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おかん転生 食堂から異世界の胃袋、鷲掴みます!  作者: 千魚
2 光の洞穴亭 in 王都
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フィーリ、第1回料理教室を開く

掲載予約機能を初めて使います

ちゃんと朝6時に更新されるかな……?

「んじゃ、始めるよ」


「いやいやいや、ちょっと待て! なぜ部外者がおる!? そもそも誰だ!?」


「うるさいね。男は黙ってドンとしてな」


「あはは、怒られてるしぃ」


「なっ!?」


「えっとね、ミーチャはミーチャだよ?」


「フィーリ、バカは気にしなくてイイのでどうぞ初めてください」


「はいよ」


 うん、あんちゃんにも来てもらって正解だった。


 第1回お料理教室の生徒は予定通りアッフェタルトさんとワチワナさん。お目付役がガヴのあんちゃんで助手がミーチャ。「くっ」と呻いているワチワナさんが面倒くさい。


 あれから短時間に濃密な紆余曲折があって、ミーチャは住み込みの下働きとしてウチにいることになった。簡単に言えば、「保護者が保護する気のない、貴重な化け狸族の孤児を保護した」、というところか。

 ミーチャは案の定、温泉でキレイに洗ってやれば、ふわふわの茶色いロングヘアーに白い肌の可愛らしい女の子に変身した。変化へんげが得意な化け狸族は、周りの反応からフィードバックされる自己イメージで外見微妙を変えて行ってしまうらしい。確かに、アタシと一緒にいる数時間でも、能面のような無表情が少し柔らかくなっていた。


 とはいえ、ミーチャを受け入れるにあたり、あんちゃんの主張は、


「女の子だから特別に涙をのんで許します! が! ボクの大切なフィーリに何かあったら滅ぼしますよ!?」


 ……まったく。あんちゃんは妙な冗談が好きなんだから。ミーチャが本気にして怯えちゃってたじゃないか、可哀想に。


「今日の料理名はサンドイッチ。材料はパン、オルニハム、生野菜、卵、ジャム、バター、クリームってところだね。今日のパンは特製のラユッス酵母を使ったパンだ。今日のところは時間がないから、ラユッス酵母はお土産にあげるよ。まずはサンドイッチの作り方を覚えとくれ」


 あんちゃんところでご馳走になった朝食を考えれば、アッフェタルトさんはリザードマンの集落で習った料理を作り、冷ましてから出している。「煮る」、「焼く」、「茹でる」はあるけど、「揚げる」と「蒸す」がなかった。味付けもシンプルで、素材の味か調味料を単品で。たぶん、ワチワナさんも似たようなものだろうと思う。


「まず手、洗って」


「なんで?」


「水瓶の中に魔力が零れる心配はないのか?」


 感覚の違いなのか、育ちの違いなのか、どっちもか。アタシにとっては当たり前の準備がなかなか進まない。リザードマンのアッフェタルトさんに髪の毛はないし、ワチワナさんも短髪の魔人だから、三角巾は不要。とはいえ、手は洗って欲しいし、異物混入阻止にも気を配って欲しい。

 魔力中毒以外あんまり聞かないけど、食中毒も普通に存在する世の中だ。胃腸の丈夫な上級魔族様はさておき、味見させられるアタシは弱っちぃ人間の幼い小娘。健康管理は人一倍難しい。


「んじゃ、フィリング……パンに挟むモノの準備から始めるよ」


 なんとか手を洗ってもらうために、結局、あんちゃんが鶴の一声。先が思いやられるスタートだ。


「まずは食事用のサンドイッチだ。ハム野菜サンドと卵サンドの二種類を作るんだけど、そのためには最初にドレッシングとマヨネーズを作ってもらわなきゃなんない」


 調味料が充実すれば、他の料理にも使えるからね。


 ヤンヤ果汁、塩、植物油、ハーブを使ったすっきり風味ドレッシングは、教えればすぐにできた。さすが二人とも、混ぜる手つきは危なげない。

 分量をしっかり暗記させ、味見で舌にも覚えさせる。あっさりとした爽やかな風味は、特にワチワナさんのお気に召したらしい。アッフェタルトさんはこってり好み。粉チーズをプラスしたりオイルを変えることを提案しておく。この様子ならバリエーションが生まれるのもすぐかもしれない。


 一方、体力勝負のマヨネーズ。こちらには二人とも苦戦していた。

 ヤンヤ酢、塩、卵黄、植物油という材料はそこまでドレッシングと変わらない。しかし、分量はかなり油が多くなるせいで、アッフェタルトさんもワチワナさんも、最初、抵抗を示した。香りのキツくない、高価な油をガッツリ使うのが許せないらしい。そしてそもそもの問題点。二人とも、「泡立てる」という作業を知らなかった。

 あんちゃんの権限フル活用で、二人のねちっこい抵抗を押し切り、作業は基本から確認するハメになり……。なかなか時間がかかってしまった。


「ミーチャ、できる、よ? できない、の?」


「よしよし、ミーチャは偉いね」


「うわあっ! だから油はこぼすな、と……!」


「ぷぷっ! 言ってるそばからボールの中身飛び散ってるし」


「うわぁっ!? だから嫌だと言ったのだっ!」


「二人とも肩に力入り過ぎだよ。そんなに力入れりゃ、そりゃ飛び散るさ」


 それでもなんとかマヨネーズも作り終え、いよいよフィリングを仕上げていく。


 オルニは塩で茹でて冷まし、鶏ハムにしてから薄切りに。生野菜は薄切り、または食べやすいサイズに千切って、茹で卵をざっくり潰す。たっぷりマヨネーズと少しの塩で潰れたゆで卵をトロリと和え、これでハム野菜サンドと卵サンドの準備はOK。半分に切った丸パンにバターを塗り、フィリングを挟んで完成させた。

 うん、ま、上出来……ってことにしとこう。現に見た目はなかなか悪くないし。


「イイじゃないか、上手上手」


「やったぁ! 今日初めて誉められたかもぉ」


 デザートサンドのホイップクリームでまた時間を喰いそうだから、テキパキ進むところはドンドン進めていかなきゃね。


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