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家燃ゆ

前回のあらすじ(簡略版)


質屋に預けてあった聖剣は売りに出されていたが、

なんとか交渉し期限まで待ってもらえることに

それでも、3万貯めなければならず

食費を削りクエストをこなしお金を貯めるのだが・・・

ステータス画面『ユーネスト』

総合魔術レベル15

チャームレベル20

ファレムレベル3

筋力レベル5

俊敏性レベル5

その他1


 レーネが食費のために質に入れてしまった聖剣を買い戻すために3万ジェニー稼ぐことになってから数日が過ぎた。

 毎日の生活費を削りながら3万もの大金を稼ぐのは容易じゃなかったよ。

 精肉店や研究所からの捕獲クエストを受注しては小型モンスターを捕えて持って行ってお金に変えてもらう。それを毎日3件(大体14時間ぐらい掛かってたなぁ、しかも結構失敗して無報酬が多かったし)今の世の中ならきっと問題になってしまうぐらいの過酷労働に耐えてなんとか2万8000ジェニーまで貯めることが出来たんだけど。

「足りないね」

「足りませんね」

 期限は本日のお店が閉まってしまう20時まで、現在の時刻は16時30分、今から捕獲クエストを受注して、モンスターを捕獲、換金、そのお金を持って質屋へ――さすがに間に合わない。

「どうしよう」

「そうですね、ここはその場しのぎの方法ですが、とりあえず乗り切れる手段はあります」

「ホント? 物乞いとか、パンツを売るとか無しだからね」

「わかっていますよ、そんな下種な発想するわけないじゃないですか、私のことをなんだと思っているのですか?」

「(いや、全部レーネの発想だったんだけど、面倒だから言わないけど)ごめん、それで?」

「ア〇ムに借りに行きましょう」

「ア〇ム?」

「あれ、知りませんでしたか? ♪初めてのア〇ムゥ♪の奴ですよ」

「いや、それは知ってるけど(こっちにもあるんだ)借金を返すために借金するって、もうそれ、負のスパイラルに入って行く奴じゃん」

「だからその場しのぎですって、今お金を借りて質屋にいかないと実質聖剣を取り戻すのは不可能になりますし、5000ジェニーでも借りてとりあえず聖剣を取り返し、来月に5000ジェニー+利子を返せばいいのですから」

「(う~ん、正直使いたくないけど、5000ジェニーぐらいなら何とかなるかな)でも、僕たちみたいな何の担保もない、安定した収入源もない冒険者にお金なんて貸してくれるの?」

「私の調べによりますと、大丈夫そうですよ。利子とか凄いですけど」

「(そうなるよね、45パーセントくらいかな?)ちなみにどれくらい?」

「100パーセントです」

「100パーセント!? それって、単純に倍ってことでしょ! 凄いってもんじゃないと思うけど」

「とは言っても、合計2倍ですから5000ジェニーの場合10000ジェニーですし、払えないこともないのでは?」

「まぁ、元が小さい金額だから1ヶ月で利子が5000ジェニーなら払えなくはなさそうだけど」

「『1ヶ月』じゃなくて『1日』ですよ」

「はい?」

「だから1ヶ月につき5000ジェニーではなく、1日につき5000ジェニーです」

「悪徳金融過ぎるでしょ! ヤミ金でもそこまでしないよ!」

「駄目ですか?」

「ダメ絶対!」

 ※当然ですがフィクションです、実際のア〇ムとは一切関係ありません、ア〇ムはもっと良心的な素晴らしいお店です。ごめんなさい。

「――それでは仕方ありません、私たちは頑張りました。それでも届かなかったのです。これはきっと天命と言うもの、ここは潔く諦めましょう。そして――このお金で焼肉にでも行きましょう!」

「行かないよ!」

「お願いしますよ、食べ放題で良いのです。あっ、でも飲み放題も付けてください、勿論アルコールのやつです」

「だから行かないって!」

「……ユット、正直もう私は限界なのです。ここまで食費を抑えられ、餓死寸前なのです。どうか、数日振りにお腹いっぱいご飯を、お肉を、お酒を――」

「もとはレーネのせいでしょ、それに僕も付き合ってるんだから文句言わないでよ」

 なんとかすぐに達成出来てお金になるクエストは無いかとギルバーの掲示板に張り付くように僕がクエストの依頼を見ている中、レーネは僕に諦めさせようと、そんなことを言ってくる。

「正直言って僕もお腹いっぱいご飯食べたいよ。でも、ここまで頑張って来て諦めるなんて――ん? これって」

 目に留まったのは1枚の依頼書、捕獲クエストではなく、所謂お使いクエストで、『ゴミの撤去を求む』と書かれた依頼書を読んでいくと町の外れにあるゴミの撤去に難儀しているようで撤去してくれれば、即金で4000ジェニー貰えるクエストだった。

