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Episode3.秘技を引く

フフォー!なんとか乗り切ったぞ!


一発いいのをお見舞いされてしまったが、なんとか生き延びることができた。


「足を蹴らせて、即逃げる。これが修行によって身についた僕の秘技だ!」


るんるんで折れた足を引き摺りながら部屋の前から消えたヘリオを探す。


そう思って城の庭園に行くとそこにヘリオはいた。


「お待たせ。待った?」


「おー、結構時間かかったな…ってその足ー!!!どうしたんだよ!?90度に曲がってるじゃないか!」


そう言ってヘリオは僕の足を見やる。


「あー!これ?冗談冗談!今元に戻すね!」


言った瞬間僕の足は元に戻っていた。


「いや、そんな軽いもんなの!?

怖いよ…」


ヘリオは顔が青ざめている。


「なれてるからね…大丈夫。」


僕は修行時代を思い出し、一筋の涙が頬をつたい。それが庭園の地面に落ち花が咲く。世界に平和が訪れたのだ。


「まあいいや。よくないけど。それより!学校の件はどうなったんだ!?」


僕はおバカモードから解放されていう。


「ふふーん。見事入学が決まったよ!」


僕は胸を張ってヘリオに自慢げな顔を見せる。


「本当か!?よかった!!マヤのいない学園生活なんて退屈だからさ!!」


ヘリオは本当に心から安堵しているようで、僕も嬉しい。


やはり持つべきものは親友の金持ち権力持ち王子様である。


「入学も決まったし、今日はこれから街に行って色々買わなくちゃね!」


「俺も付き合うぜ!相棒!」


会話をしているとお城からタキシードをきた老紳士が飛び出してきた。


スタッ


「じぃ!?」


「ヘリオ様!護衛も変装もなしに城下に降りるのはいただけませんな。アロメア様が許しても王の側近である『ジィ・アンドレ』が許しません!」


その老紳士が僕たちの前に着地する。


「じぃ!どんだけ地獄耳だよ!俺はもう決めたんだ行くと言ったら行くよ!」


すかさず僕は、


「いや、普通に考えて王子様が僕の家に来るのもおかしいし、護衛もなしで城下町は危ないよ。ジィさんのいうこと聞いとこ?」


思ったことを口にした。


「ま、マヤまで!?急に真面目になったな!!

わ、分かったよ…ごめんマヤ、今日は一人で行ってきてくれ。」


「いいんだよ相棒。身の安全が何より大事さ。王子様なんだから。」


そう言い終えた瞬間


「おや?マヤじゃないか!!どうしたんだい?お城に居るなんて珍しいね。」


丸いメガネに誰にでも優しそうな穏やかな顔。

青みがかった灰色の長い髪を携えて、こっちに向かってきた彼は。ニコスキュレス。来月から通うオクシア学園の先生だ。


「ニコス先生!!」


ヘリオは、しめたと言わんばかりに顔を綻ばせる。


「先生!お願いがあります!」


「なんでしょうヘリオ様?急に改まって。」


「実は、今からマヤと一緒に学校に必要な買い物をしようと思ったんだけど、じぃが二人だけだとダメって…」


ヘリオは子供のかわいさを全力で出し、ニコス先生にお願いした。


「なるほど…分かりました。僕がついていきましょう!」


「いいんですか先生?アロメア様に用事があってきたんじゃないの?」


マヤがごもっともな意見を繰り出した。


「そうだね。だから、用事を済ませるまで待ってくれれば、僕が護衛兼お目付役として付いていてもいいよ」


「やったぜー!いいよなじぃ?」


「ほぅ、ニコス様がついておれば安心ですな!

