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おかん転生 食堂から異世界の胃袋、鷲掴みます!  作者: 千魚
3 光の洞穴亭 in 救民街
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小さい子との接し方 ケース1フィーリ

前回も記載しましたが……

改行時の一字下げ、諦めました(-.-;)

「できれば、イスを全員分出しておくれ。知ってるだろ? アタシ、子どもがお腹空かせてるのを黙って見てられるタイプじゃないんだ」


 黙ってられるくらいなら、商会なんて立ち上げない。誰であろうとアタシの目の届く範囲で飢えていれば助けたいし、相手が子どもなら尚更のこと、救いたい。


「……まぁ、それがフィーリですからね」


「あんちゃん、ありがとっ! ほらアロ、お許しが出たよ。みんなでおやつにできるようにイス足しとくれ。もちろん、アロとバラクさんのもだよ? あ、あのウサギスター……グラムだっけ? もイス、要るかねぇ?」


「…………ハァ。まだ落ち着かないようですから、大きめのイスを用意致しますわ。子どもとまとめて座れば良いのではありませんか?」


「さすがアロ!!」


 褒めても甘い顔はしませんわよ、と表情を引き締めるアロこそ、ツンデレというヤツではなかろうか。そんなことを思いつつ、ミルクやお茶をカップに注いだ。


「大丈夫だよ。おいで、お腹空いてるんだろ?」


 クッキーを一口かじって見せる。と、まずグラムが動いた。「みっみっ」と小さく鳴きながら鼻先をくんくんさせる。それから、唐突に右の耳がしなって、


「へ? ちょ……っ」


 アタシの手から食べかけのクッキーが消えた。空高く舞い上がり、大きく開けたグラムの口の中に収まる様は、一本釣りを彷彿とさせる。ただ、釣り糸も何もまったくチラリとも見えなかったのだけれど。


「さっきも見たでしょう? あれがグラムの固有魔法、魔糸ですよ。見ることも感じることも難しい魔力の糸です。まさかこんな所に高山魔獣のグラムがいるとは思わなかったので不覚を取りましたが……まぁ、居るのがわかっていれば、何の問題もありません。フィーリの安全は保障しますよ。でしょう、バラク?」


「左様にございます」


「……お父様は先程、魔糸で釣り返していましたものね」


 ありがたい説明とドヤ顔、そして呆れた視線。三者三様、思うところはあるようだが、アタシは正直、その説明に怖いと思った。だって魔力のないアタシにはどうやったって魔糸が見えない。みんなにとってはピアノ線でも、アタシにとっては不可視の糸。首に巻き付いたり、足を絡め取ったり、恐ろしいことは多々起こり得る。

 あんちゃん達を信じてるけど……気をつけなきゃね。ここまで無事で良かった、アタシ。


 とはいえ、それはそれ。これはこれ、だ。


「美味しいだろう? ほら、まだあるからこっち来て食べな。お行儀悪いよ」


「オギョウギ???」


 今度反応したのはクリクリお目々の子どもの方。何か不思議な言葉を聞いたかのように繰り返し、グラムを抱えた。こちらに歩いてこようとしているのだとは思うが、現実は乳児がウサギを運ぼうとしているようなもの。ヨタヨタ……ズリズリ……「みびびぃっ」……フラフラ……。なかなかこちらに辿り着かない。

 暴れずに抱かれてるあたり、グラムってのは意外と忠実……いや、頭がイイのかもしれないね。お尻、地面にこすれてて痛そうなのにさ。


 アタシの隣にはあんちゃんとアロ。アロの向こう隣はバラクさんで、バラクさんとあんちゃんの間に、背もたれのついた大きめのイスが1つ置かれている。

 こんなかさばる物、竜車の中では見なかったね。きっと収納には魔法が関係しているのだろう。


 んしょ、んしょ、と可愛らしい掛け声のあと頭がぴょこんと出て、その子はイスにおさまった。グラムもぴょーんと跳び乗る。どちらも、辛うじて机の上に頭が覗いている状態だ。


「お利口さんだね。お代わりもあるから、好きに食べてイイよ。随分お腹が空いてそうだ。……あ、アタシらはここらの別荘主でもその仲間でもないから安心をし。景色に引かれて来ただけさ、あれに乗ってね」


 竜車を指差せば、大人びた仕草でコクンと頷く。

 不思議な子どもだ。心の成長と体のバランスの成長がチグハグに見える。……まぁ、アタシは日本の子どもと王都の子ども、救民街の子どもくらいしか見たことがない。つまり守られた、子どもらしい子ども達だけ。テレビの向こうの紛争地帯の子や、貧困国の子はこのチビちゃんみたいにもっとチグハグに成長してしまっているのかもしれないけれど。

 ……っと。今はこの子らに集中しなきゃ。


「アタシはフィーリってんだ。いつもは料理作ってお金貰ってる。こっちはガヴのあんちゃん。で、アロとバラクさん。3人ともアタシの家族だよ。あんたは?」


くんくんと鼻を鳴らしていた1人と一匹が、すごい勢いで食べ始める。食べるというより、詰め込むと言った方がイイような、がっつき具合。よほどお腹が減っていたのだろう。

 しかし、それでもアタシは気付いていた。幼く不調法であるはずのその子が食べこぼしや口の周りを気にし、ある種の品を持って食べているということに。だから、飲食のペースが落ちて来たところを見計らって、アタシは静かに声をかけた。


「…………ウリ」


「ウリって言うんだね。ウリの家族はみびちゃんの他にいるのかい?」


「……みびちゃんのパパ」


「グラムの親子では情報源になりませんわ」


「いいからアロ、ちょっと静かに。

 そっか、みびちゃんのパパがいるんだね。ウリとみびちゃんはどれが一番美味しかった? お土産にあげるよ」


 身も心もおばちゃんだった時は、子ども相手だとちょっと高めの猫撫で声で話していた。子育ての中で身についちまっただけなんだけどね。小さい子は高めの声のが聞き取りやすいみたいだし、ゆっくり話さないと理解してくれない。保育士さんのイメージだ。

 でも、今は外見が若いから、普通に話してもきっと平気。子どもって初対面だと不思議と、自分に一番近い年齢のヒトに懐くからさ。


 案の定、一瞬アロに怯えの表情を見せたウリは、アタシを見て安心したように小さく笑った。

 いやぁ、その破壊力の凄まじさたるや! なんだあのはにかんだ笑顔! 可愛いじゃないかっ!!


「甘いの、美味しいよねぇ? ウリ、こっちも食べてみるかい?」


 もうお腹いっぱいかもしれない、と思いつつ、ついついバスケットから、べっこう飴とパウンドケーキも取り出してずらりと並べた。

 だってホント可愛いんだよ。野良猫が懐いた、みたいなさ?


PCの慣らしをかねて新作始めました

新作はレシピ兼ファンタジー?な感じです


こちらはスマホで書いてるので、わたしの中では競合しません

PC触れる時間、あんまりないので(^^;)

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