#4 危機
銃弾が飛び交うなか、休まず次のターゲットへ接近して同じように始末する。残り四体になってルクフェネは高く跳び上がった。
(四体ならいけるはず……! 流星よ、降り注げ)
闇夜に星の群れが生まれて一斉にローゲイルへ襲いかかる。大気が沸騰する。
(一体、仕留め損ねた! 風のように隼のように)
白熱の空間から一直線に光弾が飛び出してくる。残像を貫く。
着地したルクフェネは続けざまにユクルユフェーアを紡ごうとした。
(!?)
不意にバランスが崩れる。踏み込んだ脚に力が入らない。ローゲイルはすかさず突っ込んでくる。
(これくらいで……!?)
ルクフェネはどうにか攻撃を躱しながらも、どんどん後退していく。相手は光弾を乱射しながら、容赦なく巨大な矛で殴りかかってくる。その打撃を受けてルクフェネは吹っ飛ばされた。
「元祖れんこん砲!」
「繭々!」
どこからか大量の白い光弾が飛んできてローゲイルを急襲する。さらに白い糸が縛り上げて動きを封じる。
「アヤメちゃん、ルクフェネさんをっ! そんなに持ちません!」
「大丈夫ですか!?」
「何とか……。ツムギちゃん、こっちへ! 二人ともつかまって! 風のように隼のように!」
束縛を引きちぎってローゲイルは咆哮する。ルクフェネは二人を抱えて瞬時に移動した。
どうにか物陰に隠れて息を整える。
「ハァ……ハァ……。二人ともありがと……」
「ルクフェネさん! 怪我は!?」
「だ、大丈夫ですか!?」
「ちょっと……厳しいかもね……」
「ここは諦めましょう。あんなのが待ってるとは思いませんでした!」
「アヤメちゃんのいうとおりです、仕方がありません!」
「……。別に無理をしたつもりはなかったの。確かに頑丈で厄介だけど苦戦するような相手じゃなくて。……。いつの間に圭に頼ってたんだね、それがわかっちゃった……。圭がいてくれないとうまく戦えない……」
「ルクフェネさん……」
「そういえば〈セグレンデの二つ耳〉から何も感じられなくなってるし……」
「わたしたちの力はやっぱり小さくて、れんこん砲ではまるで歯が立たなかったです……」
「繭々も引きちぎられてしまって……」
「ううん、隙をつくってくれただけでじゅうぶん。……。撤退するしかないのかな……。……あれ、受信だ。復旧したのかな? ……あ、そうだ、ピアツーピアにしてたんだった。圭?」
「ルクフェネ! だいじょうぶ!? ルクフェネが押されてる感じで、そんな馬鹿なって思ったんだけど!」
「ちょっとね……あれ? 〈セグレンデの二つ耳〉はちゃんと機能してる!?」
「もちろん! それでだいぶルクフェネの力を使っちゃったから、そのせいかもって!」
「……!? あ、ほんとだ……って、ちょちょちょ、ちょっと大丈夫!?」
「実はそんなに大丈夫じゃなかった。でもリバと、あと精霊のカスミちゃんとマリモちゃんが全力を出してくれて、僕はまあ……あ、カスミちゃんにものすごい目で睨まれちゃった。今回は僕も含めてみんなで頑張って、なんとかピンチを切り抜けたところだよ」
「そう……よかった……」
「だけど今回ほど『死』という言葉を強く意識したことはなかったかもしれない。そしたら、想いは伝えられるときに伝えるべきだったって、自然と。それでこんなときにおかしいとは思ったけど、僕の想いを聞いてほしいんだ」
「想い……?」




