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アンバランスハート  作者: kero*kero
6/8

場面6*二人の時間

早くうさぎに会いたくなって、地下駐車場まで走っていった。


「うさぎ、いつも(色々)ごめんな!ありがとう!」

軽い身のこなしで、うさぎの前に来ると、フワッと うさぎを包み込んで、ギュッと強く抱きしめられた。


啓太は少し日本人らしくない接し方をする時がある。


うさぎは、少し恥ずかしいけれど やっぱり嬉しいので『ううん。大丈夫。』 と言う気持ちも込めて、啓太をギュッと抱きしめ返してから、恥ずかしくなるのだった。


すると、うさぎは ふと気がついた

「あっ。私…お酒飲んでる・・・」

お酒の匂いが気になって少し離れようとした うさぎの腕を啓太が引き止め、もう一度抱きしめて


「オレが作った酒やろ?美味しかった?」

「うん♪ いっつも凄く美味しいよ。だから、ついつい飲んでしまう~(笑)」

「じゃ、いいやん♪」


うさぎのアゴにそっと指をあて、熱くなった うさぎの唇に静かなキスを落とした。


そして、顔が真っ赤なうさぎを助手席に座らせて、啓太も車に乗り込んで、車を走らせた。


「うさぎ、メシ食ったよなぁ。でも 俺今日も ゆっくりメシ食えてなくて…。悪いけど何処かに寄っても良い?」

運転しながら、話しかける啓太。


「うん!良いよ。そのつもりしてたし、付き合うよ!」


「ん!ありがと。」

と、うさぎだけに見せる優しい笑顔でお礼を言った。


啓太は職業柄、色んな お店を知っている。だから いつも迷うことなく、お店を決めて食事を済ます事が多い。 今夜も和食。


少しだけ照明を落とした、落ち着きある雰囲気のお店。

ちょっと啓太のお店と雰囲気が似ている。

そして、客同士が仕切られた空間で食べる事ができるお店なので、何より落ち着いて食べられる。


啓太はBARをしていてお酒も好きだが、和食も大好きなので、常連客として うさぎを連れて このお店には、よくくる。


周りの目を気にせずに、うさぎも安心して話が出来て嬉しいお店の一つだ。

お酒が少し入っているので、啓太に甘えながらの会話もできる。


啓太が、出された緑茶に少し口を付けてから

「それにしても…ケイ様騒動…何とかなれへんかなぁ。俺、もう うさぎとの仲、隠すのイヤなんやけど、あのお嬢様がなぁ…あの人さえ あんなキッツいキャラじゃなかったらなぁ…はぁ~。」

と、テーブルに両肘をついて頭を抱えていた。


「う~ん。もし例のお嬢様が、私に何か言いに来たとしても、私は 全然平気やけど、どんな事言ってくるのか、ちょっと聞いてみたい気もするけどね(笑) そんな事より、私みたいなのが彼女って公になったら、お客さん減ってしまったりとか、心配になれへん?私が、もっと綺麗やったら、釣り合うんやろ~けど、きっと皆 啓太の趣味知ったら 幻滅するんちゃうかなぁ?はははは!」

頭をかく仕草をして、化粧室で整えた髪をクシャクシャとした。


啓太は、ムスッとした顔で、うさぎの話を聞いていた。

「誰や~?俺の彼女を侮辱するのはぁ?うさぎは充分可愛い!俺には勿体ないくらいや!それに、うさぎに何かしたら俺が許さん。」

そー言って、うさぎの顔を覗き込む。


すると、ホールスタッフが、スッと うさぎの前に、小さなお造りの盛り合わせを出してきた。


「え?これ。私、頼んでませんよ。」

少し驚きながらスタッフに声をかけた。


「店長から月野さまへのサービスでございます。いつも ありがとうございます。」

ホールスタッフが、応える。


「店長~。俺には~?」

啓太が厨房の方を見ながら、店長に話しかける。

すると、店長がクチパクで

『月チャンにだけー!』と、言ってシッシッシッ。と笑っている。


「だから!俺のうさぎを勝手に、月チャン。て呼ぶな!って。」

啓太が、モゴモゴと口の中で言ってから

「な。うさぎは、そのままで充分良いんやから、釣り合いなんて気にするな。な!な!」


「うん。そーなんやけどね~。」

ピカピカ美味しそうな、お造りを眺めながら応えるうさぎ。


うさぎも啓太の見た目なんて、気にしていない。

気にしていないのに、周りが勝手に啓太を『ケイ様』と呼んで、眩しいくらい綺麗で可愛い女子達が、目をキラキラさせて啓太を見つめている。


うさぎ自信は、いつもボーイッシュな格好だ。

普段気にしていなくても、ケイ様の周りの女の子達を見ていると自分の女子力の低さに痛感する。


そんな事を考えている内に、どうも、ヤキモチ焼きのうさぎが出てきて、眉間にシワがよってきた。

「うーさーぎ。俺はうさぎが一番可愛いと思ってる。なんの問題もないで。」

そう優しく話しかけて、うさぎの口の前に鯛のお造りを差し出した。それをうさぎがパクッと食べて「美味しい♥️」と微笑んだ。


「そうそう。今日、坂上先生と、はーちゃんに、付き合って何年目?とか聞かれたんよ~」

「ふーん。そーなんやぁ。8年目やろ?俺も もう少し落ち着いたら、うさぎとの事は、ちゃんとしたい。って考えてるんやけどな。」


「あっ!そー言うつもりで言った訳じゃないからね。ね。」

「わかってるわかってる。さっきのは俺の心の声やから(笑)」

「ふ~ん、大きい心の声だこと。ふふ。ありがと♡」


啓太も愛しのうさぎチャンに、ちょっかいを出しながら、しっかり食事を済ませた。


「今日は どおする?泊まってく?」

と、啓太。

「うん。明日はお休みやし。」

と、少し恥ずかしそうに答えるうさぎ。


「ん♪分かった!じゃあ 朝はトーストとかでも良い?」

と、啓太。

「うん。朝はトーストと珈琲が良い♪」

と、うさぎ。


そして、遅い夕食を済ませたお店に『ごちそうさま』をして、啓太の部屋に『ただいま』をした。

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