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ピクシーズ 第25戦略偵察飛行中隊   作者: 名無しの戦闘機性愛者
第1章 ラーシャ空軍ボルスニー基地飛行隊
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ブリーフィング

レーダーサイトの接近通報で、目が醒める。


時刻は午前6時。ようやく日が出だすころだ。


朝焼けに照らされる自機に向かい、エリシャは眠い目を擦りながら走る。


周りでは、エリシャとは違い目も完全に醒めた整備兵が、熟練の職人技でフライトチェックを行なっている。


滑走路の末端にある耐爆格納庫では、重警戒序列についていたイーグル隊がエンジンを吹かして離陸待機中だ。


「少尉!」


と、顔見知りの整備兵に呼び止められる。


「まずはブリーフィングルームに向かってほしいと、グレイズ大尉が」


「分かった、ありがとう」


ということで、エリシャは踵を返し、基地司令塔内のブリーフィングルームに向かう。


しかし、不明機が接近しているにも関わらずブリーフィングとは、何事だろうか。



「遅いぞ、エリシャ」


「すいません!」


エリシャが駆け込んだブリーフィングルームには、既に基地の関係者が大勢集まっていて、当然そこにはワイバーン隊の面々もあった。


「全員揃ったな。よし、ブリーフィングを始める」


と、基地司令が始めた。


「先程、我が国の領海にある人工島に敷設されたレーダーサイトが、国籍不明機の接近を通報してきた。が、以降当該レーダーサイトからの通信が一切途絶えた。不明機による攻撃を受けたものと判断する」


「遂にSEADをかけてきやがったか。カトリアも本気みたいだな」


「まだカトリア軍機と断定された訳ではないが、まあ十中八九そうだろう。すでにイーグルが上がった。ワイバーンは後続として上がれ。

それとだな、件の爆撃機隊とは別に、不明機がもう1機確認されている。それを確認してきてくれ」


「単機ですか?」


「通信途絶前のレーダーサイトの報告ではな。十分注意してあたれ」


「了解。さぁ、行くぞ」


「はい!」


ワイバーン隊が部屋を出ようとすると、基地司令が呼び止めた。


「大尉!AWACSが担当替えになった。新しいコールサインはウイッチウォッチだ!」


「了解です!」


それだけ返事を返して、グレイズは部屋を後にする。


接近中の単機の不明機に不安を覚えながら......



格納庫ではすでに、ワイバーン隊の機が燃料も弾薬も満載してスタンバイしていた。


エリシャはコックピットに乗り込むと、対Gスーツとハーネスの酸素ホースや加圧チューブを機体のコネクタに接続し、動作を確認する。


これで、Gがかかった時は太ももか腕をスーツが圧迫し、体内の血圧を安定させる。


ヘルメットを被り、酸素マスク兼無線マイクを装着。


整備兵の手を借りてベルトとハーネスを接続、固定すると、一気に身動きが取れなくなる。


マスタースイッチをオンに。


電子機器の電源を入れたら、後はエンジンをかけるだけだ。


「エンジンコンタクト!」


整備兵の合図で、エンジン出力を上げる。


ファンの回転数が上がっていき、次第に音も大きくなる。


キャノピーを閉め、回転数が上がるごとに整備兵に合図を送る。


エルロン、エレベーター、ラダー及び各種動翼を点検。


正常に動作。


「Tower to Wybern 4. Takeoff from runway 02.」


「Copy that. Tower.」


「ワイバーン4」


突然、プライベート回線でグレイズに呼び掛けられた。


「何ですか?大尉」


「なあ....いや、何でもない。ウィッチウォッチとのリンクを再確認しろ、今までとは周波数が違うぞ」


「分かってますよ大尉。やけに心配しますね、今日は」


「...あの単機で接近中の機、どうもいやな予感がする。まあ、噂を小耳に挟んだ程度なんだが」


「噂?」


タキシングしながら、エリシャはグレイズに聞き返す。


先に上がるのはキースとサムのエレメントだから、エリシャとグレイズはしばらく順番待ちだ。


「5年前、ココの南十字星と似たように、カトリア側にもとんでもないエースパイロットがいたって話だ。なんでも、そいつは北極星って呼ばれてたらしい。ウチの南十字星に対峙する者って意味でな」


「北極星ですか......」


「あぁ、しかもそいつ、必ず単機で行動するらしい。まさかとは思うが...」


「分かっています。細心の注意を払いますよ」


「頼むぞ」


「えぇ、約束ですから」


言われた言葉をグレイズは聞かなかったフリをする。


(そういうのは出撃前に言うものじゃないんだよ)


「Wybern 1,4 takeoff.」


「1 copy.」


「4 copy.」


2機はスロットルを上げ、重力を振り切り飛び立った。

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