花のおマシリでござる?
久々の2日連続投稿!
まさかの1200食。しかも三日分。
アタシは単純計算で仕出し夕食計3600食と考えたけど、執務室で詳しく事情を聞いてみると、何かが違う。
「それ……ホントにウチの仕事かい?」
アタシの出社を待ち構えていたアロが言うには、マシリという街が食料不足の危機らしい。
マシリは湖の近くにある土地で、お偉いさんやお金持ちの別荘が点在する閑静な保養地だ。国内でも類を見ない、富裕層のためだけにある街で、一般住民はいない。
正直ね、そんなバブリーな街が食料危機と聞いてもピンと来ない。てか、街じゃなくない? 別荘の食糧なんか、別荘の持ち主が賄えばイイよね?
だって、従業員の食料の確保は雇い主の管轄だ。基本的には貰った給料の中で生活すべきだと思うけど、そこは領地経営と一緒。別荘とその従業員しかいないなら、雇用主が領主よろしく生活保障してやるべきだとアタシの漫画知識が言っている。
「てか、別荘しかないのになんで1200食も必要なのさ。一帯あげてのパーティーでもすんのかい?」
「食糧難だと申し上げましたのに、なぜそのようなお気楽な発想になるのか心底不可解ですわ。ハァ……けれど、残念な第一夫人を支えるのも第二夫人のお役目ですわね……。
よろしいですか? そもそも今回の依頼はクロウが持ってきましたの。クロウはイムラの救民街担当の職員ですが、さすがに覚えていらっしゃいますよね? マシリはイムラから遠くありませんから、イムラの救民街出身者も一定数就職しているのですわ」
「いや、それ答えじゃないよね?」
ジト目で見たって怖くないよ? いつものことだし。
「せっかちは幸薄いと言いますでしょう。商会長ともあろうお方が結論を急いではなりません。何より、ドルゴーン大公の第一夫人としての気品をお持ちくださいな。ワタクシが恥ずかしい思いをさせられるではありませんか。フォローできる物事にも上限がございましてよ?」
「あー……。善処するから続きを聞かせとくれよ」
「本当の本当にお願いしますわね?
さて、まずはマシリについてご説明致しましょう。仕方ありませんわ、会長はまだ『お子ちゃま』ですものねぇ……。大前提として、マシリの別荘には中古販売がございませんの。つまり、新たにマシリの別荘持ちになろうと思えば、どこぞの一族が代々引き継いでいる別荘をご厚意で譲っていただくか、新たに土地を手に入れて建築許可を取り、建築関係の職人を雇って建造しなければならないのですわ」
あくまでマイペースにしか説明しないアロに、アタシは溜め息をつきつつ相槌をうつ。ま、3600食分の材料を今すぐ集めるために奔走しなきゃならない感じじゃないから、大丈夫かな……?
「現在マシリには20ほどの別荘が存在しています。それぞれの使用人も敷地内に住んでおりますの。別荘の敷地は平均して救民地半域ほどはあると思ってくださいな」
「うへぇ、バカっ広いね。掃除すんの大変だ……」
システムとしては江戸時代の武家屋敷に近いのかもしれない。恐らく、広い敷地内には母屋の他に長屋みたいな従業員の居住スペースがある。必要な食事数から推察するに、かなり大きな長屋だろう。
武家屋敷なら出入りの商人があれこれ持ってくる。でも、点在するマシリの別荘はどうしているのかわからない。食料不足とはすなわち、業者不足……?
「なぜお掃除などしますの? それこそワタクシ達のお仕事ではありませんわよ。お掃除はお掃除を生業とする者に任せれば良いのです。まったく、会長はすぐにヒトの仕事に手を出そうとするのですから……。それよりちゃんとお聞きくださいませ。
そのマシリの別荘の中で三番目に広い敷地を持つのがディミヌエ家です。現当主はポー・ディミヌエ様と仰います。本来そこまで裕福な家系ではないものの、ディミヌエ家は代々マシリ一帯を管轄するお役人なのですわ。……とは言ってもドルゴーン大公家とは比べものにならない木っ端役人ですけれどね? ポー様ご自身も地味なお方ですし」
「……へー」
「けれど今回はどうも、そのポー・ディミヌエ様が大きく影響しているようなのです。クロウの報告では詳細まではわかりませんが、どうも、ご乱心あそばされたようですの」
「へぇ!?」
殿ご乱心。まさか生で聞く日が来るとは思わなかった。
マシリってやっぱりお江戸じゃないか……。
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