次回「レーネ 死す」
前回のあらすじ(簡略版)
聖剣を買い戻すためクエストを達成していくユットたち
しかし、残り時間も少なくなり諦めかけていたとき
レーネの家(自称)が町の邪魔になっているので廃棄して
ほしいというクエストを見つけるマッチポンプの用で
気は進まなかったが邪魔をするレーネをかわしクエストを達成
なんとか聖剣を買い戻すことに成功したのだが・・・
ステータス画面『ユーネスト』
総合魔術レベル15
チャームレベル20
ファレムレベル3
筋力レベル5
俊敏性レベル5
その他1
ステータス画面『レーネ』
レベル???
そんなこんなあって何とか貯めた3万ジェニーを持って質屋へ行き、聖剣を買い戻すことができた。あの時の悔しそうな店主の顔と渾身のレーネのドヤ顔を見せたかったなぁ。
それはそうと、とりあえず聖剣を取り戻すことには成功したので、これからはレーネも戦闘に参加することになったんだけど、正直レーネの強さがわからなかったのでいつも通りの小型モンスター捕獲クエストを受注してそこで腕を見せて貰う事になったんだけど……。
「結局働いたのは僕だけだよ」
「そう言われましても、今回は仕方ないじゃないですか」
当初の作戦としてはレーネがモンスターを弱らせて、そこに僕が【チャーム】をかけて捕獲するって感じだったんだけど、対象モンスターだった悪戯猿(見た目が膝下くらいの小型の猿で全身の毛が白くておじいちゃんみたいな小猿で目つきがなんかいやらしいのが特徴らしい)が、いきなり木の上から落ちてきたのでとっさに【チャーム】をかけたらそのまま飛びついて来て、体をめちゃくちゃ揉まれているところをなんとか引きはがして捕獲したって感じで、レーネが言うには『ユットに張り付いていたので攻撃が出来なかったのです』と言うことらしい、まぁ、たしかにそうだけど、それならそれで、引きはがすのを手伝ってくれればいいのに『これ、写真とか撮れれば一部のマニアに売れたのに』とか言いながら悔しそうにしてて、全然助けてくれなかったし、結局、当初の目的だったレーネの実力を見ることは出来なかったけど、とりあえずはクエストをクリアしたわけだし、いいかなって思いながら帰っているところです。
「でも、今思い出してみてもさっきの戦闘は助けてくれてもいいと思うんだけど、悪戯猿に好き放題されてるところ見て笑ってたでしょ?」
「笑っていませんよ、私はショタが子猿にここでは言えないような悪戯をされているのを見て興奮するような趣味は持ち合わせていませんから、単純に色々勿体ないとか思っていませんよ、中破で服が破れるともっと盛り上がるのに残念、とか全然思っていませんよ」
「(思ってたよりどうしようもないこと考えてた)もう、見た目以上にホント大変だったんだから……、ん? あれって何?」
僕は目の端に映った奇妙な光景に向かって指を指す、その先にはモンスター2匹と人が2人いた。
「ああ、あれですか、気になるなら少し見ていきますか?」
特に驚く様子もないレーネにそう言われて僕は頷くと、近くの木陰に潜むようにその奇妙な光景を見ることにした。
どこが奇妙かって言うと普通はモンスター2匹に人が襲われてるもしくは討伐しようとしているのが普通なんだけど、モンスターがまるで使い魔のように互いの人を守ろうと対峙しているんだよね。
「あれは見た限り天人族と魔人族の喧嘩みたいなものですかね」
「天人族と魔人族? 僕たちとは人種が違うってこと?」
「まぁ、そうなりますね。この世界は大きく分けて、ここ人間界と天聖界と魔境界の3つのエリアに分かれていて、天聖界にいるのが天人族で魔境界にいるのが魔人族という感じですね」
「じゃあ、あの黄色の髪でいかにも貴族っぽい男の方が天人族で、紫色の髪で鼻にピアスをしてるいかにも悪そうな男が魔人族ってこと?」
「そうですね、見た目通りです」
「じゃあ、その人たちがこんなところで喧嘩ってどういうこと? ここは人間界なんでしょ?」
