第8章 3話 異変の数々
「ここでは金庫の中に2つの保管箱があります。指輪はこの中にいれておきました」と依頼主が言う。
「それで」と僕が続きを促す。
「箱は便宜上AとBと呼んでいます。日によって使用箱が変わります」
「はい」
「ところがAに入れてあったはずの指輪がBに移っていたのです」
「スタッフの入れ間違いか勘違いでは?」
「そんな訳ありません。記帳してどちらに入れるか決まっているんですから」
「反間の計みたいだな。いや空城の計の応用か」と三国志コンビ
「防犯カメラには?」と芸能コンビ
「カメラには怪しい人影はありません」
全員でその金庫に行ってみる。
「なるほどこれがそうなんですね」と僕が言う。
一応金庫を開けてもらったが、中身を別の箱に移動するのは不可能に思われる。
僕は芸能コンビと三国志コンビを見たが、2組とも首を捻っている。
「では席次表が差し替わったっていうのは?」と僕が聞く。
「席次表の最新版が印刷されるはずだったのに、何故か1つ前の版が印刷されて送られてきたのです」
「それこそ、印刷会社のミスでは?」
「確認したところ、こちらは指示通りとの返答でした」
「じゃあこちらのスタッフの指示間違え?」
「それが聞いたところ、1つ前のにしてくれなんて指示していないとのことです」
「誘敵の計だな」と三国志コンビ。
「では結婚証明書が未提出扱いになっているのは?」と僕が聞く。
「結婚証明書が未提出扱いになっています。関係者にきくとまだ受理していないと言われたそうです。しかし新郎新婦は署名をしたと言っています。それなのに」
「こう3つもあると、確かに妨害ですね。意図的なものを感じます」
「そうなんです。原因はなんでしょう。目的は結婚式の妨害でしょうが」
「妨害は間違いないでしょう。ただ……」
「ただ?」
「僕なら結婚式を妨害するなら、結婚指輪そのものを盗みます。でも犯人はそうしていない。そこらへんに謎を解く鍵があるのかもしれません」と僕が言う。
「相手は孔明というより賈詡だな」と三国志コンビ。
「それはそれでやっかいな相手だ」と三国志コンビのもう1人。
「では我々はそれぞれの異変の調査に入ればいいんですね」と僕が言う。
「はい。よろしくお願いします」
これで各組に分かれて行動することになった。
「泉はどう思う?」
「う~ん。単独犯なのか複数犯なのかもわからない。でもスタッフの1人なんじゃない?」
「スタッフの1人ってのは可能性あるね。単独犯か複数犯かは僕もまだ何とも言えないね」
「これからどうするの?」
「もう1度金庫のところに行ってみよう」




