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おかん転生 食堂から異世界の胃袋、鷲掴みます!  作者: 千魚
2 光の洞穴亭 in 王都
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フィーリ、カロメの実で実験する①

ようやくお盆の忙しさが薄らいできました……(@_@)

 今日は食堂の定休日。

 とはいえ、一般向けの話だ。ガヴのあんちゃんとジークの兄さんはいつも通り、朝・晩と食べに来る。


 今日は珍しく宿泊客がゼロだとかで、ミョルニーとルフも午前中からこっちに来ていた。昼食を取った後、二人はあんちゃんの所のメイドさんを案内人に王都見物を楽しんでいる。バザールを中心に回るそうで、ミーチャもウキウキと付いて行った。

 実家であれだけの気難しさを見せたミーチャだが、ウチでは実に人懐こい。ミョルニーとルフとはすぐ打ち解けたし、特にルフの毛並みが心底お気に召したようだ。毎日アタシと行くお風呂だけじゃなく、隙があれば1人で原生林区に遊びに行くようになっている。


 アタシは1人厨房に残り、まな板にのせたカロメーロチャートをジッと見ていた。夕飯の仕込みは万全で、今はアタシの自由時間。


「じっくり行こうじゃないか」


 この世界で知る限り、一番『故郷の味』に近いカロメーロチャート。せっかくだから、これでお寿司やチャーハンが作れないだろうか。アタシは真剣にそう考えていた。


 カロメの実をそのまま火で炙り、膨らんだところを割って食べるカロメーロチャートの味は、甘さ控えめの酢飯だ。ただし、見た目は固めのマッシュポテトで、中にはたくさんの種がある。まずはこの種をなんとかしなくてはならないだろう。


 種、ねぇ。少し考えてから、アタシはまず試しに、カロメーロチャートを濾してみることに決めた。

 目の細かいザルに中身を移し、木べらで力任せにゴリゴリトロトロ混ぜていけば、下のボールには可食部が、ザルの上には種がたまる。なかなかうまく濾せたと思うが、困ったことに、カロメの種は思ったよりもずっとずっと脆かった。アタシの力ですら、ゴマ粒くらいの種がホロホロと崩れて行ってしまう。

 ……これじゃ、食感悪いよねぇ。まぁ、これはこれで使ってみるけど。


 そうだね……実験的に、これは「カロメ・ワン」と命名しよう。なんかカッコイいしわかりやすい。


「カロメ・ワン」の本格加工は後にして、アタシは別のカロメーロチャートをミキサーに入れた。種が脆いなら、いっそ、完璧に砕けばどうだろうか。


 あんちゃんが風の魔石で作ってくれたミキサーのスイッチをONにする。ゴオオオォ! っと轟音を立てて、円筒形のミキサーの内部があっという間に液体になった。乳白色でホント、お粥みたいだ。

 うん、これを「カロメ・ツヴァイ」と名付けよう。なんでドイツ語かって……なんとなく、だ。何せ、めちゃくちゃカッコイいからね。揃えるなら「カロメ・ワン」も「カロメ・アイン」だろうけど……ま、それはイイや。


「んー……ツヴァイからやるとするか」


 お粥っぽい見た目になった分、米料理に近づけるのは簡単そう。


 ミョルニーに作ってもらった土鍋に「カロメ・ツヴァイ」を入れ、味見する。種から油が出たのか、ミキサーにかける前よりねっとり感が増して、甘く感じた。

 考えるまでもなく、直感で塩を小さじ2。ちょっと多いくらいでこの粘度にはちょうどイイ。和食らしく、小魚を粉末にしたダシもたっぷり入れると、火にかけた。


「んー……定番はネギに卵に梅干し……? んじゃ……ロロトを刻んでオルニ卵……梅干しの代わりは何がイイかねぇ」


 凝った料理にするのもイイが、久々のお粥……っぽいもの。せっかくならシンプルに和風の滋味を味わいたい。


 浅葱に似たロロトを小口切りにしてたっぷりと。ふと思いついて、ヤンヤの皮を細切りにして散らしてみる。

 うん、イイ香り。梅干し代わりを探すのは諦めて、柚っぽい雰囲気のヤンヤで上品に締めてみた。


 立ち上る湯気の下、土鍋の中の「カロメ・ツヴァイ」はイイ感じに煮詰まっている。フツフツと煮立つ様子だけ見れば、ここは日本。お袋の味。

 小匙を取り出すと、アタシは土鍋からそっと一口、慎重に冷まして味見した。


「うん…………。お粥だ!!」



次は「カロメ・ワン」(笑)を調理します!

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