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おかん転生 食堂から異世界の胃袋、鷲掴みます!  作者: 千魚
2 光の洞穴亭 in 王都
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フィーリ、カロメの実で実験する②

大変遅くなりすみませんでした。

ようやくお盆やら宿題に終われる娘やらの問題が片付きました。


今更かもしれませんが、今日からまた、毎日更新を再開します。

今日は二ページ上げます!

 「カロメ・ツヴァイ」はまさしく見た目の通りお粥になった。香りも味も全て、お粥以外の何物でもない。

 酢飯っぽさは、梅干しをほんのり入れた程度に減り、それも「The・お粥」に堂々一役かっていた。


 ある意味感動したが、残念ながらカロメーロチャートを初めて食べた時のような衝撃はない。

 良くも悪くもお粥だからね。美味しいとは思うし、幸せだけど、数日で食べ飽きるだろう予感もヒシヒシとする。


「……ま、とりあえず」


 「カロメ・ツヴァイ」は一旦置こう。トッピングとか、後で考えればイイさ。カリカリの鶏皮乗せた中華粥なんかも捨てがたいしね。

 うーん……なんだかさっきから楽な方に逃げてばっかりいる気もするけど……。ま、シンプルイズベスト。「カロメ・ワン」だって放っておけないんだから問題ない。


 アタシは今度は趣向を変えて、裏漉うらごしした「カロメ・ワン」を炒ってみることを思い立った。チャーハンになったりしないかねぇ?

 裏漉しした「カロメ・ワン」はそのままだと、残念なことに潰れた種がザラザラと舌の上に残る、微妙な食感の「離乳食っぽい何か」だった。そのままでも食べられなくはないけれど、どうせならもっと美味しく食べたい。何とか水分を飛ばせないか考えた。


「炒飯になるかリゾットになるか……」


とりあえず炒ってどうなるか、だね。


 お試し量の「カロメ・ワン」を中くらいのフライパンに入れ、火にかける。まずは強めの中火でドロドロをモタモタくらいに。モッタリモッタリ木べらでまとめられるくらいになったら、手早く一度火から下ろした。

 できるならパラパラになるくらい炒めたかったが、どうもこの感じ、どこまで炒っても無理そうだ。だって、多少水分がとんだところで、カスタードクリームみたいなもったり感。米と違い、元の粒子が細かいから仕方ない。粗めの米粉を煮詰めたような……。


 あー、そういえば……昔、こんな感じの小麦粉をチミチミチミチミ千切っては丸め、丸めては千切り、ちっちゃくちっちゃく並べて茹でてるの、テレビで見たことあったけど。んー……あの小麦粉の偽米、まだあの芸人さん達、やってるのかねぇ……。アタシにゃ到底無理な作業量だ。……あーテレビ、見たくなって来ちゃうね。

 ……というか、


「これは…………」


 ……ピッカーーンとひらめいた! 米粒に執着するからダメだったんだよ!!


 アタシは早速、薄い皮手袋をはめると、焼く前のパンケーキ生地みたいな「カロメ・ワン」を手に取った。ちなみにこの手袋はあんちゃんの魔法がかかった魔術具だ。お得意の時空魔法で、雑菌の繁殖をおさえてくれるし、手にべとつかない。

 アタシは皮手袋の特性を生かし、おにぎりサイズで丸くまとめた「カロメ・ワン」を量産していく。


 クッキングペーパー代わりの布の上に並んだ「カロメ・ワン」は16個。

 今度はその両面をフライパンでカリッと焼いた。油は使ってないのに、種の油を含むせいか「カロメ・ワン」はキレイな焼き色でまとまっている。


 冷ましている間に、貯蔵庫からきな粉もどきと、あんこもどき、砂糖醤油もどきも出してきて……


「ジャジャーン! カロメ餅のできあがり!!」


 キツネ色に膨らんだ「カロメ・ワン」は、一見、小さめのカロメの実だ。しかしカロメ餅には皮も種もないから、そのまま食べれる優れモノ。ドロリと潰れていたからこそ、ジャガイモ餅の要領で成形できた。


「あーっ美味しそうだねぇっ!」


 ふんわりと上がる湯気はまさにつきたて、焼きたての証。期待が膨らむ。


「いっただっきまーす! …………んぅっ」


 あつあつのカロメ餅を右手と左手でほっほっと投げ合いをして少し冷まし、早速一口。


「ふはぁ……っ!」


 試食したアタシは、思わず感動にうちふるえた。比喩じゃな く、手の震えが止まらない。


「モチモチしてる……っ!」


 水分を飛ばすことで糖分が凝縮したのか、カロメ餅はカロメーロチャートよりも「カロメ・ツヴァイ」で作ったお粥よりも甘かった。それに、潰れた種も気にならない。例えるなら胡桃ゆべしか雑穀餅。

 もちもちした中に混じった種のプチプチ食感が、餅に食べ応えと満足感をあたえていふ。


「これ……何個でもいけるね……」


 ふっふっふ……カロメの実。本格的に仕入れる必要がありそうだ。

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