↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100日後にNTRれる幼馴染  作者: 12月24日午後9時
PR
57/107

あと44日

NTR進捗状況

駿と輝が学園祭の漫才の練習をしている。


田中 ただし :主人公、

橘  すず  :幼馴染、寝取られる。

金谷 駿しゅん :イケメン、クラスでは人気者、幼馴染とフラグ建築中。漫才をやりたい。友達の彼女に手は出さない。

黒川 てる  :チャラい、イケメンの取り巻き。反省して正たちに協力する。演技派。駿の漫才の相方。

放課後、ただしが学校を出て家に帰ろうとすると丁度、すずも帰るところだった。

「一緒に帰ろっか。」

鈴に言われて、そう言えば久しぶりに鈴と二人っきりで帰ることになったことに気付く。最近はおうの個人授業が終わるまで待ち、付き合ってくれた駿しゅんてると一緒に帰るのが普通になっていた。鈴の自宅で個人授業がある日もおうがまとわりつくせいで中々二人っきりになれなかった。

「なんだか、こういうの久しぶりだね。」

鈴も同じことを考えていたらしく、二人は目を合わせて笑う。

それにしても随分と寒くなったものだ。色々と目の回るような忙しさにそんな季節の変化を今まで意識していなかった。日が暮れるのが早くなり街の様子が変わって見えるのも今更だ。早くもネオンが点き始めて今までにないよそよそしさを感じる。

「寒っ。」

冷たい風が建物の隙間から吹きすさび、露出している肌が震える。鈴も素肌の手を合わせると息で暖めている。なんだかそんな鈴の姿を見ていると一つの季節を一緒に過ごしている気分になり、心が満たされる。当たり前に隣にいると記憶に残らなくかった光景もこうして久しぶりに見ると一つの思い出になって親密になった気分になれる。正はまた一つ新しい発見をした。ああ、今日はいい日だ。随分と単純だが正はそう思った。恥ずかしくて隣に言うことはできないけれど。

しかし、そんな緩やかな幸せを街の騒音が邪魔をする。

「ぎゃはは、それでさあ、そいつがマジになっちゃってんの。学祭で漫才とかさあ。」

騒音の中に聞き覚えのある声がする。振り向くなと頭の片隅で思いながら、しかし、ブレーキが間に合わずに声の方を向いてしまった。

「おっ、正じゃん。オッス。」

輝が別の高校の友人たちとコンビニの前でたむろしていた。迷惑そうにサラリーマンがコンビニに入るのを注意できないビビりだと笑っている。そんなガラの悪い連中と混ざっている輝は少しは親しくなった気がしていた正に躊躇させるには十分だった。しかし、輝は気にすることなく絡んでくる。

「おっ、鈴ちゃんもいるじゃん。ねーねー、またカラオケいこーよ。」

自分が何をしたのか忘れたように輝が言う。もうすべてがチャラになったとそんな顔だ。鈴はびくりと震えてあいまいに返事した。

「かわいーじゃん、輝、しょーかいしろよ。」

ガラの悪い輝の友人が鈴に目をつける。輝はそんな鈴を庇うわけでもなく自慢げに名前をべらべらとしゃべっている。鈴が嫌なことを思い出しますます顔色を悪くする。

「もう、行こう。すいません、ちょっと急いでるんで。」

正が鈴を心配して多少強引だがその場を離れようとした。

「ちょっと待ってよ、今さ、面白いの見れるからさあ。」

底意地の悪そうな笑顔で輝の友人の一人が言った。丁度、さっきのサラリーマンがコンビニから出てくる。手にはこの季節らしいおでんの容器があり、家が近いのか足早にその場を去ろうとした。そのやや駆け足気味の足元を輝の友人が引っかける。

「おわっ!」

突然つまづいたサラリーマンがおでんのバランスを意識しすぎたせいで転ぶ。おでんが容器から飛び出し道一杯に具材が飛び散った。

「ああっ。」

余りのことにサラリーマンが転んだ姿勢のまま絶望した声を出す。値段にすればどうということは無いけれど、買ったばかりのものが無駄になるのは値段以上にきつい。そのせいかサラリーマンはまさに絶望したという顔でしばらく動けなかった。

その様子を見ながら、それを仕掛けた輝の友人たちは、笑っていた。

「ふひっ、ああっ、だって。」「まじおじさんかわいそーじゃん。俺らがおごってあげようか。」「おでんぐらいで死にそーじゃん、まじかわいそー。くくっ。」

サラリーマンの反応が最高のエンターテイメントだと笑っている。彼らは他人が必死になっているのがおかしいのだ。自分たちにとって価値のないものを失くして右往左往しているのが笑えるのだ。

正はそれを見て嫌な気分になった。そして、思い出した。そうだ別に彼らが特別なわけではない。そういうものを笑うのはテレビを見ればよくあることだ。趣味のプラモデルを捨てられる父親。インスタのために身の丈に合わない散財をするOL。ガラクタにしか見えないものに青春をそそぐ学生。世の中はそういった人たちを笑いものにするエンターテイメントで溢れている。笑いとはそういうものだ。コメディーとはそういうものだ。きっと駿が情熱を傾けている漫才もそういう面がある。

駿の一生懸命な姿に忘れてしまっていた。正はそういう嫌なものを正当化する笑いの暗い面を思い出して、同時に駿のことも少し嫌いになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。