湖畔の別荘地といえばホラーが……
3日連続更新できました!
大きな別荘ばかり約20軒。町はなく……というか、一軒一軒が小さな町とも呼べる巨大なお屋敷が集まる謎の保養地。
どう考えてもマシリはホラアナ亭グループの管轄じゃないと思う。兄さんやあんちゃんからの紹介なら有り得なくはないが、なんだってイムラ経由で……?
首をひねるアタシに、アロがいよいよ核心を告げた。
「ご乱心の様子を詳しくは存知ませんけれど、マシリの別荘地に仕える者の間ではかなり恐ろしい噂が流れているようですわ。証拠も何もないため、あくまで噂だそうですが」
「てことは、別荘で働くヒト達は交流があるってことだね?」
「いえ。どうも、ディミヌエ家で噂を聞いた出入りの商人から近郊に広まったようですわね。『二度とマシリには来ない。手を引く』という宣言のために必要だったのでしょう。
あの一帯はすべて、ディミヌエ家の斡旋した商人が流通を独占していますの。家具などは王都で購入して運び込むのでしょうけれど、食料品や日用品はそうもいかないのだと思いますわよ。木っ端役人のくせに悪知恵だけは働く代表例のような男なのでしょうね。汚らわしいわ」
アロは何かポー・ディミヌエさんに恨みがあるんだろうか。思わずそう考えてしまうような悪口雑言が続き、そこから今度はアロの大好きなドルゴーン大公家賛美に移行する。
ちょっと……いや、かなりめんどくさいけど……アタシは知ってる。実はアロ、あんちゃんの前に出るとさ、緊張してうまく喋れなくなっちゃうんだよね。ふふふ。だからその分アタシの前でアピールするんだ。可愛いもんだよ。面倒だけどさ。
「ね、アロが丁寧に教えてくれたってあんちゃんに言っとくからさ、まずはマシリの状況教えとくれ」
「本当ですわね!? 美しく優しいアロが懇切丁寧に会長にお仕えしているとアピールしてくださいませよ!?」
「は……ははは」
意気込んだアロが一気にまくしたてたのは、想像以上にひどいマシリの現状だった。
アタシの予想、当たらずとも遠からず。
マシリの食料不足の直接的な原因は、商人の不在。流通の崩壊によるものだった。
あまりに恐ろしいディミヌエ家当主の噂。それは、アタシが前世で読んだ物語の中にはありふれたモノ。
妖怪に憑りつかれた殿様然り。吸血鬼然り。史実には血の伯爵夫人然り……。現状となり目の前に噂として存在すると、限りなく恐ろしい「ご乱心」。
ディミヌエ家を訪れた者は帰ってこない。
夜な夜な恐ろしい悲鳴が聞こえる。
商魂逞しい商人達が忌避して来なくなるほどなのだ。もはや、噂ではないレベルなのだろう。
ポー・ディミヌエ氏は、乱心し、屋敷で虐殺を行っている───。
「これ、ご飯がどうの、っていうレベルじゃないよっ!? ちょ……すぐに兄さんに知らせないと……!」
「まだ続きがございます。少し落ち着いてくださいませ。
クロウのもとに助けを求めて来たのは、マシリでは比較的小規模な別荘に仕える庭師で、庭師は噂の信憑性を疑っていたそうですの。少なくとも庭師は、いなくなった人物など一人も知らないと」
あまりにも陰惨な展開に泡食ったアタシと違って、アロは冷静だった。さすが、赤鬼。……いや、関係ないか……?
でも実際問題、この国はモンスターで溢れている。ヒト喰いがいてもアタシから見れば不思議じゃない。
皆様のおかげで、SSの二弾ができそうです
ブクマ400、近付いております
200はわんこくんの過去でしたが……
400は誰がイイですかねぇ
最近出番のないわんこくん再び!もイイなぁ……




