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俺たちのロッケンロールデイズ!!  作者: 獅子尾ケイ
対バン!オタクとライブで勝負編
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第70話「来たる野外ライブ当日!」

 外は快晴。まさに野外でやるライブには、もってこいの天気。


「よーし! ついにライブだ。今日は、死ぬつもりで全力を出すぜ!」


 俺は青い空に向かい、決意を込めてさけぶ。


「いや……仙道よ」


「んだよ、小野寺。おまえらもそんなしけたツラをしてねーで、気合いを入れろよ」


 みんなは俺とは違い、どうにも覇気がない。今さら緊張などしているわけでないのに。


「うむ、そうなんだが……」


「晴君……前に決めたじゃない。ライブ当日は会場設営があると思うから、早めに出てみんなで手伝おうって」


「あ? そうだっけ?」


「今はもうお昼の時間だよ。今から向かっても、もう間に合わないよぅ」


「まあいいじゃねーか! どうせ高村がなんとかしてんだろ。さあ、ライブ会場へと向かおうぜ」


 そう話した俺は会場である公園へと向かう電車に乗り込んだ。その後を、シゲたちも呆れながら続く。


 電車に揺られ、駅に着いた俺たちは目的地へと向かう。しばらく歩くと、ライブ会場の公園が見えて来た。


「へえ、意外に広い公園なんだな。もっと小さい場所かと思ったぜ」


「一応、国営らしいよ? かなりの面積があるだろうし、いろいろなイベントができる公園みたい」


「うむ。高村がその公園を借りることができる人脈の広さに驚くばかりだ」


 歩きながらみんなで話していると、園内に入るところに着いた。近くに立っている、年老いた公園のスタッフに俺は声をかけた。


「すんません! 今日、ここでライブをやるバンドなんすけど」


「……入園料、一人五百円ね」


「……はい?」


 ーー今日、ここでライブをやるバンドだぞ? こういうのは、顔パスじゃないのか?


 そう思っていただけに、俺はスタッフの言葉にキョトンとしてしまう。


「いやいや、じいさん。ライブあんのが伝わってないのか? 俺たちはライブをやるために来たんだよ」


「ライブだがバンドだが関係などない! 入園料を払わねば、中には入れられん!」


「このくそじじい……」


 話が通じてないことと、じいさんの態度に俺は怒りをあらわにする。


「晴君、落ち着いて。揉めたらライブができないかもだよ? とりあえず、お金は払おう」


 そう言ってシゲは財布からお金を取り出す。


 腑に落ちないが、トラブルは避けて起きたいと思いシゲの言うように仕方なく入園料を払う。


「くそがあ! なぜ、俺たちが金を払って中に入らなきゃならねーんだ!」


「まあまあ……中には入れたんだから、ライブ会場を見に行こうよ」


 不機嫌な俺をなだめるように、シゲはそう提案する。


 俺たちがライブをやるエリアは広いとだけ言われていて、実際にどんな感じかはわからない。


 期待と不安を持ちながら、俺たちは向かう。


「意外に遠いな……かなり歩くじゃねーか」


「……はあはあ。まだか?」


「あと少しだよ、頑張っていこう」


 楽器やら機材を背負いながら、しばらく歩くと大きな芝生公園にたどり着く。


「すげえ! 予想してたより、広いな!」


「こんなところでライブ会場を作れるのかよって……あそこに見えるのはステージじゃね?」


 成瀬は広場に立っている骨組みを指差す。明らかに完成途中の設置物は、音楽フェスで見るようなライブステージだ。


「すげえな! あそこで俺たちがライブをやんのかよ」


「無名のアマチュアバンドたる俺たちには、不釣り合いではないか?」


 その規模のデカさに、俺たちは驚く。しかし、まぎれもなく今日、ここで俺はライブをやるのだ。


「まだ誰もいねーな! ちょっとステージに上ろうぜ」


「ええ……晴君、それはさすがにまずいよ」


 俺はシゲの静止を振り切り、ステージ台に走り出した。そして、ステージに上がって遠くを眺める。


「うおおお! やっぱり野外だと広いな。ライブハウスどころの話じゃねーぜ」


 狭いライブハウスのような閉鎖感はなく、開放感に満ち溢れる。


 俺に続けて成瀬たちもステージに上がって、同じように広場全体を眺めていた。


 この場所でライブをやると思うと、今からワクワクする。


「みんな早く降りなよー。怒られるかもだよ」


「大丈夫だよ、シゲ! ほら、おまえも上がれ」


 俺はシゲの手を引っ張るようにステージに無理矢理上がらせた。


 この今までにないライブステージを、シゲにも感じさせなきゃいけないからだ。


「わわ! たしかに、圧巻だね……なんか、緊張してきたよ」


「緊張する必要はねー! ここで最高のライブをやることだけを考えろ」


 情けない言葉を言うシゲに、俺は喝を入れる。


 夕方も過ぎれば、観客を前にライブをやらなければならない。今からビビってたら、最高のパフォーマンスなどできないはず。


「こらあああ! おまえらは、誰だ! 今は設営中なんだから、危ないだろうが」


 俺たちに気がついた作業員が、大きな声で注意してきた。


「やべえぞ仙道! さっさと降りようぜ」


「うむ。このままでは、出禁になりかねない」


 成瀬たちはそそくさと、ステージから降り始める。


「うおおお! 俺たちは、最高のライブをやるぞおおお!」


 一人残った俺は、広場に向かってさけぶ。それは、俺の決意表明でもあった。


「晴君、早く早く!」


「ありゃあ、変なスイッチ入ってんじゃねーか? ほっとけ、有本」


「あっ! 待てよ、おまえらもなんか叫べよ」


「誰がそんな恥ずかしいことをすんだよ! バカか、おめえは!」


 スタスタと逃げていく成瀬は、俺にそう言いながら呆れる。俺は追いかけるようにみんなの後を追った。


 芝生公園を出た俺たちは、近くにあった休憩スペースに腰かける。


「はあはあ! もう足がパンパンだぞ。動けねえー」


 重たい荷物を持っている俺たちは、全力で走って疲れ果ててしまう。


 ライブスタートまでまだ時間はある。


 俺はギターケースからギターを取り出して、チューニングを始めた。


「おい、仙道。なにをしてんだよ……ギターなんか出して」


「あ? なにって決まってんだろうが」


 そう尋ねる成瀬に俺が答えると、みんなは嫌な予感を思い浮かべる。


「おまっ……まさか」


「ああ! リハが始まるまで、ここで最後の練習をやんぞ!」


「ふざけんなああああ!」


 時間はまだまだある。ライブがスタートまで、ここで練習をする。


 嘆く叫びを出す成瀬の声を跳ね除けるように、俺はギターをかきならした。

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