「元々天人族と魔人族は仲が悪くて、互いに領土争いをしていたらしいです。2つの領土のちょうど中間地点にあるこの人間界を互いに奪い合っていたらしいのですが、第3勢力として人間族が対等することになり、戦争を止めなければ止めないほうと敵対すると宣言したそうです、人間族がついたほうが確実に勝つ戦況となってしまい停戦、人間族は再び戦争が始まらない限り中立を誓ったそうです、そうして表向きは3者定律の形で戦争は終わったそうです。それから数10年が経っているようですが仲が悪いのは相変わらずのようで、こうして人間界に観光に来ていても鉢合わせるとあんな風に喧嘩するらしいですよ」
「(相変わらず、いつもは滅茶苦茶だけど陰ではこの異世界の異変を調べるために色々勉強してるからこういうとき相棒としてレーネはスゴイなぁって感じちゃうね、ここだけ見れば頼もしいしカッコイイなぁって思うけど……、その先のことは考えないようにしよう胃が痛くなる)たしかに見るからに仲悪そうだもんね、でも、あの感じってモンスターを使役してるよね、そんなこと出来るの?」
「方法は知りませんが出来るようですね、見るからに上流階級の奴らですから自らの拳を汚さないようにモンスターを使役して戦わせているようですね、俗に言う貴族の遊びみたいなものでしょうね」
「モンスターを使役かぁ、どうやってるんだろうね?」
「さぁ? それこそ赤白のボールとかを使ってゲットしているのでは?」
「いや、そのネタはもういいから」
「ただ憶測ですが、上流階級でモンスターを使役していて、その方法は定かではない、となればまともなことはしていないでしょう。関わらないほうがいいと思いますよ」
「(なんかあのレーネが真面目なこと言ってるとホントに危険なんじゃないかって思えてくるよ)でも、あのモンスターたち強そうだね、種類とか名前とかわかる?」
「何を言っているのですか? ユットが持っている鉄かごの中にいる奴ですよ」
たしかに言われてみれば猿っぽいけど、3メートルは裕にある筋肉質のあの2体と、このかごの中の小さな猿が同じとは思えない、色も違うし。
「いやいや、全然見た目が違うよ、あっちは猿と言うかゴリラっぽくて強そうだけど、これはただの悪戯好きの猿で、全然似てないけど?」
「完全に同種ですよ、単純に育った環境が違うのですよ。悪戯猿はどこにでもいるモンスターで、当然天聖界や魔境界にもいます。その生まれ育った環境によって個体差が出るということですね、あの今にもスーパー〇イヤ人に変身しそうな黄金の猿が天聖界育ちで、ババ〇ンガの偽物みたいな紫の猿が魔境界育ちです」
「たしかに似てるなぁとか思ってたけど言わないようにしてたのに、わざわざ言わないでよ!」
「とにかく、そんな感じです。疑問が晴れたのでしたらそろそろここを離れた方がいいと思いますよ、奴らに関わるとろくなことがないでしょうし、あの厳つい見た目に反して悪戯猿の攻撃は色んな意味でヤバイですから」
「(正直、モンスター同士の戦いってのも見てみたいけど、レーネの説明を聞く限り結構ヤバそうだし、しょうがないか)わかった、それじゃ――」
この場を離れようと足を動かすと足元のぬかるみに足を取られてしまってふらつき倒れそうになったけど、レーネがとっさに腕を掴んでくれてなんとか倒れずに済んだ」
「大丈夫ですか?」
「なんとかね、ありがとう、レーネ」
「いえいえ、それならよかったです。ユットを支え助けるのが私の仕事ですから」
いつもなら『普段は逆のことをしてる方が多いけどね』とかツッコミを入れるんだろうけど、天使のような笑顔で微笑みながらそう言ってくるのを見てホント、ズルいなぁと改めて思いながらも、こういった急な優しさは死亡フラグにならないか心配になる。
「それに、ユットの足元のぬかるみは多分――」
その先の言葉は無かった。
レーネのこめかみから液状のものが弾けて飛び散る。
目の前で起きた最悪の状況を僕は一瞬理解できなかった。
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