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7話 魔王城の建設 ①

 結局、何だかんだで魔王城跡地付近に、ぞろぞろと魔物達が集まってきた。人型の魔族も居るしで、この世界の魔王って存在が、本当に重要だったのが良く分かったよ。


 必要悪ではないけれど、この世界に流れる魔力を循環させる役割が、魔王だったわけか。

 てっきりゲームみたいな感じで、悪者で人々を苦しめているとかだと思ったけれど、この世界はちょっと違うんだって、再認識させられました。


 勇者というのも、その魔王と激突する事で、世界に流れる魔力を活性化させ、また世界へ沢山循環させていくという感じなんだ。


 どちらかが欠けたら成り立たない。


「それで、勇者とやらは何とかなったか?」


『あ、はい。それは多分、大丈夫だと思います』


 八聖神の1体ガガールが、私にそう言ってくる。

 やっぱり1からよりも、血筋を追って、その人に勇者になってもらったほうが循環も早くに戻せるわけであって、ここから先は私達がする事はあまりないようです。


 と言ってもーー


「よし、それじゃあ魔王城を再建するぞ〜!」


「「「おぉ〜!!!!」」」


 やる気満々のルリアちゃんを制御しながら、魔王城を再建するという仕事が残っていましたね。


 あんまり勝手されて、めちゃくちゃなお城にだけはならないようにしないと。


「それじゃあ先ずは、偉大な魔王様たるこの俺の銅像から!」


 そうそう、こんな風に銅像なんか……銅像?!


『ルリアちゃん。先ず住める所から作らない?』


「ふん。お前達が勇者の様子を見に行っている間、野宿だったからな。別に今更野宿が伸びようがどうでもいいさ。それより、俺の偉大さを知らしめておかないと……!!」


 あ〜何か妙に焦ってると思ったら……。


「ルリアちゃんが、そんな立派な魔王になれるのか〜?」


「せいぜいが俺達の愛玩用で、とても可愛い魔王ちゃんってところだぜ〜」


「そういう認識を改めさせる為にもなぁ!」


 獣人のワンちゃん達にベロベロ舐められながら、全身くまなく匂いつけされてるよ。な〜にしているのですか。全くもう……しょうがない。


「ルリアちゃんはーー」


「お前等! 遊ぶならあの狐娘で遊べ!」


「へぇ?!」


 ルリアちゃんを可愛がりながら従うようにもして上げようと思ったのに、立派な愛玩動物としてさ。もちろん愛玩動物はルリアちゃんがだけど。


『私は、君を敬うようにとあの獣人達に……』


 って弁明を書く前に、ルリアちゃんが怖い顔をして言ってきます。


「それなら、俺の名前が先に出ないだろう? どうせ愛玩動物として、可愛がらせて従わせようとしたんだろう?」


『ギックゥ』


「って書くんじゃねぇよ!! 隠す気ねぇじゃねぇか! 存分に舐められとけ!!」


 はぁ、しょうがない。


「ワンちゃん達、君達は賢いよね。言う事を聞いて私を襲うよりも、ご主人様の方が良いでしょう? そうだよね? ねぇ?」


「「「ワンワン! そのとおりです!! というわけだ〜ご主人〜! 存分に可愛がってやる〜!!」」」


「はっ?! え? どういう事だ!! 何でかけなおしてくるんだ! 最初にこっちのスキルの効果だろう!」


『いやぁ、それに関してはエデン君から聞いたからね』


 ここに帰る前に、ちょっとだけこのスキルの裏技みたいなものを教えてくれたんだ。


 実は、似たような天恵スキルを持っている人達が争った場合、上掛け合戦というか、悪い意味では呪詛返しとかのように、スキルを跳ね返し合う事が出来るんだって。


 だから、さっきルリアちゃんが言ったことと近い事を言って、ルリアちゃんの指示を私の真言で上書きしたのさ。もちろん、ルリアちゃんはこれを跳ね返せるけれど……。


「あははははは!! だめ、やめ! そこ、やめてぇ!! 何もないから、そこは……らめぇ!!!!」


 当然話してないから、ルリアちゃんはそのままワンちゃん達の舌技を受けております。お見せ出来ないですね、これは……しかも、放っといたら艷やかな悲鳴にまでなりそうだね。


「可愛いわ〜ルリア様〜このまま堕ちちゃえ〜」


「勘弁してくれぇ!!」


 そして何故かサキュバスさんまで参加してました。何しているの?


