのスキルがあれば問題ないかな〜と思いまして」


『それもそうなんだよね。それで、そんな私がルリアちゃんを下僕にしているとか、何か変な認識をされているせいで、魔族や魔獣の皆さんがせっせと働き出しましてね、一旦私達は必要ないかなと思って、急遽入った別件に取り掛かります』


「そうなんです〜ギルドの連絡魔法が来て、私の住んでいた村で奇病が発生したらしく、森の木々まで異様な様子みたいなのです。魔王城の建築資材でもある、アラカシの木とシラモミの木も異常らしく、このままでは魔王城の建築にも影響が出ます〜よって、エデン君含め、ミレアさんと一緒に見に行くことにします〜」


 そういう急ぎを連絡してくるのは良いけれど、他の冒険者達じゃ駄目なのでしょうかね?

 真っ先に私達に連絡してるでしょ、これは。あんまり私達ばっかりに振られても困るよ。


「ちなみに〜私達エルフの住む森は、人間の男性が入ろうとすると、エルフの魔力で魅了、もしくは幻惑や幻覚にさらされてしまい、村にすら辿り着けません〜そこでの、私達への依頼なのですね〜それと、八聖神も関わっていそうなので〜」


 そうなると、私達にしか出来ないわけか。あと、また八聖神ですか。エルフの森だから、きっと森林王の「シシ」か草花王の「ヤクシー」あたりかな?


『リーシアさんの住んでいる近くには、どっちがいたの?』


「シシ様ですね〜木が異常なので、今回はそちらです。ヤクシー様は、もっと森の深い場所でして、魔族に味方をしていたエルフ族が信仰していますね。褐色肌と赤髪が特徴のエルフ族、デイライト・ハイダークエルフです」


『何その、ダークエルフが2つ程一気にランクアップしたやつ』


「とても野蛮なので危険なのですよ〜」


 聞く限りそうでしょうね。というか……。


『ルリアちゃん、そいつらも味方にしないといけないんじゃ……って、あ』


「ふ、ふふふふ。最高じゃねぇか〜褐色肌のムチムチダークエルフとか、ウヒヒヒヒ」


 誰よりも魔王らしくていいですが、今はそんな煩悩まみれになっている場合じゃないんだよ。しょうがない。


「あ〜ルリアちゃんって、幼くてモーー」


「いぃっ!! 待て待て! 分かったから!! そういう脅しとかで行動を改めさせようとするの、やめてくれねぇか!!??」


『そう言われてもねぇ。使えるものは徹底的に使い倒すのが私だからね』


 特にルリアちゃんには効果てきめんなんだよね。よっぽど嫌なんだろうね。

 とにかく、今回は森林王の方なので、ダークエルフとは会わないよ。いや、ルリアちゃんは連れて行かないけれど、同時進行でダークエルフの所にルリアちゃんを送るのもアリかな?


『ルリアちゃん、遅かれ早かれそのダークエルフ達とは接触しないといけないから、ついでに様子見ていきますか?』


「ん? あぁ、そうか。それは確かにな。分かった、建設はこいつらに頑張って貰ってーーって、そこ! 犬小屋作ろうとするんじゃねぇ! お前等の家じゃ……あ、俺の家かそれ! ふさけるな!!」


 な〜んか、ダメそうかも知れない。結局こっちも、ルリアちゃんがいないと何も進みそうにないや。

 先ずは、この辺りの魔族達を服従させないと……となると、ルリアちゃんはしばらくここから動けないですね。


『しょうがない。私達だけで行ってくるし、もしそのダークエルフに会ったら、事情だけ伝えて、協力してもらえるか言ってみるよ』


「おぉ、頼んだ。こいつら、中々俺に服従しやがらねぇ」


 まぁ、その見た目だし。なんて言ったら睨まれそうなのでやめとこう。それは主に私のせいだし。

 あとね、私が文字見せる為に、肩をツンツンする度ビビらないでくれるかな? やり辛くなるよ。


「ミレアさんがいい具合に釘を打ってくれますね〜」


『打ちたくて打っているわけでもないんだけれど……しょうがない、変な事されて余計にややこしい事になるよりも、私が釘刺してスムーズにいくほうが、この世界の問題も早く解決しそうです』


 そうしたら、またノンビリ自堕落な生活が出来るというわけです。あ、元の性別には……もう、戻れなくなっていたんだ。やらかしてしまったからね。

 そう、このスキルを無効にして無くしてしまわないとね。その為にも、このスキルが何で付与されているのか、それを突き止めないと。


 ◇ ◇ ◇


「はい、そういう訳でですね。私の村へとご案内します〜」


『はいはい、リーシアさん。それは良いけれど、これは何ですか?!』


「ちょっ、待て! 蔦が……お前何を!?」


 出発の準備を済ませた瞬間コレですよ。な〜んで私達を、地面から出した蔦で持ち上げているのですか?

 しかもグルグルと絡まってきて……って、何故かエデン君と密着させられてきている!!


『ちょっとリーシアさん! エデン君と引っ付かせ過ぎ……って、どこ触っているんですか、エデン君!』


「ちょ、待て待て。不可抗力だろ、これ! あ、というか割と胸あるんだな……むぎゅぅ」


『ちょっと黙っててくれますか?』


 そりゃ年相応にはありますよ。いちいち意識させないでください。そればっかりは、意識すると戻ってこれなくなりそうだから、ずっと意識していないんだよ。まぁ、私の尻尾をエデン君の首に巻き付けて、軽く絞めて忠告したけれど、リーシアさんを止めないと意味がない!


「はぁ〜良いですね、良きです〜こう、初々しい2人の、ギクシャクした感じとか、照れている様子とか、それでしか得られない栄養が……ジュル。私の村からかなり距離があって良かったです。やっ〜と、楽しめそうです〜」


 まさかのリーシアさんが、こういうものを好物にしているとは思わなかった。

 恋愛ものとか、それに近い絡みとか、何なら大人向けの展開すらも好物として摂取してきそう。思わぬ所で貞操のピンチ。


「ずっ〜と、ミレアさんを虎視眈々と狙っていましたが、私は別にミレアさんとそういう仲になれなくても、こうやって別の方との絡みを披露してもらったほうが……んぐっ?!」


「リーシアさん、10分黙ってて」


 ずっとその素振りも見せず、そういうタイプの人だとも悟られず、この時を狙っていたなんて……お、恐ろしいエルフだよ、リーシアさんは。長生きしているからこそ、こうも行動を読まれず、理性も抑えて一緒にいたなんて……リーシアさんが普通に怖い。ニコニコとしているけどね。


「ミレア。お前、厄介な奴等ばっか近付かれてるな。体質か?」


『知りません。とにかく、ミレアさん。早くこの蔦外して……』


 って、あれ? 蔦を外すどころか、蔦が更に伸びて、思い切りしなり始めたのですが……。

 あ、待って待って。嫌な予感がするよ。距離があるからって、それは流石に。


『リーシアさんストップ! 流石にこんな方法では……あっ』


 10分間、リーシアさんを沈黙状態にさせていました。つまり返事も出来ないし、魔法解除の呪文も言えない。というわけで……。


「キャァァァアアア!!!!」


「うわぁぁぁあ!!!!」


 思い切り蔦を使ってぶん投げられてしまいました。


 リーシアさんって、武道派だったのですか?

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