 そして、この依頼書をよく読めば読むほど、僕には心当たりがあって、しかもこの仕事は僕にもってこいだと思う内容だ。

「このクエストにしよう」

「ん? どれですか?」

「大丈夫、大丈夫簡単なクエストで単なる『ゴミ』の撤去だから」

 僕はレーネに依頼書を見せないままマスターに受注することを伝えて、指定された町の外れに向かった。

「それにしてもゴミの撤去とは珍しい依頼ですね。大抵の場合は町にいる清掃業者がちゃんと清掃業務をやっているのでこの手の依頼がギルドに来ることはありえないはずですけどね」

「その清掃業者からの依頼だったよ、自分たちじゃどうしようもないから代わりにやってほしいんだって」

「本当に大丈夫なのですか? プロが出来なことを私たちが出来るとは思えませんけど、それに自慢じゃありませんが私は掃除とか苦手ですよ」

「知ってる、全くアテにしてないから」

「事実とは言え、はっきりそう言われると女子として少し凹みますね」

「少しじゃなくて、結構凹んでほしいんだけどね。でも、この依頼についてはそんなに難しくないと思うよ、『僕なら』ね」

「珍しく、自信満々ですね。死亡フラグですか?」

「不吉なこと言わないでよ! まぁ、多分大丈夫だよ。あっ、そうだこの辺ってレーネの家があったよね?」

「家? ……ああ、あります。大事な家がありますよ、はい」

「(今絶対なんのことか忘れてた顔してたよね)せっかくここまで来たし、久しぶりに見たいから案内してくれない?」

「ええ、いいですよ、すぐそこですので」

 そうして僕はレーネに案内され数分でレーネの家(自称)に到着する。

「ここですよ、それにしても町の外れとは言え、町の中には変わらないのに業者が手こずるようなゴミをばら撒くなんて人としてどうかしていますね」

「そうだね、町の景観を壊すようなことをするなんて最低だよね、さてと、【ファレム】」

「――ちょっと、待ってくださいユット、何故指先に炎を灯して私の家に近づくのですか?」

 流れのままに行こうとした腕を掴まれ止められる。

「なんでって、当然『ゴミ』を焼却処分するためだよ」

「何を言って――まさか、最初から私の『家』を燃やすつもりで」

「……そうだよ、そういう依頼だからね」

「しかし、そこは私の所有地ですよ、そこに私の『家』があるのは別に悪いことじゃ――」

「依頼書によれば、ここ、普通に町の管理地みたいだけど、土地の所有権を証明できる物とかある?」

「ないですけど」

「譲渡されたとか、購入したことを証明してくれる人とかは?」

「いませんけど」

「じゃあ、どうやってこの土地を所有地にしたの?」

「私が陣取ったので」

 花見の場所取りじゃないんだからって心の中でツッコミを入れながらもどうせそんなところだろうと思ってたから大して驚きはなかった。

 つまり、どういうことかと言うと、レーネはこの土地を勝手に不法占拠して家(自称)を建てたというわけ。

「とりあえず、燃やすね」

「ま、待ってください、たしかにここは正確には私の土地じゃないかもしれません――」

 いや、『かも』じゃなくて確定なんだけど。

「――それでも、その『家』は紛れもなく私が建てた『家』なのです。ユットには、他の人にはただの『ゴミ』に見えても、それは私にとって大切な思い出の詰まった物なのです。それでも燃やすのですか? 何もない私から寝床を焼き払い、思い出まで奪うのですか? どうしてそんな酷いことが出来るの――」

「今回の報酬で余った内1500ジェニーを今晩のレーネの食費にしてもいいけど?」

「どうぞ、やってしまってください」

 涙ながらにヒロイン感強めに訴えかけてきたレーネだったけど、どうせ嘘泣きだろうと思った僕はそんな提案をしてみると、あっさり僕の腕から手を離してそう言ってくる。

 そんなレーネを若干引きながら見ると「どうしました? 早くそんな『ゴミ』を片づけて晩御飯食べに行きましょう」なんて言ってくるレーネの言葉を背中に受けて、『ゴミ』を焼却処分した。

 何故、この程度のことに業者が手こずっていたのかはお察しの通り、撤去しようとするとレーネがさっきの用に弱者アピールをしながら演技して妨害していたらしい、その内、撤去したいならお金を要求するつもりだったとか、清掃業者さんに申し訳ないと思っている僕に対して、『世の中ゴネた者勝ちですから』そんなことを恥ずかしげもなく言いながらフライドチキンを口いっぱいに頬張り、ビールで流すレーネを見ていた僕の目はまるでゴミを見るような目だったに違いない。


今回もここまで読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字ありましたらご報告いただければ助かります。

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