 ◇ ◇ ◇


「てめぇ、卑怯な事してんじゃねぇよ!」


 その後、何とかワンちゃんから抜け出られたルリアちゃんが、エデン君から裏技の事を聞いてしまい、私に詰め寄ってきました。


 何で話すかな〜と思ったけれど、まぁそこは平等じゃないといけないよね。私ばっかりが有利だったらそれこそ卑怯だね。


「それにしても、勇者の末裔って……そんなにヤバいのか」


『ヤバいというかなんというか。私がヤバくしてしまったというか。いや、でも……あのままじゃあどうにもならなかったし』


「はぁ……まぁ、事情が事情だしな。それでだ、魔王城建築の為、材料とか集めさせているけどな、ここからだと見えない位置に、変な紋様があったんだよ。陣みたいだが、魔法陣ではなさそうなんだ。エデン、何か分かるか見てくれねぇか?」


「ん〜? OKどこ?」


 そうルリアちゃんに言われ、エデン君はトコトコと着いていく……姿を見ていたらちょっと可愛いかも、とか考えちゃった私の頭がヤバい!!


「あ〜ミレアさん。何か恋する乙女みたいですね〜」


『うるさいですよ、リーシアさん』


「それよりも〜気を付けた方が良いかもしれませんね。その紋様」


『何で?』


「多分ですけれど、異界の魔獣か魔人でも呼べる、亜空間のワープ穴かもしれません。スッゴイ危険な魔力が、ルリアさん達の行かれた方から流れているので〜」


『それさ、向こうに行っちゃう前に言ってくれる? リーシアさん』


「あ〜そうでしたぁ」


 おとぼけリーシアさんも可愛いけれど、今じゃないんだよね。今じゃ。


「なんじゃこりゃぁああああ!!!!」


「うわわわわ!! 亜空間に住んでいる亜次元竜だぁ!! やっべぇ! うっかり忘れてた〜! しかも退治する道具も忘れてた〜!!」


 な〜んかグネグネした蛇の様な見た目で、厳つい頭と顔をした、細長い竜が2人の後ろから猛スピードで迫っていました。


『2人ともこっち。私の後ろに』


 とりあえずそう書いて手招きします。その後に、後ろの竜に向かって叫びます。


「あなたはUターンしてあの穴へ戻る!」


「あ、ミレア! アレには効かねぇんだよ、それ! 耳ねぇから!」


「あいつ耳あるの?!」


 と驚いて言ったら逆転してしまったよ。あ、だけどこれで、あいつに耳が出来るね。それじゃあもう一回……あれ?


「それとな! こいつらはこの世界の生き物じゃねぇから、お前の天恵スキルも効果ねぇんだよ!!」


「そっちを先に言え〜!!!!」


 ここまで叫んだのは随分久しぶりだよ!


 全員で後ろを向いて一目散だよ。

 何せあいつ、口から濃い紫色の炎を出していて、それが地面に広がると、そこから変な西洋の甲冑みたいなものを付けた、兵士みたいな人間がヌルリと出てきているんだよ。


 ただ、アレも人間じゃないと思う。


「キシャアアアア!!!!」


 言葉喋らないし、顔の口部分がギザギザに裂けて叫んでいるんだもん!


『エデン君、アレを知っているなら倒し方教えて!!』


「だ〜から、道具忘れたんだよ! つい最近駆除していたから、大丈夫だと思っていたんだけどな〜」


『駆除ってなに?!』


「よう〜するに、お前達の世界でのゴ〇ブリみたいなもんだ〜!」


『あれゴキ〇リですか!?』


「みたいなもんって言っているんだ! 〇キブリじゃねぇけど、そういう扱いしているんだよ、俺達は!」


「お二人とも、伏字の意味がないような……」


『何言っているんですか、リーシアさん』


 全くわけのわからない事を……伏せた所で、黒光りする虫だとか、一匹見つけたら10匹はいる虫って、そういう説明もわかりづらいし面倒くさいでしょう。


『ゴキブリをゴキブリって言って何が悪い!』


「もう伏せてな〜い」


「それよりも、あいつどうするんだよ!!」


 おっと、うっかり。

 いい加減なんとかしないと、サキュバスさんやワンちゃん達まで驚いて、私達と一緒に逃げ回っているんだよ。ただ、ガガールさんは剣を前で持って地面に刺し、まさしく私は銅像です、動きませんから。って突っ立っているよ。


 それもそれで卑怯ですよ、ガガールさん。手伝ってくださいよ。


『というか、な〜んであんなのが居るのですか! 後出しみたいにして次々と新事実出さないでくれますか!』


「いや、しょうがねぇだろう! こいつらは俺達の住んでいる空間にしか現れなかったんだ。お前達の世界との隙間みたいな空間に、いつの間にか巣食っていたんだよ。それこそ虫みたいなもんで、俺達は駆除してた。それが何でこっちに?!」


 いや、まぁ……考えられるのって。


『エデン君がこっちの世界に落ちた時、空の切れ目の穴、広がってない?』


「あ…………」


 完全に忘れていたようだ。

 そのせいでこっちに入ってきたのでしょうね。疫病神だよ、君は……。

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