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3話 アジトで遭遇イベント

 盗賊団に襲われていた所に現れた、暁の盗賊団元リーダーロイ。


 助けて貰ったのは、いいんだけど……なぜか彼はわたしと一緒に、ポニーに乗って夜の森を進んでいた。


 わたしは、いろいろ聞いてみたくなった。


 どうして元リーダーなのか。

 どうして復讐なんかするのか。


 気になったから、そのあたりを聞いてみた。


「復讐の理由? そりゃ寝てるところを簀巻きにされて、川に捨てられたからな。きっちりと復讐してやらねえとな」


 あの、簀巻きにされて川に捨てられたのに、どうして生きてるんですか、あなたは。

 生命力がありすぎるでしょ。


「人望が無いんですわね……」


「お前、結構失礼な奴だな……さっき、子供がいただろ。あいつを拾ってから、おかしくなっちまったんだ、盗賊団はよ」


 あ、あの男の子。

 そう言えば、盗賊団のおじさん達は、あの子をリーダーって呼んでたよね。


「教えて貰っても構いません?」

「……いいぜ。時間はまだあるしな」



 ロイの話を纏めると、こんな感じになった。


【暁の盗賊団】は、悪どい商人や貴族なんかから金品を奪う『義賊』だった。

 ある日、森で捨てられた少年を拾ったのが、全ての始まりだとか。


 その子の名前は、グリーク。

 見た目は少年だけど、頭の回転は早く物覚えも良かったから、ロイ達に可愛がられた。


 暁の盗賊団は殺しは絶対にしないのがモットーだったんだけど、数人の手下がそれを破った事が発端となった。

 何度か意見の衝突が起こって、お互いの手下まで失う事態になったとか。


 話し合いもしたそうだけど、人殺しを辞める事は無かったみたい。

 その責任を取って、ロイは自分からリーダーを、信頼するグリークにリーダーの座を譲った。


 そしてグリークは本性を現した。

 自分がリーダーになるために計画したことを、ロイが知ったのはあとの祭り。


 ロイの昔からの仲間は全員粛清された。


 グリークは、ロイだけは殺さなかった。

 拾ってくれた恩からか、盗賊団を失ったロイの悔しがるの顔を見たかったのかはわからないみたい。


 殺されはしなかったけど、ロイは簀巻きにして川に捨てられた。



「かなり遠い場所に流れついてしまったみたいでな。ここまで戻ってくるまで苦労したぜ、まったく」


 簀巻きにされて生きてたから、盗賊団のおじさん達は、さぞ驚いたでしょうね。


 全てを失ったから、まあ復讐を誓うよね。

 わたしも似たような境遇だから、気持ちはよくわかるよ。


 できれば手伝ってあげたいんだけど、わたしはただの伯爵令嬢。

 一緒に戦えるわけじゃないからね、悪いんだけどさ。


 あれ? そういえば、これどこに向かっているんだろう?

 森の中をずっと進んでいるけど。


 もしかして、


『女のお前だけ一人で行かせるわけにはいかない。俺が森を抜けるまで一緒にいてやるよ』


 的な乙女イベント発生!?


 たしかに、『ロイヤルプリンス』に出てもおかしくは無いイケメンだけど。口と態度が悪いの以外は。


 意外と優しくていい人なのかな。

 盗賊団のリーダーをやってたくらいだし、面倒見がいいのかも。

 ちょっと……見直したかも。


 そんな話をしながらでも、ロイはずっと周囲を警戒してる。

 なんとなく緊張してるのが、背中越しから伝わってくるよ。


 盗賊団の襲撃を警戒してるのかな?


「どうされましたの? 先ほどから、何かを警戒してるようですが……?」

「ん? ああ、実はな。この森の奥に、凶悪なドラゴンが一匹住みついててな。それと出会わないに越したことはねえからな」


 ドラゴン。あのゲームとか漫画の題材に使われる、あのドラゴンが、こんな所にいるんだ。


 たしか……イザベルのご先祖が、昔ドラゴンを倒したとかで伯爵の爵位を得たって言う、無駄な設定があったなぁ。

 実際、『ロイヤルプリンス』じゃ、大した役割じゃなかったけど。


 でも、結構強いはずロイが警戒してるってことは、そのドラゴンは厄介な存在なんだね。



「ふぅ……野郎は出てこなかったみたいだな。おっと、そろそろ見えてきたな」

「着いたって……え、ここはどこですの?」


 えっと、わたしの目の前にあるのは、民家があるような場所じゃない。


 少し開けた場所には、大きな岩山がある。

 岩山に自然と出来た洞窟の入り口。壁には篝火が灯してある。

 それと侵入を遮るように設置された頑丈そうな扉。


 あれ? 少し扉が開いてるように見えるんだけど?


「あ? どこって、盗賊団のアジトに決まってんだろ?」


 宣言撤回。

 ぜんぜん、いい人じゃない。ただの伯爵令嬢を盗賊団のアジトなんかに連れてくるなんて、普通じゃないよ。


「あの! どうして、わたくしまで盗賊団のアジトとなんかに――!?」

「ちょっと待て……様子が変だな。あいつら、急いで逃げてきた割には、静かすぎるな……」


 ロイは険しい表情で周囲を警戒してる。

 夜の森だから、たしかに静かだけど様子が変ってどこが?


「……あれ? ここにいたんだ、イザベル。途中から見失ったから焦っちゃったよ」


 洞窟の扉から出てきた人影は、アルヴァンだった。


 アッシュ直属の部下で、護衛騎士の一人。

 細目で柔和な表情が素敵な、人気投票四位の推しメン。


 屈託の無い笑顔で、いつも皆を元気つけてくれる。

 わたしの後に、子犬のようについて回ってた可愛いらしい子だ。


 年上だけど、なんだか弟みたいな存在だったのに。


 この人が、どうして盗賊団のアジトから出てくるの?


「おい、糸目野郎! 中の連中はどうした?」


「中……? ああ、あの連中? 僕の質問に、全く答えてくれないからさ……全員、殺しちゃったよ」


「……チッ。おい、こいつはお前の知り合いか?」


「……ええ……」


 『ロイヤルプリンス』の登場キャラだもん。知らないわけがないよ。

 でも、こんな子じゃなかった。誰にでも隔てなく接して、虫さえ殺せない、優しい人だったはずだよ!?


 どうして、人殺して笑顔で話せるの!?


「アルヴァン……どうして貴方がここにいるんですの?」


「どうして? 君を始末するようにと、アッシュから直々に頼まれてね。それで街から追ってきたんだ」


 ……アッシュがわたしを始末するようにって……ウソだよね?


「アルヴァン、教えなさい! アッシュがなぜわたくしを始末する必要があると言うのですか!」


「それを聞いてどうするんだい、イザベル? 君はここで死ぬんだからね。理由なんてどうでもいい事でしょっ!」


 いつもの笑顔だけど、なにか言い知れない怖さを感じる。

 わたしを殺すなんて、冗談だと言ってよ、アルヴァン!!


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