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アイテムBOXに北海道丸ごと入っているので、異世界でも食べるものには困りません  作者: 柚木 冬


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71*村後半戦

 屋台のお客さんも落ち着いて、ジェマも売り子が板について来た。少し笑顔が増え、着実にファンを増やしている。

 私に対しても、堅苦しい話し方が少しだけ柔らかくなった気がする。

 少しは気を許してくれたかなぁ。餌付けの効果だなっ。


 今週はクマグッズを欲しがる商人さんたちが2組いたので、商業ギルドへまたご案内。

 1組目はボーナさんがまだ同席してギルド長オーラを出してくれた。

 2組目は見守ることにしたのか私だけで応対させ、最後に商人たちに睨みを利かせてくれた。


 2組合わせて、クマグッズ80万デナリのお買い上げ、毎度ありがとうございました。

 皆さん、クマグッズがお好きなようで何よりです。まだ魂さんが袋詰めしてくれたのが3袋もあるから、お待ちしています。



「カノンちゃん、そういえばこないだのビタミンCだっけ」

「はい、ビタミンCで大丈夫です」

「軽症患者にずっと飲ませてて、10日たったんだけど、随分元気になったみたい」

「それは良かったです」


「実際に船に乗る船員にも飲ませようと思うんだけど」

「そうですね。でも、実験のために寄港しないとかはダメですからね。効く効かないは個人差がありますから」

「そんな人体実験みたいなことしないわよ。1か月分で5,000デナリでどうかしら。まずは100個発注したいんだけど、あるかしら?」

「大丈夫です。じゃあ来週にお持ちします。村巡りも次の日曜に終わるつもりなので、そちらの書類も持ってきます」

「助かるわ、ありがとう」




 また日曜がやって来た。本日はボートお休み。

 先週半日で村2つはきつかったので、朝から行くことにする。


 北門から出てしばらく歩き、途中で車に乗り換える。

 毎回出す度に再生魔法で燃料も100%に戻っているのが嬉しい。走行距離もリセットされているが、何キロ走ったに思い入れは無いので別にいらない。


 村3、2、1と行くか、1、2、3にするか、どちらでも構わないが、遠い方を先に済ませてしまいたいので、村3、2、1にした。


 起きたことはそう変わりないので省略する。



 村3の村長はまだ若かった。父親が亡くなって最近跡を継いだらしい。未婚のようで、色々アピールされたが、残念ながら私のタイプでは無かった。もう会わなくていいと思う。


 村2の村長は奥さんの尻に敷かれていて大人しかった。奥さんの方が村を仕切っていた。楽しい奥さんだったが、なかなか帰してくれなくて困った。トマト専門料理店を作りたいと言ってくれた。


 どの村も村長たちの手紙が効いたのか、追い返されなくて良かった。

 頑固爺村長4のトマト様を崇め奉る手紙のせいで、農具や鍋よりも何よりも先にトマトを所望される事態になってしまったが。


 真っ赤な見た目には怯むが、皆口に合ったようで何よりだ。

 やっぱりイタリアの血はトマトを好むのかな。DNAの成せる業なのかも知れない。



 そして村1に戻って来た。

 行商は前回済んでいるが、ギルドからのおつかいが残っている。

 門番は私の顔を覚えていて、「おーまた来てくれたか」と歓迎してくれた。


「冒険者ギルドと商業ギルドから荷物を預かってきました」

「村長呼んでくる! 待ってろ!」

 凄いスピードで飛んで行ってしまった。


 近くにいたおばさんに見付かって、話し掛けられる。

「こないだのトマトの子じゃない。家で大評判で、何にでもかけるからすぐにソースが無くなっちゃったのよ。もっと欲しいんだけど、まだ無い?」

「ああ、ありますよ。いくつ必要ですか?」

「じゃあみんなに聞いてくるわ」

 おばさんも凄いスピードで飛んで行ってしまった。


 みんな運動能力高いな。さすがに畑仕事で鍛えられているだけある。


 異世界あるあるだとマヨネーズ信仰だが、私の場合はトマトケチャップ信仰になりそうだ。

 マヨネーズだとやっぱり生卵のリスクが不安だよね。もっともBOXの中には殺菌済みのマヨネーズがとてつもない量入っているので、機会があればマヨネーズ教も広めてもいい。


 実は私自身はマヨネーズ信仰もトマトケチャップ信仰も特に無い。

 一人暮らしだから、両方とも1本買えば一年以上は冷蔵庫に眠っている。開封後は早く消費しないといけないらしいけど、そんなに使うことないよね。サラダのお供も和風ノンオイルドレッシング派だし。最近は小さいサイズの物を購入することにしていた。


 トマトケチャップに思いを馳せていたら、村の奥から、門番に連れられた村長たち男衆一団と、さっきのおばさんに連れられたおかみさん連合が、ドドドドドと音がしそうな勢いでこっちに向かってくるのが見えた。

 その勢いに思わず逃げたくなる。


「嬢ちゃん!」「商人の子!」「トマトの子!」「トマト娘!」


 名前覚えてないのは仕方ないけど、トマトの子って何だよ。

 トマト娘ってご当地アイドルかよ、いそうじゃん。

 今度来ることがあったら、頭に葉っぱ付けて全身赤い服で来てやろうか。


 全員で一気に話し出すので、収拾が付かない。前回来てから2週間、既に足りない物や他に欲しい物もあるらしい。


「はいはい、解りました。まずは村長にギルドからの荷物を渡して、それから集会場に移動しましょう。集会場は今使ってますか?」

「空いてるけど、仕分け中だったから物でいっぱいだわ。ちょっと片付けてくるー」

 大半の村人は、ドドドドドと片付けに走っていった。


「村長、冒険者ギルドから薪を預かっているんですが、そこの薪がいっぱいあるところに置けばいいですか?」

「ああそうしてくれ。今のと離して、ここの隅に置いて貰えるか」

 言われた場所に薪を積んで、書類と商業ギルドからの薬も渡した。


 そして残った面子で集会場に移動すると、大勢で整理が完了しており、テーブルの上がキレイになってた。


「お待たせしました。じゃあ、欲しいもの言ってください。出していきます」

 村1の第二回フリーマーケットが始まった。


 村2~5で好評だった物も追加で出したため、前回以上の売上になった。


 是非また来て欲しいと懇願されたが、北の方に行くのでしばらくは来れないと答えると、皆腕を掴んで離してくれなくなった。


 定期的に村を回ってくれる行商を探して貰うように商業ギルドに伝えるからと宥めすかして、やっと離してくれた。


 余程買い物に困っていたのだろうな。一番アリッチェに近い村1でもこれなので、他の村はもっと困っているんだろう。戻ったらボーナさんに相談しなくちゃ。


 とりあえずようやくおつかいクエストが終了した。

 さすがに3つも村で接客すると疲れる。

 体は丈夫なので元気だが、精神が疲労困憊の状態でアリッチェに戻った。


 夜は牧場アイスで自分を甘やかせて、部屋でだらだら過ごす。

 最近ずっと休みが無いだろうが、労基法違反だぞ。

 あかん、個人事業主だった。

 平日は6時間営業なので実際の勤務時間は短いのだけど、休日が無いのが辛い。


 来週の日曜は休むぞーと思ったが、ボート練習があった。

 もっとのんびりだらりん生きていきたい。


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