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100日後にNTRれる幼馴染  作者: 12月24日午後9時
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28/107

あと73日

NTR進捗状況

ヒロインの家で光を糾弾するが返り討ちにあう。


田中 ただし :主人公、好きなマンガは月下の棋士。

橘  すず  :幼馴染、寝取られる。

金谷 駿しゅん :イケメン、クラスでは人気者、幼馴染とフラグ建築中。クラスメイトの彼女に手は出さない。

黒井 ひかる :小学生、頭の回るクソガキ。両親が喧嘩していて家に居難いから鈴の家に転がり込んだはずが。

教室では暗い顔をしたただしがぼんやりと窓の外を眺めていた。夕暮れに下校する生徒たちの影が長く伸び、この時期にしか見れないノスタルジックな光景に正はきれいだなと思った。そう感想は湧くが、心は1ミリも動かなかった。こういうものを見ればこういう感想を浮かべる。答案用紙に無心で書き込むような機械的な情動しか今の正には抱えることができなかった。自発的に何かを考えようとすれば、昨日のことにつながってしまう、それを避けるために正は心を閉ざしていた。そんな正の背中が強く叩かれる。

「よっ、どうしたんだよ。暇ならこれからマクド、行かね。」

駿しゅんが正の前の席に座ると背もたれに跨りながら正を正面から見る。そんな気安い駿に正は感情も無く答えた。

「なんか、そんな気分じゃない。」

「ははっ、マクドに行くのに気分なんてねえだろ。相変わらずおもしろいな。」

そう言って駿は笑った。教室には正と駿の二人だけ。無反応の正に駿は笑っていた。こんな自分と一緒にいてもつまらないだろうに、何が面白いのか駿は楽しそうに話し出す。

「今日さ、見ただろ。化学の授業のやつ。」

駿は相変わらず授業でふざけることに情熱を傾けていた。今日、化学の授業でちょうど土曜日に話題に出したハーバー・ボッシュ法を化学の教師が説明していた。なぜか教師が話しているさなか駿が手を上げ、アピールし始めた。

「せんせー。俺それ知ってるからさ、ほら反応式、書かせてよ。」

そう言うと教師の返事も待たずに駿は黒板の前に出た。生徒の積極性を大事にすることは学習指導要領にも載っているそんな配慮が働いたわけでもないだろうが、いつもの駿のふざけた態度に目をつぶり教師はあえて邪魔することはしなかった。果たして駿は驚くべきことに正しい反応式を黒板に書いた。

N2(♡)3H2→2Nエ3

ただ、二つ惜しかったのはプラスと書くべき場所にハートマークを書き、窒素のNが横たわった水素のHにまたがっていたことだった。教師は何と言っていいのか、頭がついて行かず固まっていた。駿はかまわず説明を始める。

「これは、窒素(N2)が水素(H2)をナンパして今結合したところの図なんですよ、せんせ。それでね、ここからが重要なんだけど。ほらここに鉄がいるでしょ四酸化三鉄。コイツがね、触媒でね、二人を応援しているところで、あれ、せんせ、なんで拳握ってるの?」

今時の教育現場では珍しい拳骨が駿の頭に落ちた。わざわざ駿が教師に頭を出し殴られる態勢になっていたことから周囲には全てがコントの流れであることが分かっていた。だからこそこの高齢の教師も遠慮なくやったし見ていた生徒たちも遠慮なく笑っていた。


「それで、さっきまで。せんせに説教されてたんだよ。でもよく勉強したって最後には褒められたからさ、また話してくれよ、面白い話。」

そう言って、駿は笑った。正は授業中はピクリとも笑えなかったのに、なぜか駿の言葉を聞いて笑えて来た。

「なっ、それで、なんかあったの?」

駿がさっきと同じ調子で聞いてくる。正は笑いながら泣いていた。笑い過ぎて涙が出たことはあったが、笑いながら悲しみがあふれたことは人生で初めてだった。感情が戻ってきたことが引き金になって、押しとどめていたものが堰を切った。

「分かってるよ。なんか鈴と気まずそうだったじゃん。」

正が落ち着くのを待って駿が水を向ける。正は言葉があふれてきてなぜか関係のない話を始めた。

「昔、鈴がゲームで、最初に仲間になるモンスターにただしって名前を付けたんだ。たぶんきっと大した意味はなかったんだと思う。でも僕は、ほんとはすずって名前を付けたかったけど、恥ずかしくて、でも鈴は僕の名前を付けてくれて、嬉しかった。その時から、ずっと好きだった。」

初めて言葉にした気がする。こんなところで本人のいないところで告白なんて、きっと何の意味もない。けれど、どうしても言いたかった。決意が自分の中にあることを確認するために。

駿はそれを聞いて黙ってうなずいた。正の話は長くなる。なにせ今まで誰にも言ったことがない10年間の物語なのだから。でもきっと面白いはずだ。少年が恋に気付いて、そばにいて、けんかして、なかなおりして、さびしくて、うれしくて、ずっと誰かに伝えたかった正だけが知っている、そんな話なのだから。


教室に伸びる二つの影。夕日が差し込み真っ赤に染まったその中であり得ないほど伸びた影が机と床と壁をキャンパスにして立体的に描かれている。何かのタイトルが付きそうな、そんな光景に正はきれいだと感動した。


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