ヘリオ様。絶対にニコス様の言うことを聞くのですよ?変なことに首を突っ込まないように!!」


「分かってるって!じゃあ先生!すぐに用事済ませてきてよ!マヤと手合わせして待ってるから!」


まずい!ヘリオと手合わせだと!?そんなことになったら僕の骨がふにゃふにゃになってしまう!どうにか阻止を…


「マヤ行くぞ!!先生また後で!!」


阻止する間もなくヘリオに足を掴まれ持ち上げられる。


「ひぃっ!!ニコス先生!!助けて!!」


「ははは!二人とも仲がいいなあ。」


「たちけてぇ〜〜〜!!」


ニコスに僕のSOSは届かなかったようだ。

僕にも優しくしておくれよ先生。




……。


「さあ、待たせたね!じゃあ買い出しに行こうか。

マヤはボロボロみたいだけど、大丈夫?」


「ぜぇぜぇ、大丈夫です、はぁはぁ、そんなことより早くいきましょう…ここには1秒たりとも居たくない。」


「全く。マヤはまだまだだな!」ニカッ


「頼むから力加減覚えてください。マジで…」


「まあ、お母様にも言われてるし考えとくよ。じゃあ!メーンイベントの買い出し行こうカァー。」


「うん。早く行こう。ついでに美味しいご飯も食べよう。僕には今すぐご褒美が必要だ。」


「じゃあまずは腹ごしらえ。そのあとは『ギア』を見に行こうか。」


僕たちは学校生活の楽しみや、自分が学びたいことなど、先生にアドバイスをもらいながら楽しく城下町へと入っていくのであった。




……。


「先生。さっき『ギア』って言ってたけど、なんのギアを買いに行くんだ?」


ヘリオは興味深そうに尋ねた。


「コホンッ。いい質問ですね、ヘリオ君。

まず二人はギアについてどこまで知っている?」


ヘリオは少し怒って


「バカにしないでよ!ギアは自分の中にある加護の力、マギアを使用するための道具でしょ?」


「うん、それも正解。だけど今日買いに行くのは、特別なギアなんだ。」


ニコスは笑顔で、ヘリオに特別授業を始めた。


「実はギアには大まかに3つの種類がある。

一つ、「アーント・ギア」

これは、一般家庭でも多く使われてるギアで、加護の力をうまく使えない人でも簡単にマギアを使うことができる。補助的なギアだ。」


「え、、ギアってそれ以外にもあるの?!」


ヘリオはびっくり仰天大慌てだ。


一方の僕はヘリオを細目で見やる。


この話は何度かヘリオにしたことがあるがその度に、


(へー、そうなんだ。そんなことより手合わせするぞ!!)

っていつも聞いてくれなかったのに…


ヘリオは興味ないことにはとことん興味がない。


「ほいでほいで?次は?」


「二つ目、サータル・ギア。

遠い昔マギアの研究者が開発したギアで、今見つかってるものはどれも強力な異能を秘めている。これは王城の宝物庫にも何点か保管されているはずだね。一般人じゃまず目にすることはない。」


「そして三つ目が本題!今日買いにいく『アハル・ギア』。王族の支援のもと100年前に作られたもので、特に種類はない。みんなそれぞれが持っている固有のマギア。その能力を覚醒させる特別なギアだ。」


「このギアによって覚醒するマギアは通称『アハル・マギア』と言って、このマギアの使い方を学ばせるのも学園の役割の一つだね。」


ヘリオは途中から目を輝かせて聞いていた。


「すっげぇーー!!じゃあ俺にも俺固有の力が眠ってるってこと!?マヤぁ…楽しくなってきたんじゃないかぁ!?俺の能力とお前の能力、どっちがカッケェか勝負しようぜ!!」


「気にするのかっこよさなんだ…」


僕はもう呆れていた。全て僕が何度か話して流された話だ。


呆れた僕は、話に夢中のヘリオから飯を奪い取って黙々と食べていた。


「あー!!俺の飯とんなよ!不敬だ!処すぞ!」


「いつも美味いもの食べてるんだから、寛大な心を持ちなよ。」


「バッカお前!普段はこういう一般的な食べ物食べれないんだよ。後生だから返してヨォ。」


ヘリオがだんだん弱々しくなっていったので仕方なく返してあげた。


「ヘリオ君、僕の少し分けてあげるよ。元気だしな。」


「いいんですよ先生。僕は何度もギアの話をしていたのに、全然覚えてないんだもん。ヘリオが悪い!」


「そ、そうかい?」

「じゃ、じゃあ、そういうことだから、早く食べてギア工房に行こうね。」


ヘリオは悔しそうに言う。


「くぅー!泣き寝入りするしかないか…」


こうしてご飯を食べ終えた僕たちはギア工房に向かうのであった。





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