フィーリ、天然酵母パンを焼く②
昨日は毎日更新の公約を守れずすみませんでした
本日夜にでももう一話更新します
朝と夕方、開店中は開け放っているカーテン。準備中の今は閉じているそれの片側を、アタシは力任にシャアアッと開けた。
独特の軽いレール音に合わせるかのように、びょっ!! と素早い動きで、謎の人影がしゃがむ。
その動きについ笑いが漏れた。
だってそれってさぁ、隠れたって言うのかねぇ。窓にへばりつくようにして覗けば…………うん?
窓の鍵を開け、人影のしゃがんだ辺りまで身を乗り出す。あれ??? いない。
確かに人影は下にしゃがんで隠れたはずなのに、アタシの視界にはレンガ敷の広い庭だけ。
うーん……おかしいねぇ………。あ、上とか? 窓枠の外から上に飛ぶってのもありかもね?
アタシは納得がいかなくて、何度も辺りを見回した。
またカーテンを閉めて待っていたら、出てくるのだろうか。うーん、だからって……この世界に「影女」的なものがいるって話は聞かないしねぇ……。
乾季の風は初冬の風に似て、冷たく鋭い。まだ雪が降るほどではないとはいえ、窓を開けていれば防寒していないアタシの体なんて、すぐに冷えきってしまう。見間違えだろう、そう思って諦めるべきかもしれなかった。
「「くしゅんっ」」
あー、さぶっ! 風邪ひいちまうよ。……って、あれ? んんん???
アタシは、窓を閉めようとしていた手を止めた。なんか、今、変だったような……。
じーっ、見慣れた景色を、今後は指差し確認で見直していく。
隣の敷地までの約10メートルは総レンガ張り。フェンス代わりの生け垣はあんちゃんの魔力で当然強化されている。
庭の一部、レンガが長方体に隆起している所は花壇で、今は湿潤季の名残のコケモカが申し訳程度に咲いていた。おかしなところは何もない。憧れのイングリッシュガーデンとは趣が違うが、近代美術館のエントランスのような美しさがある庭だ。
ぐるりと首を空に向けても、はっきりとした異常はない。強いて言えば……なぁんでこんなとこに小石なんか、落ちてんだろうね?
アタシは小首を傾げて窓のすぐそこ、レンガの上にある真っ白な小石を見つめた。
不自然だけど……だからってコレにどんな意味が…………あれ?
アタシの手のひらに乗るくらいの小石が、ふいにカタカタ揺れ始める。カタカタ、カタカタ……まるで寒さで歯の根が合わなくなったかのように……カタカタ、カタカタ……。王都の石は不思議な動きをするんだねぇ、そう思ったその瞬間、小石の輪郭がズズッとブレた。
「……おやまぁ…………」
「えへ……」
アタシの目の前で、小石は女の子に変身した。アタシより数個年上の、薄汚れた、けれど立派な服を着た少女に。
妖怪じゃないけれど……これこそ、狐に化かされた気分、ってヤツかもしれない。
③までできてしまいました……すみません




